例えば、職場に苦手な人がいる。挨拶はするし、業務上の会話も普通にできる。でも、その人が近くにいるだけで肩に力が入るし、話しかけられると身構えたりする。そして一日の終わりに、妙に疲れている。
辞めるほどではないし、周りに相談するほどでもない。でも確実に、少しずつ消耗している気がする・・・。そんな状態の方に向けて、この記事を書きました。
結論から言ってしまうと、苦手な人との距離は「物理」「時間」「心理」の3つの層に分けて考えると整理しやすくなります。多くの人にありがちなのが、3つ目の心理面だけで何とかしようとすること。これでは苦手な人との距離もうまく取れないまま疲れだけが残ってしまう、なんてことになってしまいます。
そもそも「苦手」を克服する必要はない
具体策に入る前に、前提として一つだけ覚えておいてください。
苦手な人を克服する必要はありません。好きになる必要も、分かり合う必要もないのです!目指すのは「消耗しない状態」であって、「良好な関係」ではないということです。
ここを取り違えると、頑張って歩み寄ろうとして、その努力が報われず、さらに消耗するという悪循環に入ってしまいます。まず目標を「消耗を減らす」に設定し直すところから始めましょう。
第1層:物理的な距離
意外と見落とされがちなのですが、実は最も即効性があるのが「物理的に」距離を取ること。心の持ちようを変えるより、物理的な接触回数を減らすほうが、はるかに簡単でなおかつ確実に効きます。
席や動線を見直す
デスクの配置に融通がきくなら、視界に入らない位置に移動できないか検討してみましょう。フリーアドレスの職場なら、座る場所を意識的にずらします。それが難しい場合でも、パーテーションや観葉植物、モニターの角度で視界を遮るだけで、体感の圧迫感はかなり変わります。
移動のタイミングをずらす
給湯室、トイレ、休憩室、エレベーターなどなど。苦手な人と鉢合わせしやすい場所とタイミングは、意外とパターン化しているものです。1〜2週間、なんとなく観察してみると「この時間帯は避けたほうがいい」という傾向が見えてきます。それがわかれば、自分の動きを数分ずらすだけで接触回数は目に見えて減ります。
リモートやチャットに寄せる
可能な範囲で、対面の会話をチャットやメールに切り替えます。テキストなら、相手の表情や声のトーンに影響されず、自分のペースで返答を組み立てられます。これによって感情的な負荷が大きく下がります。
第2層:時間的な距離
物理的に距離なんて取れない!そんな場合でも、「関わる時間の長さと質」はコントロールできます。
会話の終わり方をあらかじめ用意しておく
苦手な人との会話が苦しいのは、いつ終わるかわからないからです。「すみません、この後ミーティングがあって」「これ、今日中に出さないといけなくて」といった終了フレーズを2〜3個用意しておくと、会話に入る前の緊張がかなり和らぎます。
用件を先に伝える
「〇〇の件で1点だけ確認したいのですが」と最初に範囲を区切ると、雑談に流れ込みにくくなります。相手の話が長い場合にも有効です。
接触後の回復時間を確保する
苦手な人とやりとりした直後に、集中力の必要な仕事を入れない。可能なら、少し歩く、飲み物を取りに行くなど、短い切り替えを挟む。消耗は「接触そのもの」だけでなく「引きずる時間」からも生まれるので、ここをあらかじめ設計しておくと、一日の総消耗量が変わります。
第3層:心理的な距離
最後に頼るのが心理面です。ここは即効性は低いものの、長期的には効いてきます。
相手への期待値を下げる
苦手意識の多くは「本来こうあるべきなのに」という期待とのズレから生まれます。「この人はそういう人だ」と期待値を下げておくと、同じ言動をされても心の揺れ幅が小さくなります。これは諦めなのではなく、あなたの消耗を減らすための実務的な調整なのです!
相手の課題と自分の課題を分ける
例えば相手が不機嫌だったり、言い方がきつかったりしたとします。しかし、それは相手の側の問題であって、あなたが引き受ける必要は全くありません。自分がコントロールできることとできないことを分け、できないことは手放す。頭ではわかっていても難しいものですが、これを意識するだけでもずいぶん違います。
「合わない」を悪いことにしない
人には持って生まれたテンポや価値観の傾向があり、それが噛み合わないことは普通に起こります。合わないこと自体は、どちらが悪いわけでもありません。
私は普段、四柱推命や西洋占星術といった占術を使って相談を受けていますが、こうした占術では「人にはそれぞれ生まれ持ったリズムや傾向がある」と考えます。相性が良くない組み合わせも、単に性質が異なるだけで、優劣ではないという捉え方をします。
占いを信じるかどうかは別として、この「合わないのは自分の努力不足ではなく、単に性質が違うだけかもしれない」という視点は、自分を責めがちな人にとって、少し肩の力を抜くきっかけになることがあります。
やってはいけない距離の取り方
最後に、逆効果になりやすい対応を挙げておきますので、ついやってしまわないように参考にしてください。
あからさまに無視する
これをやってしまうと、関係が悪化するだけでなく周囲からの評価も下げます。挨拶と業務連絡は淡々と続けたほうが、結果的に自分が楽になります。
陰口で発散する
一時的にすっきりするかもしれませんが、陰口というのは高確率で本人に伝わります。また、話している間じゅう相手のことを考え続けることになるので、心理的な距離はむしろ縮まってしまいます。これでは本末転倒というものです。
相手を変えようとする
相手の性格や態度が変わってくれればいいのに・・・なんて思ったことはありませんか?しかし、そういった願望や相手を変えようとする試みは、ほぼ必ず成功しません。労力に対して得られるものが少なすぎます。
まとめ
苦手な人との距離は、物理・時間・心理の3層で考える。まず即効性のある物理的距離から手をつけ、次に時間の設計を整え、心理面は時間をかけて調整していく。この順番が現実的です。
そして繰り返しになりますが、苦手な人を好きになる必要はありません。目標は消耗しないことであって、仲良くなることではない。それだけ覚えておいていただければ、この記事の役目は果たせたと思います。
普段は占術テラスとして、仕事や人間関係のご相談を受けています。