帳票をAIに読ませるとき、つまずきやすい3つの誤解

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「AI-OCRを試したけれど、結局あまり楽にならなかった」

そう感じたことのある方に向けて書きます。

私は間取り図のPDFを解析して3Dモデルを生成するWebアプリを作っていて、図面の読み取り精度を上げる作業をずっと続けてきました。図面と帳票は別物ですが、「紙に書かれた情報をAIに読ませる」という点では同じ壁に当たります。その過程で分かった、つまずきやすい3つの誤解を書きます。


■誤解1「解像度を上げれば読める」

細かい文字が読めないとき、まずスキャンの解像度を上げたくなります。ところが、それだけでは変わらないことがあります。

AIに画像を渡すとき、サービス側で自動的に縮小されることがあるためです。手元で解像度を4倍にしても、届く前に縮められてしまえば意味がありません。私も解像度を上げれば解決すると思い込んでいたのですが、仕様を調べたところ、上げたぶんはそのまま捨てられる作りになっていました。上げる作業に時間を使う前に気づけたのは幸いでした。

効いたのは、全体の1枚はそのまま送ったうえで、それを4つに切った拡大画像も一緒に送ることでした。1枚あたりの情報量が減るので拡大画像のほうは縮小されずに済み、同じ紙なのに読める文字が増えました。全体の1枚を捨ててしまうと、今度はどこに何があるかが分からなくなるので、両方送るのが要点です。

なお、縮小のかかり方は使うAIによって違います。導入前なら「画像はそのまま渡りますか、縮小されますか」と提供元に聞いてみてください。答えられる相手かどうかも、判断材料になります。


■誤解2「読めれば終わり」

これが本命です。

「文字が読めること」と「正しい項目に入ること」は、別の問題です。請求書で言えば、金額の数字そのものは正しく読めているのに、それが小計なのか消費税なのか合計なのかを取り違える、という形で失敗します。

数字が合っているぶん、間違いに気づきにくいのが厄介です。まったく読めていない不具合はすぐ分かりますが、「読めているが行がずれている」は目で追わないと見つかりません。

対策は、置かれている場所に頼りすぎないことです。「右上にあるものが日付」ではなく、「日付という項目名の隣にあるもの」を探させる。項目名がない帳票なら、そもそも自動化する範囲を狭めて、そこは人が入れる欄として残したほうが早いこともあります。


■誤解3「読めなかったら空欄で返ってくる」

必ず空欄になるとは限りません。それらしい値が入っていることがあります。

AIは「分かりません」と答えるのが苦手で、周りの文脈からつじつまの合う値を作ってしまうことがあります。私も、図面に存在しない部屋がいくつも出力される、という現象に何度も遭いました。

ここは指示の書き方で減らせます。「読み取れないときは、推測せず空欄にして、読み取れなかったと明記してください」と先に決めておくことです。埋まっている項目が減るので一見後退したように見えますが、確認する側の負担は減らせます。間違いを探す作業より、空欄を埋める作業のほうがずっと速いからです。


■結局、人が確認する工程は消えません

3つとも、精度を100パーセントにする話ではありません。

自動化で本当に効くのは「入力をゼロにすること」ではなく、「確認しやすい形にすること」だと思っています。読めたものと読めなかったものが分かれていて、怪しい箇所に印が付いていれば、目で確かめる作業は何倍も速くなります。全部埋まっているけれどどこが間違っているか分からない状態のほうが、実務では時間を食います。

導入を検討されるときは、「何パーセント読めますか」より先に、「読めなかったときどうなりますか」を聞いてみてください。ここに答えられるかどうかで、実際に楽になるかが決まります。

帳票の読み取りを自動化するサービスも出品しています。見本を拝見して、どこまで読めるかを先にお伝えする形にしていますので、迷っている段階でもお気軽にご相談ください。
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