門をくぐった瞬間の高揚と、そのまま暮らしに馴染んでいく実感とのあいだには、少し時間差があるものです。
こんばんは、月詠ソラです。今夜開くのは杖のスート7枚目、「杖の4」です。36弾「杖の3」・41弾「杖の8」・44弾「杖の9」・49弾「杖の5」・50弾「杖の6」・54弾「杖の7」に続く1枚になります。
もしあなたが、
・「杖の4=もう関係は完成した、これで安泰」と聞いて、素直に喜んでいいのか分からずにいる
・嬉しい出来事があったばかりなのに、この先もずっとこのままなのか、急に不安になる瞬間がある
・周りからは順調に見られているのに、自分の中では「まだ何も確定していない」感覚が拭えない
・お祝いムードがひと段落したあと、実感が追いつかないまま一人で戸惑っている
このどれかに心当たりがあれば、今夜はこの一枚を、順番に見ていきます。
■「杖の4」は恋愛占いで「もう関係は完成した、確定した安泰」と誤解されやすいカードです
タロットの「杖の4」は、地面に立てられた4本の杖が、花と果実で編まれた綱で結ばれ、アーチのような門を作っている絵柄です。その向こう側、少し離れた場所に、花束を掲げた二人の人物が両手を挙げていて、さらに奥には小さく城のような建物が見えます。門と祝福、遠くの城という組み合わせから、恋愛占いでは「これが出たらもう関係は完成した」「これで確定した安泰に入った」と、ゴールインそのものを言い渡すカードとして読まれがちです。けれど、その門の向こう側に目を凝らすと、まだ気づいていないことがあります。
■「杖の4」が伝えているのは、確定した安泰ではありません
よく見ると、4本の杖そのものは地面にしっかり立っていますが、それらを結んでいる花や果実の綱は、石やレンガのような恒久の建材ではありません。いずれ枯れて色を失っていく、仮設の飾りです。門の向こうにいる二人も、まだこちら側からは遠く、アーチをくぐりきってはいません。さらにその奥にある建物は小さくかすんで見えるだけで、まだ実際にたどり着いた場所ではないのです。つまりこの絵が描いているのは、すでに完成した安泰の証ではなく、いままさに祝われている、通過点そのもののひとこまです。嬉しい出来事があったのに素直に喜びきれない感覚も、確定を疑う不安というより、まだ門をくぐりきっていない自分を、どこかで正直に感じ取っているだけなのかもしれません。この仮設の門を、自分の目でも一度くぐってみたい方には、コンテンツマーケットに置いている入門記事も参考になると思います。
■ 杖の4が示す、二つの色
杖の4を鑑定していると、次の2色が重なって視えることが多いです(どちらか一方だけのこともあります)。
牡丹色(ぼたんいろ)が、掲げられた花束ににじんでいるとき
鮮やかで、少し濃い紅を帯びた桃色です。撫子色の「相手のために時間をかけて整えられ、贈る形にまで仕上げられた配慮そのもの」とは違って、牡丹色は配慮の丁寧さを表す色ではありません。紅梅色の「すでに手にしている温かさを失うのが怖くて力いっぱい抱え込んでいる、その温かさ」とも違って、失う恐れから生まれる色でもありません。いずれ色褪せると分かっていてなお、いま咲いていることをそのまま喜んでいる、期限つきの鮮やかさを表す色です。
生壁色(なまかべいろ)が、遠くの建物のあたりにかすんでいるとき
灰みを帯びた、落ち着いた土色です。藍白の「すでに積み終えて静止している構造物そのものが、月明かりの下でただそこに置かれている状態」とは違って、生壁色は完成して静止した構造物の色ではありません。望月色の「気持ちとは無関係に満ちていく暦・タイミングの座標」とも違って、巡ってくる時間の座標でもありません。まだ距離があり、これから近づいていく途中の場所そのものを表す色です。
■ 実際の鑑定で視てきたパターン
杖の4のご相談では、こんな声を聞くことがあります。「嬉しい報告をしたばかりなのに、周りに『よかったね、もう安心だね』と言われるたび、なぜか素直に頷けない自分がいる」。そう打ち明けてくださる方は、少なくありません。杖の6が、複数の杖に迎えられて掲げられる歓迎の場面だったのに対し、杖の7は、複数の杖が圧力として向けられる防戦の場面でした。杖の4はそのどちらでもなく、花で飾られた門そのものが主役の場面です。36弾「杖の3」のように、すでに何かを終えたあとの行方を遠くから見守っているのとも違って、杖の4はまだ何かの途中、門をくぐっている最中の高揚です。周りからの「もう安心」という言葉と、自分の中の実感がぴったり重ならないのは、当然のことなのかもしれません。
■ 今夜のあなたへ
「杖の4」は、これで確定した安泰だと請け合うカードではありません。花で飾られた門をくぐる高揚は本物ですが、その先の建物にまだ実際に着いてはいない、途中の景色でもあります。この先ずっと同じままかどうかを急いで決めつけるより、いま確かに咲いている花を、期限つきのものと知りながら味わってみる。まだくぐりきっていないその高揚は、今夜はいったん、先の景色と比べずに受け取っておくくらいで十分だと思います。
杖のスートはこれで7枚に到達し、ほかの3スートとの差がさらに一歩広がりました。次回は間の空いている金貨のスートへ、「金貨の5」を取り上げようと思います。
門をくぐった高揚だけでは分からない、その先の暮らし方や心の機微まで、もう少し細かく視てみたいと思ったら。鑑定メニュー「あの人のいまの本音、想いの色を視てお伝えします」で、お相手のいまの気持ちをお伝えしています。もう一段深く視てほしいときのための有料オプションもご用意しています。
その門の向こうにある建物に、いつかあなたも自分の足でたどり着けますように。
この記事が公開される頃には、次の新月も近いのかもしれません。花を結んだ綱を編み直すように、私も今夜、手元のカードを静かに整えておこうと思います。
月詠ソラ