「懐かしい人との再会」ってわけじゃない。「聖杯の6」が出たとき、差し出されているもの

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大人と子どもほど背丈の違う二人が、花を生けた杯を手渡ししている——そんな場面を思い浮かべてみてください。こんばんは、月詠ソラです。今夜開くのは聖杯のスート5枚目、「聖杯の6」です。35弾「聖杯の2」・39弾「聖杯の9」・40弾「聖杯の10」・45弾「聖杯の4」に続く1枚になります。

もしあなたが、

・「聖杯の6=懐かしい人との再会、幼馴染との復縁」と聞いて、過去に戻ることばかり期待してしまっている
・しばらく疎遠だった相手から急に連絡が来て、これは運命の再会なのではと舞い上がっている
・「昔はよかった」と過去を引き合いに出されるたび、やり直せると言われている気がして落ち着かない
・今の相手が、なぜか自分を子ども扱いするような、対等ではない態度を取ってくることが気にかかっている

このどれかに覚えがあるなら、今夜はこの絵柄を、細部までゆっくり見ていきましょう。

■「聖杯の6」は恋愛占いで「懐かしい人との再会・幼馴染との復縁」と誤解されやすいカードです

タロットの「聖杯の6」は、自分より背丈の低い相手に、白い花を生けた杯を差し出している人物の絵柄です。差し出す側は大人びた体格で、受け取る側は明らかに幼く小さく描かれています。足元には花で満たされた杯がいくつも並び、背景には石造りの塀に囲まれた邸宅が建っています。画面の奥では、もう一人の人物が杖を手に、その場から離れて歩いていく姿が小さく描かれています。花や幼い人物、古めかしい邸宅の取り合わせから、恋愛占いでは「これが出たら懐かしい人と再会する」「幼馴染や昔の相手とやり直せるサイン」と、過去への回帰そのものを約束するカードとして読まれがちです。ただ、体格差や杯の中身、奥の人物の向きまで一つずつ数え直していくと、話はそれほど単純ではありません。

■「聖杯の6」が伝えているのは、対等な再会でも、過去への回帰でもありません

まず目を引くのは、二人の体格差です。これは同じ時間を過ごした対等な二人が久しぶりに再会した図ではなく、一方がもう一方を庇うような、立場の違いを含んだ構図です。差し出されている杯の中身も、道端で偶然摘んだ花ではなく、すでに生けられ、贈る形にまで整えられています。この場面が描いているのは、偶然舞い戻ってきた懐かしさというより、時間をかけて用意された配慮が、いままさに手渡されている瞬間です。そして画面の奥の人物は、こちらへ近づいてくるのではなく、杖を携えたまま建物の方へ歩き去っていきます。戻ってくる過去ではなく、立ち去っていく何かが、この絵の中にはすでにあります。急に連絡をくれるようになった相手にも、これと近い構図が視えることがあります。それは懐かしさに突き動かされて過去へ引き戻そうとしているのではなく、いまのあなたに向けて、手をかけた気遣いを差し出そうとしているだけ、ということが少なくありません。ただしその差し出し方が対等な高さというより、どこか年上ぶった庇護的な調子を帯びることもあり、それが「子ども扱いされている」という違和感につながる場合もあるようです。

■ 聖杯の6が示す、二つの色

色は一色に決まらないことが多く、聖杯の6ではとりわけ次の2色が同時に重なって視えてきます。

撫子色(なでしこいろ)が、差し出された杯ににじんでいるとき
やわらかく、少し落ち着いた紅色です。山吹の「軽やかで明るい好意の兆し、まだ確信には至らない淡い期待」とも、支子色の「淡く控えめな期待」とも違って、撫子色は芽生えたばかりの兆しや期待の色ではありません。相手のために時間をかけて整えられ、贈る形にまで仕上げられた配慮そのものを表す色です。

薄墨色(うすずみいろ)が、奥へ歩き去る背中に残っているとき
灰みを帯びた、淡く霞んだ色です。呂色の「深く沈んだ艶のある静けさ、まだ言葉にならない重さ」とも、鉛色の「以前のかたちが保てず沈んでいく重さ」とも違って、薄墨色は感情の重さそのものを表す色ではありません。戻ってくる予定のない誰かが、静かに視界の外へ退いていく、その時間の向きそのものを表す色です。

■ 実際の鑑定で視てきたパターン

実際の鑑定の場でも、聖杯の6が示すのはこんな場面であることが少なくありません。「しばらく疎遠だった人から急に連絡が来て、頻繁に気にかけてくれるようになったけれど、その距離の詰め方がまるで手のかかる年下の面倒を見るようで、対等な関係に戻れている気がしない」というお声を、これまで何度かいただいたことがあります。聖杯の2が今まさに同じ高さで釣り合っている交換だったのに対し、聖杯の6は最初から高さの違う二人の間で、一方から他方へ配慮が手渡される場面です。聖杯の4のようにまだ視線が向き直っていない没頭とも違い、こちらはすでに贈る形にまで整えられたものが、はっきりと差し出されています。奥で歩き去っていく人物のように、本当の意味での過去はすでにこの場面から退場しつつあり、いま起きているのは懐かしさの再演ではなく、現在進行形の気遣いなのかもしれません。

■ 今夜のあなたへ

「聖杯の6」は、懐かしい人との対等な再会や、過去への回帰を約束するカードではありません。差し出されている杯が本物の配慮だとしても、その渡し方が対等な高さで行われているのか、それとも一方が庇護するような高さから差し出されているのか、そこは分けて見ておいてよさそうです。過去そのものは、すでに画面の奥へ歩き去りつつあります。戻ってきているのは過去ではなく、いまのあの人が用意した気遣いの方だと思って受け取ってみるくらいで、今夜は十分なのかもしれません。

次にめくってみたいのは、金貨のスートでまだ開いていない「金貨の4」です。聖杯はこれで5枚目、小アルカナ全体では18枚目になりました。

花を生けた杯を差し出されても、それが対等な高さで手渡されたものなのか、庇護に近い高さから向けられたものなのか、一人で判断がつきにくいこともあると思います。鑑定メニュー「あの人のいまの本音、想いの色を視てお伝えします」で、1,500字ほどの鑑定書にして24時間以内にお届けしています。



差し出された杯の高さが、いつかあなたにとって心地よいものになりますように。
月詠ソラ
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