便利ツールが「使われる理由」

便利ツールが「使われる理由」

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コラム
配ったプロンプト集が2か月で死んだ理由は、出来の悪さではなかった

去年、部内の5人にプロンプト集を配りました。よく使う書類ごとに、そのまま貼れる形へ整えたものです。最初の2週間はよく動いていました。開いた回数も数えていました。2か月後、開いている人はゼロでした。

出来が悪かったのなら、まだ納得できます。使った人は「便利でした」と言い、それでも使うのをやめていたので、こちらは打つ手を思いつけませんでした。

■ 静かに消えるので、失敗したことにも気づけない

配ったものが死ぬときは、音がしません。反対されるわけでも、苦情が来るわけでもなく、ただ、開かれる回数が週に3回から1回になり、月に1回になり、ある月にゼロになります。こちらから「使ってる?」と聞けば、たいてい「あ、はい、ときどき」と返ってきますが、あの返事は使っていないという意味です。それが分かっていても、追及はできません。

これは研修でも、マニュアルでも、新しく入れたツールでも、まったく同じ形で起きます。配った側は「意識が低い」と思い、受け取った側は「また押しつけられた」と感じ、どちらも口には出さないまま、翌年また似たものが配られる。この往復を何周も見てきた方は、新しい取り組みと聞いた時点で、もう半分あきらめているはずです。

私も、あきらめかけました。

■ 配ったのは手順で、手順が始まる場所を作っていなかった

理由を教えてくれたのは、いちばん長く使ってくれていた1人で、こう言われました。「プロンプトは貼れるんですけど、貼るものを探すのに時間がかかって」。先月のデータはどのフォルダか、前回の完成品はどれか、そこで毎回3分ほど止まり、3分止まった時点で、自分で書き始めたほうが早いという計算になります。

つまり、止まっていたのはプロンプトの外側でした。

配った私は、いちばん難しい部分を配ったつもりでいました。実際に難しかったのは、その手前です。何を用意して、どこを開いて、いつ始めるのか。そこが本人任せになっていたので、忙しい週にひとつ飛ばした時点で、翌週からは何ごともなかったように元のやり方へ戻っていました。手順書を渡しても人が動かないのは、やる気の問題ではなく、始める場所が決まっていないからでした。

■ プロンプトではなく、入力シートを配る

やり方を変えました。
配るものを、プロンプトから1枚のファイルに変えます。

ファイルの冒頭3行に、いつ開くか、何を用意するか、どこへ結果を貼るかを書いておき、置き場所は共有フォルダの、その書類の元データと同じ階層で、そこ1か所だけにします。新しいフォルダは作りません。増やすと開かれないからです。開くきっかけも、既にある予定の後ろに置きます。私の部では「月初の集計が終わったら」にしました。新しい習慣を1つも増やさないのが条件です。

書き換えは、AIにやらせられます。

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以下は、私が社内へ配ろうとしているプロンプトです。
これを、受け取った人が空欄を埋めるだけで使える入力シートに書き換えてください。

【書き換えの条件】
・冒頭3行に、いつ開くか/何を用意するか/どこへ結果を貼るかを書く
・指示の文と、記入する欄を、はっきり分ける
・記入欄は【 】で示し、記入例を1つずつ添える
・受け取る人がその場で判断するしかない箇所には、(要確認)と書く

【やらないこと】
・元のプロンプトにない指示を足すこと
・記入例を、実在しそうな社名や金額で埋めること

【元のプロンプト】
(ここに貼り付ける)
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配る形へ整えるところまでを、こちらで肩代わりする出品もあります。手元のプロンプト、その書類の完成品、配る人数の3つを教えていただければ、入力シートと置き場所の設計、受け取った人がそのまま読める手順書を、ひとまとめにしてお渡しします。1件あたり10,000円で、打ち合わせぶんの追加はありません。

出てきたシートを配り直したところ、3か月後も3人が使っていました。5人中3人。数としては地味ですが、以前はゼロだったので私にとっては十分な変化で、もっとも、これは5人の部署で起きた話にすぎません。人数や書類の種類が違えば残り方も変わるはずなので、配ったあと3か月の時点で、何人が開いているかを数えてみてください。

■ 書式が変わった月に、この形でも止まる

続かなくなる原因が、もう一つ残っています。書式が変わる月です。集計項目の追加、報告先の変更、単位の変更。そのときシートは合わなくなり、直せる人がその場にいないと全員がその月から使うのをやめるのですが、私は直す担当を決めていなかったので、一度これで振り出しに戻りました。直す人は決めておいてください。人さえ決まっていれば、直すのは10分の作業です。

もう一つ、配る相手も絞ったほうがよさそうで、使わなかった2人は、その書類を月に1度も触らない人だったんです。全員に配るのは公平に見えて、実際には使わない人へ「使っていない」という後ろめたさを配っていたので、今は、触る回数の多い人にだけ渡しています。

私は、現場で必要とされる「使えるツール」の大切さを感じました。
提供するツールは、誰かひとりの「問題解消」に繋がればと思い作成してます。それが必要とされる人数に対して、最大数で効く、ツールになると思うからです。




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