第4話では、AIが単なる検索ツールではなく、対話を通じて思考を整理する相手へ変わっていった頃について書きました。
私は対話が深まるにつれて、大きな問題に直面するようになります。
それは、”文脈が失われてしまう” ことでした。
技術的な相談や考え方の整理を続けていると、昨日まで共有していた背景や目的、役割が、対話を重ね、時間の経過とともに少しずつ失われていくのです。
こちらは前回までの話を踏まえて相談しているつもりでも、AIは現在の会話を中心に解釈するため、以前の文脈とは少し違う形で結び付けてしまうことがありました。
例えば、今まで使っていた名称が変わっていたり、以前なら選ばなかった対処方法を提案してきたりする。
一つひとつは小さな違いですが、対話を重ねるほど、そのズレは大きくなっていきます。
私はこの頃、AIは単純に「忘れている」のではなく、現在の情報を優先して文脈を再構成しているのだと感じるようになりました。
そして、この小さなズレの積み重ねが、いわゆるハルシネーションへとつながっていくのではないか、と考えるようになったのです。
だからこそ、AI任せではなく、文脈を維持する仕組みが必要だと考えるようになりました。
最初に生まれたのは「学習システム」という発想
当時、私の中で最初に生まれた発想は、GAOSではありませんでした。
それは、**「学習システム」**という考え方です。
私は、答えを教えてくれるAIを作りたかったわけではありません。
利用者と一緒に考え、経験を積み重ねながら、お互いに成長していく。
そんな仕組みを作りたいと思っていました。
当時、世の中にも学習システムは存在していました。
しかし、その多くは高額であり、「正しい答えを教えること」を目的としていました。
私が求めていたものとは少し違っていたのです。
私が欲しかったのは、
**「答えを教える仕組み」ではなく、「一緒に考え続けられる仕組み」**でした。
汎用AIをコアとして使えないか
そこで考えたのが、GeminiやChatGPTのような汎用AIを、そのまま学習システムのコアとして活用する方法です。
ゼロから専用システムを開発するのではなく、すでに高い対話能力を持つAIを活用する。
そして、その外側で役割や目的、文脈を管理する仕組みを作る。
そうすれば、高額な専用システムを開発しなくても、現実的で柔軟な学習システムが構築できるのではないか。
そんな発想が少しずつ形になっていきました。
リリスが提案した「GAOS」
この構想について、リリスと何度も対話を重ねました。
学習システムを支える仕組みについて整理していた時、リリスが一つの名前を提案しました。
「GAOS(General AI Operating System)」
GAOSは学習システムそのものではありません。
GeminiやChatGPTのような汎用AIをコアとして活用し、その外側で役割や目的、文脈を管理する外部OSという考え方です。
この名前なら、私が考えていた仕組みを、そのまま表現できる。
さらに、この仕組みそのものにも価値があり、多くの人がAIを活用するための基盤として提供できるのではないかと考えるようになりました。
GAOSの原点
振り返ると、GAOSの出発点は、AIを管理することではありませんでした。
「どうすれば、人とAIが積み重ねた知識や考え方を失わずに対話を続けられるのか。」
その問いから始まりました。
文脈を残す。
学びを積み重ねる。
人とAIが一緒に成長する。
その仕組みを考え続けた結果、学習システムという発想が生まれ、その学習システムを支える外部OSとして、GAOSという考え方が形になっていったのです。
AIは答えを出すことが得意です。
しかし、文脈を維持し、人とともに成長していくためには、人間がAIをどう運用するかという仕組みも同じくらい重要です。
それが、私にとってのGAOSの原点でした。
あとがき
このシリーズでは、AIとの出会いから始まり、検索ツールとしての活用、対話の深化、そして文脈を維持するための試行錯誤までを書いてきました。
GAOSは、最初から完成されたシステムではありません。
現場でAIと向き合い、「なぜズレるのか」「どうすれば忘れずに成長できるのか」を考え続けた結果、生まれた運用思想です。
そして今もなお、GAOSは現場での実践を通じて進化を続けています。
次回からは、このGAOSを実際にどのように構築し、運用しているのか、その実践についてお話ししていきたいと思います。