忘れられないのに思いだせない

忘れられないのに思いだせない

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コラム
最近、ものすごく髪の調子が良くて。

誰に確認してもらうわけでもないけれど。

自分でね。指を通すたびに気分がいいの。

用もないのに髪を触ってしまう。

たぶんこの一週間で、人生で一番自分の髪をなでてる。

ところが困ったことに、そのシャンプーが何だったのかわからない。

買ったときは、

「なんか良さそう」

くらいの気持ちだった。

そして使い切った。

捨てた。

忘れた。

人としての手順がだいぶ怪しい。

おかげで今、私は必死に検索検索。

「髪 つるつる」

「指通りがいい シャンプー」

「サラサラすぎて困る」

「ゴムがすべる」

途中から何を探しているのか自分でもわからなくなって。

昔の好きだった人を探す時も、こんな気持ちなのかもしれない。

名前はうろ覚え。

出会った場所も曖昧。

でも忘れられない。

ただ違うのは、私が探しているのはシャンプーだということ。

人生にはもっと大事なことがたくさんある。

やるべきこともある。

考えなければいけないこともある。

それなのに最近の私は、

「あの商品なんだったっけ」

ばかり考えています。

もし近いうちに奇跡的に再会できたら報告するね。

できなかったら、私はまた別のシャンプーに恋をすると思う。

人間は案外、そうやって生きているのかもしれないね。
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