昨日と今日、何が違う

昨日と今日、何が違う

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コラム
最近、母の体調のことを考えて、
一緒に暮らすことをすすめました。

これまで母は何度か体調を崩し、
そのたびに私の家で看病して、
元気になると自分の家へ帰っていきました。

母は、
一人で気兼ねなく暮らしたいという気持ちが強い人です。

私も、その気持ちはできるだけ大切にしてあげたいと思っていました。

でも最近、母に新たな病気が見つかり、
病院へ付き添うことも増えました。

これからの母の健康を考えると、
もう一人で暮らすのは難しいのではないか。

そう思って、
一緒に暮らすことをすすめました。

私は当然のように、
母は私と暮らすことを選ぶと思っていました。

でも、
母が選んだのは私ではありませんでした。

弟夫婦と暮らすことを選びました。

その時、私は母に、

「お母さんが元気でいてくれるなら、
住む場所は私のところじゃなくてもいいよ」

「お母さんが心穏やかに過ごせるなら、
私はどこでもいいと思っているよ」

そう伝えました。

それは嘘ではありません。

今でも、
母には元気でいてほしいと思っています。

穏やかに暮らしてほしいとも思っています。

でも……

もしかしたらあの言葉は、
母に伝えながら、
自分自身にも言い聞かせていたのかもしれません。

「大丈夫」

「これでいいんだよ」

って。

本当は、
私を選んでほしかったのかもしれない。

選ばれなかったことが、
思っていた以上に悲しかったのかもしれない。

そして、

「だったら、もっと早く言ってくれたらよかったのに」

そんな気持ちもあります。

私は母が体調を崩せば看病し、
病院にも何度も付き添ってきました。

見返りが欲しくてしてきたことではありません。

母だから、
当たり前のようにしてきたことです。

でも心のどこかで、

いつか一人暮らしが難しくなったら、
母は私と暮らすんだろう。

そう思っていたんですよね。

今は、
何とも思っていないふりをしています。

母が私を選ばなかったことも、
大丈夫なふり。

「それでも私は、変わらず母を大切に思っている」

そう思おうとしている自分もいます。

でも……

本当に昨日までと同じ気持ちなのかな。

自分でも、よく分かりません。

昨日までの母と、
今日の母。

何も変わっていないはずなのに。

昨日までの私と、
今日の私。

私だって、
何も変わっていないはずなのに。

ただひとつ、
知らなかったことを知っただけ。

それだけで、
同じ景色が少し違って見えることがあるんですね。

昨日と今日、
いったい何が違うんだろう。

まだ私にも、
答えは分かりません。

ただ、

人の心って、
そんなに簡単じゃないんだなぁ。

今は、そんなことを思っています。

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