1000組の家を見てきた私が、自分の家の収納で失敗した話

1000組の家を見てきた私が、自分の家の収納で失敗した話

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学び
正直に打ち明けると、これまでの家づくりでいちばん後悔したのは、ほかでもない自分の家かもしれません。

設計の仕事を始めて25年。1000組を超えるご家族の家づくりに関わってきました。それなのに、いざ自宅を建てるとなったとき、私の頭にあったのはとても単純な考えでした。「収納は、広いほうがいい」。

とくにこだわったのがパントリーです。食品のストックも増えるし、日用品もまとめて置ける。広ければ広いほど暮らしは楽になるはずだと、当時の私は信じて疑いませんでした。むしろ、ゆとりある棚を眺めて少し満足していたくらいです。

ところが、暮らし始めてしばらくして、現実は思い描いていたものと違ってきました。

棚に余裕があるぶん、つい買い置きが増えていく。

気づけば奥に何が入っているのか分からなくなり、手前のものだけで日々が回るようになる。

半年ぶりに奥を片付けると、賞味期限の切れた瓶詰めが出てくる。

同じ調味料を、ストックがあるのに買ってきてしまう。

そして何より、整理すること自体がだんだん億劫になっていきました。

収納が足りなくて困ったのではありません。

収納が多すぎて、管理しきれなくなったのです。

このとき、ようやく腑に落ちました。収納で本当に大切なのは、「どれだけ入るか」ではなく、「どこに置くか」だったのだと。長く設計に携わってきたはずの私が、自分の家でそれを学び直すことになったのは、少し恥ずかしくもあり、けれど大きな気づきでした。

住宅相談を受けていても、同じことを感じます。収納で後悔される方には、はっきりとした共通点があるのです。収納の量は足りているのに、なぜか使いにくい。そういうご相談が、本当に多いのです。

たとえば、こんな具合です。掃除機は主に2階で使うのに、収納は1階の片隅にある。ランドセルは子ども部屋に置くつもりだったのに、結局いつもリビングに置きっぱなし。洗剤は納戸にきちんとしまえるけれど、洗濯機からは遠くて、毎回取りに行くのがおっくう。

どれも、収納が不足しているわけではありません。収納の「場所」と、その家族の「暮らし方」が、かみ合っていないだけなのです。けれど、この小さなズレが毎日繰り返されると、片付かないストレスとなって少しずつ積み重なっていきます。

最近はSNSで、大容量のパントリーや、大型のファミリークローゼット、広々とした土間収納など、魅力的な収納アイデアをたくさん目にします。素敵なものばかりで、私も「これはいいな」と参考にすることがあります。決して悪いわけではありませんし、実際にとても便利に使われているお宅もたくさんあります。

ただ一つ、立ち止まって考えていただきたいのは、その収納が「自分たちの暮らし方に合っているか」は、また別の話だということです。収納は、面積で決まるものではありません。家族の毎日の動きで決まるものなのです。

たくさんのご相談を伺う中で、はっきり見えてきたことがあります。後悔される方ほど「収納量」を気にされ、満足されている方ほど「収納場所」を考えていらっしゃる。この違いは、思っている以上に大きいのです。

ですから、これから家づくりをされる方には、収納を増やすことを考える前に、ぜひ一度「これは、どこで使うものだろう」と問いかけてみてほしいのです。その小さな積み重ねが、片付けやすく、暮らしやすい家へとつながっていきます。

住宅相談の中で実際によく耳にしてきた「収納の後悔」を、一冊にまとめたものがあります。収納計画で迷っていらっしゃる方の、ささやかな道しるべになれたら嬉しいです。

▼SNSでは教えてくれない 収納で後悔する家の共通点
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