近年、AIやロボット、ICT(情報通信技術)の進歩が目覚ましく、さまざまな分野で活用が進んでいる。福祉の分野も例外ではなく、介護だけでなく障害福祉においても、こうした新しい技術を活用することで、職員の負担を減らし、利用者への支援に使える時間を増やすことが期待されている。
では、実際にどのような仕事が変わっていくのだろうか。
① AIによる記録・書類作成のサポート
福祉の仕事では、利用者への支援だけでなく、支援記録や報告書など、さまざまな書類を作成する必要がある。
これまで職員が一から文章を入力していた作業を、AIに補助してもらうことで効率化できる可能性がある。
例えば、簡単なメモや音声から記録の下書きを作ったり、過去の記録を要約したり、必要な情報を探したりすることが考えられる。
もちろん、AIが作った記録をそのまま使うのではなく、最終的には職員が内容を確認する必要がある。しかし、書類作成にかかる時間を減らせれば、その分、利用者と直接関わる時間を増やせるかもしれない。
② IoTセンサーによる「見守り」
IoT(モノのインターネット)を利用したセンサーも、福祉の現場を変える可能性がある。
例えば、ベッドにセンサーを設置して、利用者が起き上がったことを職員に知らせる仕組みがある。夜間に職員がすべての利用者を頻繁に見回るのではなく、必要なときに訪室することで、職員の負担を減らすことができる。
さらに、室温や湿度などをセンサーで確認したり、利用者の生活状況の変化を把握したりするなど、さまざまな活用方法が考えられる。
人間が常に見守るのではなく、センサーに見守りを補助してもらうという発想だ。
③ データ連携による情報共有
福祉の仕事では、利用者に関する情報をさまざまな職種や事業所で共有する必要がある。
介護分野では「ケアプランデータ連携システム」が整備され、居宅介護支援事業所と介護サービス事業所の間で、ケアプランなどの情報を電子的にやり取りする取り組みが進められている。
こうした仕組みが広がれば、紙の書類を作成したり、同じ情報を何度も入力したりする作業を減らせる。
情報を必要な人がスムーズに共有できるようになれば、職員の事務作業の効率化だけでなく、より一貫した支援にもつながるだろう。
④ ロボットによる身体的負担の軽減
介護の現場では、利用者をベッドから車いすへ移動させる「移乗」や、入浴、排泄など、職員の身体的な負担が大きい仕事もある。
そこで、移乗を支援する機器や、排泄・入浴を支援する機器、機能訓練をサポートする機器など、さまざまな介護テクノロジーの活用が進められている。
こうした機器を上手に利用することで、職員の腰痛など身体的な負担を減らし、長く働き続けられる環境づくりにもつながることが期待される。
「人間にしかできない仕事」に時間を使う
ここまで紹介したように、AI、IoT、ロボットなどによって、福祉の仕事は少しずつ変わっていくと考えられる。
ただし、デジタル化の目的は「人間を機械に置き換えること」ではない。
AIに記録や情報整理を手伝ってもらい、センサーに見守りを補助してもらい、ロボットに身体的な負担の大きい作業を助けてもらう。
そうすることで職員が、利用者との会話やコミュニケーション、気持ちをくみ取ること、一人ひとりに合わせた支援を考えることなど、人間だからこそできる仕事により多くの時間を使えるようにすることが、デジタル化の大きな意味なのではないだろうか。
技術が進歩しても、福祉の中心にいるのはあくまで「人」である。
新しい技術を上手に取り入れながら、職員にとっても利用者にとっても、より良い福祉の形をつくっていきたいものだ。