出来事は、いつも突然やって来る。
たいていの場合、その始まりはとても静かで、穏やかなものである
数十年...資金を作る為に、休み返上でクタクタになるまで働き、貯めた開業資金。それをつぎ込んだ 私の城(美容室)
いつも通り出勤した10周年を迎えようという年の朝、店内床に水溜りが出来ていることに気づく。これが、この後続く不幸の連続の始まりだった。
時は4月末。これからゴールデンウイークが始まろうというタイミングの少し前の祝日。店舗が存するマンションの管理会社は、漏水に関しては対応しないという規約があるとの事。 かろうじてつながったコールセンターのマニュアルを読み上げるだけの女性はそう云い放ち、本社は本日稼働していないと言葉丁寧に電話を切る。 賃貸契約書を探す。契約時の不動産会社へ連絡。コールセンターにつながり、折り返しを待てという。
夕方、不慣れな男の子と電話がつながる。上司と相談し、対応に当たるとの事。その時点で、落ちる水をキャッチするためのバケツは6つに増えていた。まずは、可能性のある上階の水道の元栓を止めてくれるようお願いする。
不慣れな男の子は、そんなことが出来るわけがないと突っぱねた。
明日以降の予約のキャンセルの対応に追われる。バケツの水を交換するため、日に2度確認。ひどくなる一方。 2日目の夕方、漏電...。店舗に入る為の電動のシャッターが動かない。
もう何もできないと崩れ落ちた。
結局水がやんだのはそれから10日も後の事。
扉が再び空いたのは3週間後となった。この間の私の心情がどれ程の物か?想像して欲しい。
時期が時期だ。異臭と共にあちらこちらにカビが発生していた。
清掃、片付け、損害把握の作業の為に、2時間以上そこにいると、呼吸が乱れ、体中に痒みが発生した。予想をはるかに超えたカビ菌の攻撃であった!!
結局半年かけてわかった事は、保証される保険金額では、店舗の再生にかかる金額に満たず、新たに借金をしなければ、再生は不可能という事。
保険屋、管理会社、弁護士...。皆冷たく言い放った。
その年の11月末、店舗解体、閉鎖した。
一見、なんという不幸だと思うかもしれない。実際その通りであった。しかし、私の身体はその時、この7ケ月の大きなストレスから解放され、ホットもしていたし、結果、店舗の復興をあきらめた事により手元に数百万の保険金が残った。まだ小さくても、他で再出発する可能性は残されている。今回の事で、店舗の大家と管理会社の非道さを知り、付き合いをやめる事が出来た。
少し休憩をと、興味のあった業種の経理の事務員という仕事が手に入った。今回の経験で、同じような目に合った人の力になることが出来る。
時は常に動いている。自分に合わせて止まってくれないのが悩みの種ではあるが、見方や考え方によって、形は変わるのだと成長できた。
それが幸か?不幸か?は、その時には、まだわからないということだ。