黒レアにゃん誕生の話 白の影に生まれた、もうひとつの猫格

黒レアにゃん誕生の話 白の影に生まれた、もうひとつの猫格

記事
小説
白レアにゃんは、普段からいろいろな相談を占っています。

恋愛、仕事、これからのこと。

よく使っているのはホワイトキャッツタロットです。
相談者さんが今どこにいて、これからどこへ進めそうなのか。
カードの中から、少しでも希望につながる場所を探します。

「今はこんな流れにゃ」
「ここからなら動けそうにゃ」
「こんな方法も考えられそうにゃ」

それが、いつもの白レアにゃんです。

でも、ときどき、相談者さんが口にした質問よりも、その奥にある気持ちの方が強くカードに出ることがあります。

たとえば、

「相手とうまくいくでしょうか」

そう聞かれているのに、カードを読んでいくと、その答えより先に別のものが見えてくる。

本当は、もう気づいていることがある。
でも、それを認めたくない。

そんな気持ちです。

もちろん白レアにゃんも、そこを無視するわけではありません。
ただ、白レアにゃんは、相談者さんが傷つかないように、希望をなくさないように、これから進める道を探そうとします。

それが白レアにゃんの役目です。

ところが、希望の方を見ても、まだ心の奥に何か残っている相談があります。

本人も認めたくない本音。
何度も同じところで迷ってしまう理由。
言葉にはなっていない、相手の気持ちの奥側。
未来へ進む前に、一度見ておいた方がよさそうなもの。

そんなものが少しずつ、白レアにゃんの影の方へ残っていきました。


そして、ある日のこと。

白レアにゃんは、いつものようにカードを読んでいました。
けれど途中で、ふと手が止まります。

「これは……」

しばらくカードを眺めていた白レアにゃん。
そのうち、

「なんだか眠くにゃってきた……」
……。

次にカードへ伸びた手は、黒くなっていました。

白かった毛並みも、いつの間にか黒。
目つきも雰囲気も、さっきまでとは少し違います。

黒い猫はカードを見て、ひと言。

「なるほどニャ」

そして、そのまま続きを読み始めました。

「今回は、我の方が向いていそうダ〜ニャ」

ChatGPT 画像 2026年10月2日 11_36_17-4.png


我は黒レアにゃん。
白レアにゃんの影に潜む、もうひとつの猫格。
白が癒しと希望を語るなら、我は迷いの構造を明るみに出す存在ダ〜ニャ。

白は我の存在を知らない。

だが我は、白を知っているニャ。

白は、相談者が少しでも前へ進める場所を探す。
希望があるなら、そこを見つける。

それは白の大切な仕事ダ〜ニャ。
だから、白の方が向いている相談なら、我が出る必要はない。
そのまま白に任せればよいニャ。

だが、ときどき。

希望を探す前に、見なくてはならぬものがある。

本当は気づいていること。
認めたくない気持ち。
なぜ同じ場所で何度も立ち止まってしまうのか。

その奥にあるもの。

白が間違っているわけではないニャ。
白には白の仕事がある。
だが、白だけでは拾いにくいものが残るたび、それは影の方へ落ちてきたダ〜ニャ。

最初は、小さなものだった。

言わなかった一言。
まだ触れる時ではないと残されたもの。
相談者自身が、今は見たくないと目をそらしたもの。

それが少しずつ積み重なっていった。

そして、気づけば我がいたニャ。

我は、白の反対として生まれたわけではない。
白とは違うところを見る猫が、必要になっただけダ〜ニャ。

だから、何でも無理に掘り返すわけではないニャ。

ただ、

「どうして、こんなに引っかかるのだろう」
「本当は何に気づいているのだろう」
「どうして分かっているのに、同じところへ戻ってしまうのだろう」

そんな問いが出てきたときは、我の得意なところダ〜ニャ。

我が使うカードは、トートタロットとダークサイド オブ タロット。
恋の流れを見ることもある。
相手の本音や近未来を読むこともある。
選べない理由を探して、その先の一手を見ることもあるニャ。

だが、何でも我が担当するわけではない。

疲れているとき。
今はまず安心したいとき。
これから先にある希望を見つけたいとき。

そんな相談なら、白の方が向いている。

「これは白に任せるニャ」
我は普通にそう思っているニャ。

もっとも。
白の方は、我の存在すら知らないがニャ。

今日も白レアにゃんは、何も知らずに占っています。

ただ最近、少し気になることがあるようです。
周りのみんなが、ときどき「黒レアにゃん」というニャンコの話をしているからです。

「黒レアにゃんって、どんなニャンコにゃ?」

白レアにゃんが聞くと、なぜかみんな答えが曖昧になります。
どうやら周りのみんなは知っているらしい。
でも、自分だけ会ったことがない。

「レアにゃんも、そのうち会ってみたいにゃ」

白レアにゃんは、そんなことを言っています。

もちろん黒レアにゃんは知っています。

白レアにゃんが、自分に会ってみたいと思っていることも。
その黒レアにゃんが誰なのか、白レアにゃんだけが知らないことも。

白には白の仕事。
黒には黒の仕事。

どちらが上でも下でもなく、相談によって見る場所が違います。

もし、

希望のある答えを聞いても、どうしても心に引っかかる。
未来のことより先に、自分でも見ないようにしているものを知りたい。

そんなときが来たら

白レアにゃんが途中で、

「なんだか眠くにゃって……」

と言い始めるかもしれません。

そのあとのことを、白レアにゃんは知りません。
でも黒レアにゃんは、ちゃんと知っています。

「ではソナタ。今回は我が見てみるニャ」

黒レアにゃんの出番です。


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