こんにちは!城間勝行です。
ふと深い森の木立の中にひそやかに佇む赤い小さな郵便ポストの姿を思い浮かべました。
誰が投函するのか分からない手紙をじっと待ち続け、届いた想いを次の誰かへとしっかりと運んでいくその静かな存在感には、どこか温かなストーリーが詰まっている気がします。
システムエンジニアとして数多くのアプリケーションやWebサービスの開発に向き合っていると、ふとこの森の郵便ポストの役割を思い出すことがよくあります。
新卒で飛び込んだ大手企業の巨大な基幹システムを支える現場は、まるで重厚な石造りの建物のようでした。
何千人ものユーザーが安全に歩けるように、あらかじめ緻密に計算された硬いレールが敷かれており、その秩序を守ることが何よりの正解でした。
しかし、その後に飛び込んだスタートアップ企業での少人数のチームによる開発は、まったく異なる手触りを持っています。
そこには最初から用意された正解のレールなど存在せず、荒れ地のなかで手探りに光るものを探していくようなダイナミックな毎日があります。
要件が完全に定まっていない状態からスタートし、小さな仮説を立てては実際に動くものを素早くカタチにし、本当にこれでよいのだろうかと戸惑いながらも前へ進みます。
ユーザーの反応をダイレクトに受け取りながら軌道修正を重ねていくそのプロセスは、まるで誰かの手紙を受け取って宛先までそっと届けるポストのようだなと実感します。
バックエンドの頑丈なロジックを組み上げることや、フロントエンドの心地よい画面を整えること、クラウドの環境を軽やかに組み立てること。
一見するとバラバラに見える技術の断片も、それを使う人の暮らしや笑顔を思い描きながら、一つひとつ丁寧に手渡すように組み合わせることで、ひとつの大きな物語へと姿を変えていきます。
技術は日ごとにすさまじいスピードで移り変わり、昨日までの正解が明日には通用しなくなることも珍しくありません。
それでも新しい言語やフレームワークに触れるたび、子どものころに秘密の場所へ手紙を投函して返事を待っていたときのような純粋な高鳴りが胸の奥からよみがえってきます。
完璧な地図を探してその場で足踏みするよりも、不格好であっても自分の手で一歩を踏み出し、試行錯誤を繰り返すことのほうが何倍も価値があると知っているからこそ、私は今日も心からの誠実さを込めてキーボードを叩き続けます。
冷たい光を放つモニターの向こう側にいる生身の誰かの毎日に、ほんの小さな驚きと温かな便りを届けられるように。
明日もまた森の小さな郵便ポストのそばで、自分だけの物語の続きを丁寧に形にしていきます。