恋だけじゃなく、友達との時間も季節と一緒に積み重なっていく。
登場人物
🌰 星野るな
❄️ 白雪ひかり
🌸 小日向まな
🍊 橘ゆずは
🌰 るな(高校3年生)
もちろん食担当🤣
「モンブラン」という言葉を聞いた瞬間に人格が変わる。
❄️ ひかり(同級生で親友)
冷静に見えて、実はスイーツ好き。
るなの暴走を止めようとするけど、最終的には自分も食べている🤭
🌸 まな(後輩:るなに憧れている)
4人の中では一番素直に楽しむタイプ。
「これ可愛い!」
「写真撮ろう!」
と女子会を盛り上げる。
🍊 ゆずは(るなの同級生で優等生肌もツッコミ担当)
ツッコミ担当。
「なんで一人だけモンブラン二個なのよ!」🤣
でも最後には自分も食べている。
全体構成(目次)
第1節「秋のカフェで、モンブラン発見!」🌰🍁
休日、4人で秋のカフェへ。
店頭の「秋限定・栗スイーツフェア」の看板を発見。
るな、
「……モンブランです……!!🌰✨」
一瞬でテンションMAX🤣
ひかり・まな・ゆずはは呆れながらも店内へ。
「どれにする?」から女子会スタート。
第2節「ひとくち目から、くるくるマジック!」🌰🍰
4人それぞれ違うモンブランを注文。
「せっかくだから少しずつ交換しよう!」
ということで、モンブラン食べ比べ大会に🤣
るなが一口食べるたびに、
「栗です……!」
「こっちは香りが違います!」
「これは……革命です!!」
と謎の食レポ開始。
ゆずはが、
「あんた、いつからモンブラン評論家になったのよ!」
とツッコミ。
第3節「モンブラン女子会は恋バナ付き♡」💕🌰
スイーツを食べながら自然と恋バナへ。
まなが、
「そういえば、るな先輩、最近どうなの?」
るな、一瞬停止。「え……?」
ひかりとゆずはも興味津々。
先輩との最近の出来事を少し話するな。
夏の頃より自然に話せるようになったこと。
第4節「もう一個だけ……♡」🌰🤣
女子会後半。
るながメニューを見ながら、「……もう一個、食べてもいいですか?」
3人、「まだ食べるの!?」🤣
学校生活、友達との時間、これから進路が変わっていくこと。
楽しいだけではなく、今しかない4人の時間を少し意識する。
第5節「栗色の思い出を、また来年」🍁🌰✨
夕方。カフェを出た4人。
秋風の中を歩きながら「来年もまた来ようよ。」
「もちろん!」4人で約束。
栗色の季節に、新しい思い出がひとつ増えた。
曲紹介『恋のイルミネーションシリーズ』
この秋の物語、第3部 ―秋外伝・番外編🌰「モンブラン女子会」からオリジナル曲が出来ました。
オリジナル曲「モンブラン♡くるくるマジック!」
オリジナル曲「モンブラン♡くるくるマジック!」歌詞紹介
【歌詞】
[Intro]
秋風ふわり
甘い香り……
あっ! 見つけた!
モンモン♡モンブラン
モンモン♡モンブラン
モンブラン~~~!
いただきまーすっ♪
[Verse 1]
木漏れ日のカフェテラス
栗色の季節が来た
ショーケースの向こう側
私を呼んでるみたい
黄色いクリーム
くるくる渦巻き
ふわふわスポンジ
甘い誘惑です
ひとくち食べれば
ほっぺがにっこり
秋ってこんなに
幸せなんだね
[Pre-Chorus 1]
栗の香りが
ふわっと広がって
胸の奥まで
ぽかぽかしちゃう
今日はどれにする?
なんて迷うけど
答えは決まってる!
だって私は……
[Chorus 1]
モンブラン♡ モンブラン♡
くるくるマジック!
モンブラン♡ モンブラン♡
栗の甘さに夢中!
ひとくち ふたくち
もう止まらない
秋のごほうび
いただきますっ♪
モン! モン!モンブラン!
モン! モン!モンブラン!
モン! モン!モンブラン!
大好き~~~っ♡
[Verse 2]
街角カフェを見つけたら
足取りちょっと早くなる
新作モンブランだなんて
そんなの見逃せないよ
栗のクリーム
ふわふわ絞って
てっぺんの栗まで
キラキラしてる
ミルクの香りと
ほろ苦コーヒー
一緒に食べれば
相性ばっちり!
甘い時間が
ころころ転がる
秋の午後は
まだ終わらない
[Pre-Chorus 2]
今日はひとつ?
それともふたつ?
悩んでいる間にも
香りが呼んでる
栗! 栗! 栗!
心が騒ぐ
もう我慢できない!
モンブラン……♡
いっくよーーーっ!
[Chorus 2]
モンブラン♡ モンブラン♡
くるくるマジック!
モンブラン♡ モンブラン♡
栗の季節は最高!
ふわふわ とろけて
ほっぺが落ちそう
甘い魔法に
つかまっちゃった♪
モン! モン!モンブラン!
モン! モン!モンブラン!
モン! モン!モンブラン!
[Cute Laugh]
えへへっ♡
もう一個食べちゃお♪
[Bridge]
赤い葉っぱが
ひらひら舞って
夕暮れ色の
街を染めてく
今日食べた甘さも
今日の笑顔も
秋の思い出に
そっとしまおう
……でもね
明日になったら
また食べたい♡
[Final Chorus]
モンブラン♡ モンブラン♡
くるくるマジック!
モンブラン♡ モンブラン♡
栗の甘さに夢中!
ひとくち ふたくち
幸せいっぱい
秋のごほうび
いただきますっ♪
モンブラン♡ モンブラン♡
まだまだ食べたい!
モンブラン♡ モンブラン♡
大好き止まらない!
栗色の季節を
思いっきり楽しもう
甘い笑顔で
今日もハッピー♪
モン! モン!モンブラン!
モン! モン!モンブラン!
モン! モン!モンブラン!
モンブラン~~~~~っ♡!
モンブラン~~~~~っ♡!
[Outro]
秋風ふわり
栗の香り……
今日も幸せ
おなかも幸せ♡
モンモン♡モンブラン
モンモン♡モンブラン
うふふふ♡
また食べよっと♪
[Fade Out Chorus]
モンモン♡モンブラン
モンブラン……♡
モンモン♡モンブラン
第3部・秋外伝番外編「モンブラン女子会」
第1節「秋のカフェで、モンブラン発見!」🌰🍁
九月の終わり。
夏の暑さが少しずつ遠ざかり、朝晩には秋らしい涼しさを感じるようになっていた。
学校ではまだ半袖の制服姿も見かけるけれど、校門を出て吹いてきた風には、ほんの少しだけ季節の変化が混じっている。
そんな休日の午後。
駅前の広場に、四人の女の子が集まっていた。
「お待たせー!」
元気な声とともに駆けてきたのは、小日向まなだった。
「ごめん、ちょっと遅れちゃった!」
「大丈夫だよ。私たちも今来たところだから」
そう答えたのは、白雪ひかり。
その隣では、橘ゆずはが腕時計を確認している。
「……まあ、三分くらいなら許容範囲ね」
「ゆずは、相変わらず細かいなぁ」
まなが笑う。
「時間に正確って言ってちょうだい」
「はいはい」
そんな二人のやり取りを聞きながら、星野るなは楽しそうに笑っていた。
「今日はどこに行くんでしたっけ?」
「駅の向こうに新しくできたカフェ。秋限定のスイーツフェアやってるんだって」
ひかりがスマートフォンの画面を見せる。
「秋限定……?」
るなの目が、少しだけ輝いた。
「うん。栗とか、かぼちゃとか、さつまいもとか」
「…………」
るなの表情が変わった。
まながその顔を見て、首を傾げる。
「るな先輩?」
「栗……」
「うん?」
「かぼちゃ……」
「うん」
「さつまいも……」
「……るな先輩?」
るなは、両手を胸の前でぎゅっと握った。
「秋って……最高の季節ですね……!✨」
「そこ!?」
ゆずはが思わず突っ込む。
「まだカフェに着いてないから!」
「だって、秋のスイーツですよ!?」
「まあ……確かに楽しみだけど」
まなが笑う。
「じゃあ、今日は女子会ってことで!」
「女子会?」
るなが聞き返す。
「そう。四人でスイーツ食べて、おしゃべりして、写真撮って……」
まなが指を折りながら数える。
「それ、完全に女子会だね」
ひかりも笑った。
「いいじゃない。たまにはこういうのも」
ゆずはも頷く。
「最近、みんな忙しかったしね」
「じゃあ決まりですね!」
るなが嬉しそうに笑った。
「今日は思いっきり楽しみましょう!」
四人は並んで歩き始めた。
秋の街は、まだ紅葉には少し早い。
それでも街路樹の葉はところどころ黄色く色づき始め、吹き抜ける風が夏とは違う匂いを運んでくる。
そして――。
駅から少し歩いたところで、ひかりが足を止めた。
「あ、ここだよ」
そこには、大きなガラス窓のあるカフェがあった。
木目調の外観。
入口には小さな黒板が置かれている。
そこには大きく、
『Autumn Sweets Fair』
と書かれていた。
その下には、
栗・かぼちゃ・さつまいも
という文字。
「わぁ……!」
まなが目を輝かせる。
「可愛いお店!」
「本当だね」
ひかりも店内を覗き込む。
ゆずははメニューの写真を眺めながら、
「結構種類あるみたい」
と呟いた。
そして――。
「…………」
るなが動かなくなった。
「るな?」
まなが振り返る。
「るな先輩どうしたの?」
るなは、店頭のショーケースをじっと見つめていた。
その視線の先にあったもの。
それは――。
栗色のクリームが、ぐるぐると渦を巻いている。
その頂上には、つやつやと輝く大きな栗。
ふわふわのスポンジ。
生クリーム。
そして栗の香りまで、ガラス越しに伝わってきそうな美しい姿。
「…………」
るなの瞳が完全に釘付けになっていた。
ひかりが気づく。
「あ……」
まなも気づく。
「もしかして……」
ゆずはが小さくため息をついた。
「……モンブラン?」
その瞬間。
るなの顔がぱっと明るくなった。
「…………モンブランです……!!」
「やっぱり🤣」
るなはショーケースに一歩近づいた。
「モンブランです……!」
「うん、見れば分かるよ」
「しかも……秋限定……!」
「はいはい」
「栗が……!」
「はいはい」
「くるくるしてます……!!」
「そこも見れば分かるから!」
ゆずはのツッコミも届かない。
るなは完全にモンブランの世界へ入っていた。
「見てください、この栗クリーム……!」
ガラス越しに指を差す。
「この細くて綺麗なクリームが、何層にもくるくるして……その下にスポンジがあって……!」
「るな、急に解説始まった」
まなが笑う。
「しかも上に栗まで乗ってるよ」
「そうなんです!」
るなが振り返る。
「完璧です!」
「何が?」
「モンブランとしてです!」
「そこまで!?」
四人で笑った。
すると、店員が入口から声をかけてくれた。
「よかったら、秋限定スイーツフェアをご覧ください」
「はい!」
元気よく返事をしたのは――もちろん、るなだった。
四人が店内へ入る。
扉が開いた瞬間、ふわっと甘い香りが漂ってきた。
栗の香り。
焼き菓子の香ばしい香り。
ほんのりコーヒーの香り。
るなは目を閉じて、その香りを胸いっぱいに吸い込む。
「……幸せです……」
「まだ食べてないよ?」
ひかりが笑う。
「香りだけで幸せになれるんです」
「るな先輩って、本当に食べ物好きですよね」
まなが笑う。
「好きなものには全力です!」
るなが胸を張る。
「それ、前にも聞いたことある」
ゆずはが苦笑する。
「でも……」
ひかりがショーケースを見ながら微笑んだ。
「今日は私たちも、ちょっと分かるかも」
「ですよね!」
るなが嬉しそうに頷く。
ショーケースには、秋のスイーツがずらりと並んでいた。
和栗のモンブラン。
紫芋のモンブラン。
栗とチョコレートのモンブラン。
栗のミニパフェ。
パンプキンプリン。
さつまいものタルト。
秋の味覚を詰め込んだ限定プレートまである。
「うわぁ……どれにしよう」
まなが悩み始める。
「これは迷うね」
ひかりもメニューを手に取った。
「私は紫芋かなぁ」
「私はパンプキンプリン」
ゆずはが即答する。
「私は……」
るながショーケースを見る。
そして――。
「モンブランです!」
「知ってる🤣」
三人の声が重なった。
「えっ!?」
るなが驚く。
「だって、るなは絶対モンブランでしょ」
「そうだけど……」
「むしろ他を選んだら驚く」
「そんなにですか!?」
「そんなに」
ゆずはが即答する。
るなは少しだけ考えてから、にっこり笑った。
「じゃあ……モンブランにします♡」
「最初から決まってたじゃん!」
店内に四人の笑い声が響く。
そして、るながもう一度ショーケースを見る。
栗色のクリームが、秋の午後の光を受けてきらきらと輝いていた。
その姿はまるで、秋の小さなイルミネーション。
「……モンブランって、なんだか魔法みたいですね」
「魔法?」
まなが聞き返す。
「はい」
るなは笑顔で答えた。
「見つけた瞬間、食べたくなっちゃう魔法です♡」
「それ、魔法じゃなくて食欲でしょ」
ゆずはが突っ込む。
「どっちでもいいです!」
「いいんだ🤣」
「今日は女子会ですから!」
るなが元気よく宣言した。
「いっぱい笑って、いっぱいおしゃべりして――」
そして、ショーケースのモンブランを見つめる。
「……いっぱい食べましょう♡」
「最後それなのね」
四人はまた笑った。
秋風が吹く午後。
栗の甘い香りに誘われて始まった、四人だけの小さな女子会。
この日、彼女たちが見つけたのは――
ただの秋限定スイーツだけではなかった。
笑って、食べて、話して。
高校最後の秋に残る、大切な思い出の一ページだった。🌰🍁✨
第2節「ひとくち目から、くるくるマジック!」🌰🍰
テーブルの上に、四つのモンブランが並んでいた。
栗色のクリームが細い糸のように何重にも絞られた、王道のモンブラン。
紫色のクリームが美しい、紫芋モンブラン。
栗のクリームとチョコレートを組み合わせた、少し大人っぽいモンブラン。
そして、栗のクリームがたっぷり乗った、秋限定のスペシャルモンブラン。
その中央には、それぞれ大きな栗がちょこんと乗っている。
「わぁ……!」
まなが思わず声を上げた。
「写真撮っていい?」
「もちろん!」
ひかりがスマートフォンを取り出す。
「こういうの、写真に残したくなるよね」
「待ってください!」
るなが身を乗り出した。
「その前に、四つ全部ちゃんと見せてください!」
「るな、もう食べる気満々じゃん」
ゆずはが笑う。
「だって、せっかくのモンブランですから!」
るなは真剣な顔でテーブルを見渡した。
「まず、この王道モンブラン……」
指先を伸ばす。
「栗クリームの色がすごく綺麗です」
「うんうん」
まなが頷く。
「こっちは紫芋だから、色が可愛いね」
「そして、こっちはチョコレート……」
るなの視線が移動していく。
「栗とチョコ……絶対合います」
「るな先輩、もう味が分かってるんですか?」
「たぶん……!」
「たぶんなんだ🤣」
ひかりが笑う。
るなは少し考えてから、真剣な表情で続けた。
「見た目も大事ですけど……モンブランは、クリームとスポンジと栗のバランスが重要なんです」
「始まった」
ゆずはが呟いた。
「何が?」
「るなのスイーツ講座」
「講座じゃないですよ!」
るなが頬を膨らませる。
「ただの感想です!」
「るな先輩、なんだかすごく詳しいです……」
まなが感心したように見つめる。
その視線に気づいたるなが、少し照れながら笑った。
「好きなものは、自然と詳しくなるんですよ」
「……かっこいい」
「え?」
「いえ! なんでもないです!」
まなが慌てて視線を逸らした。
ひかりが小さく笑う。
「まな、るなのこと本当に好きだよね」
「はい! ……あ」
言った瞬間、まなが固まった。
「……あ、あの……!」
「ふふっ」
るなが笑う。
「私も、まなのこと好きですよ?」
「るな先輩……!」
まなの顔がぱっと明るくなる。
「先輩後輩として、ですけどね」
「……ですよね」
まなが少しだけ残念そうに笑った。
「でも、嬉しいです!」
「なんの話してるのよ」
ゆずはが呆れながらも笑っていた。
四人の笑い声が、カフェのテーブルを包んでいく。
そして――。
「そろそろ食べようか」
ひかりの一言で、全員の視線がモンブランへ戻った。
「はい!」
るなの返事だけが妙に早かった。
「じゃあ、いただきます!」
四人で手を合わせる。
「いただきます!」
最初にスプーンを入れたのは、るなだった。
栗クリーム。
その下のスポンジ。
そして、ほんの少しだけ生クリーム。
三つを一緒にすくって――。
「……!」
るなの目が大きくなる。
「どう?」
まなが聞く。
るなは、ゆっくり口の中で味わってから――。
「栗です……!」
「うん、栗だね」
ゆずはが即答する。
「……濃厚な栗です!」
「それも分かる」
ひかりが笑う。
「そして甘すぎません!」
「おお」
「栗の香りが最初にふわっと来て、そのあとスポンジの優しい甘さが追いかけてきます!」
るなのスイーツ解説が止まらない。
「るな先輩、すごいです……!」
まなは完全に感心していた。
「さらに、このクリームのなめらかさが――」
「るな先輩」
「はい?」
「楽しそうですね」
まなが笑った。
「……はい!」
るなも笑う。
「すっごく楽しいです!」
その笑顔を見て、ひかりもゆずはも自然と笑った。
「じゃあ、次は私の紫芋モンブランね」
まながスプーンを入れる。
紫色のクリームが、ふわっと崩れる。
「いただきます!」
ひとくち。
「ん~~~!」
まなの頬が緩む。
「おいしい!」
「どんな感じ?」
「お芋の香りがする!」
「紫芋だからね」
「そうなんですけど!」
まなが笑う。
「なんだか秋って感じがします!」
「分かる」
ひかりが頷いた。
「色も秋っぽいしね」
「じゃあ、交換しません?」
るなが提案する。
「え?」
「少しずつ食べ比べしましょう!」
「いいね!」
まながすぐに賛成した。
「四種類全部食べてみたい!」
「私も」
ひかりも頷く。
ゆずはも、
「まあ、せっかくだしね」
とスプーンを持った。
四人は少しずつモンブランを交換する。
「こっちも美味しい!」
「チョコ、思ったより栗と合う!」
「紫芋もいいね」
「こっちは栗が大きい!」
そして――。
「……結論」
るながスプーンを置いた。
「全部美味しいです!」
「それ結論なの!?」
ゆずはが笑う。
「だって、本当に全部美味しいんです!」
るなは胸を張った。
「甲乙つけがたいです!」
「るな先輩、全部好きなんですね」
まなが笑う。
「はい!」
即答だった。
「じゃあ、一番は?」
ひかりが聞く。
「…………」
るなが真剣に悩む。
「……全部です」
「やっぱり🤣」
四人の笑い声が弾けた。
しばらくして、皿の上に残っていたモンブランは、どんどん小さくなっていった。
「ねえ」
ゆずはが自分の皿を見ながら言う。
「これ、食べ比べっていうより……普通に四個食べてない?」
「え?」
るなが首を傾げる。
「みんなで少しずつ分けたから、一人一個分くらいじゃない?」
「いや、るなは多いでしょ」
「…………」
るなが静かに目を逸らした。
「るな先輩?」
まなが覗き込む。
「……栗が、呼んでいたんです」
「🤣🤣🤣」
ひかりまで吹き出した。
「モンブランに呼ばれる人、初めて見た」
「本当なんですよ!」
るなは真剣だった。
「ショーケースからずっと……」
「はいはい」
ゆずはが笑う。
「今日はもう十分食べたでしょ」
「そうですね……」
るなは少しだけ寂しそうに空になった皿を見る。
「でも……」
「でも?」
まなが聞く。
るなはメニュー表をちらりと見た。
そこには――。
『秋限定・栗のミニパフェ』
の文字。
「…………」
「るな先輩」
まなが笑いをこらえながら声をかける。
「見ちゃダメです」
「……でも……」
「ダメです🤣」
「栗ですよ?」
「知ってます!」
「ミニですよ?」
「そこじゃないです!」
ひかりとゆずはも笑い始める。
「もう、るなったら」
ひかりが笑う。
「今日は女子会なんだから、たまにはいいんじゃない?」
「ひかり……!」
るなの目が輝く。
「でも、四人で一つね」
「はい!」
即答だった。
ゆずはがため息をつく。
「……結局、もう一個食べるのね」
「女子会ですから♡」
るながにっこり笑う。
秋の午後。
栗の甘い香りと、四人の笑い声。
テーブルの上で、栗色のクリームがくるくると輝いている。
まるで――。
ひとくち食べるたび、楽しい魔法が広がっていくようだった。
そしてこの日、四人の女子会はまだまだ終わらない。
「次、どれ食べる?」
「だから、るな先輩が決めると絶対食べすぎますって!」
「えぇ~~~!?」
「ふふっ」
「もう、るなったら!」
笑い声が、秋のカフェにまた響いた。🌰🍁✨
第3節「モンブラン女子会は恋バナ付き♡」💕🌰
栗のミニパフェがテーブルの中央に運ばれてきた。
大きなグラスの中には、栗のクリーム、バニラアイス、スポンジ、コーンフレーク。
その上には、たっぷりのマロンクリームと、小さな栗が二つ。
「わぁ……!」
るなの目が輝く。
「可愛い!」
まなが嬉しそうに身を乗り出す。
「写真撮ろう!」
ひかりがスマートフォンを構える。
「ちょっと待って。るな、まだ食べないでよ?」
ゆずはが釘を刺した。
「え?」
「その顔、今にもスプーンを入れそうだから」
「そ、そんなこと……」
るなの手は、すでにスプーンを握っていた。
「……ありますね」
「やっぱり!」
四人で笑う。
写真を何枚か撮ったあと、ようやくスプーンを入れる。
「いただきます!」
四人がそれぞれひとくち。
「ん~~~!」
まなが目を細める。
「おいしい!」
「栗のクリーム、さっきのモンブランとまた違うね」
ひかりが感想を言う。
「アイスと一緒だと、もっと甘く感じる」
ゆずはも頷いた。
そして――。
「……幸せです」
るなが、うっとりと呟いた。
「るな先輩、完全に幸せそうです」
まなが笑う。
「はい♡」
るなは満面の笑顔だった。
しばらく四人は、パフェを少しずつ食べながら、学校のことや最近あった出来事を話していた。
文化祭の話。
授業の話。
進路の話。
そして、これからやってくる冬の話。
そんな何気ない会話の途中だった。
「そういえば……」
ひかりが、ふとるなを見る。
「るなって、最近どうなの?」
「……何がですか?」
「先輩」
「――っ!?」
るなの手が止まった。
スプーンが、空中でぴたりと止まる。
「…………」
「やっぱり反応した」
ゆずはがニヤリと笑う。
「してません!」
「したよ」
「してませんってば!」
まながくすっと笑う。
「るな先輩、顔赤いですよ」
「えっ!?」
るなが両手で頬を押さえる。
「赤くないです!」
「赤いよ」
「赤くないです!」
「モンブランの栗色より赤い」
「ゆずはまで!」
三人の視線がるなに集まる。
るなは困ったようにスプーンを置いた。
「……先輩の話ですか?」
「うん」
ひかりが優しく頷く。
「最近、会ってるんでしょ?」
「……はい」
るなが小さく頷いた。
「この前も、会いました」
「どうだった?」
「どうって……」
「楽しかった?」
「……はい」
るなの口元に、自然と笑顔が浮かぶ。
その表情を見て、三人は顔を見合わせた。
「ほら」
ゆずはが言う。
「もう顔が違う」
「え?」
「先輩の話になると、るなの顔がすごく嬉しそう」
「……そうですか?」
「うん」
まなも頷いた。
「るな先輩、先輩のこと話す時、いつも嬉しそうです」
「…………」
るなは少しだけ俯いた。
そして、スプーンでパフェを小さくすくう。
「……先輩、大学に行ってから忙しそうなんです」
「美大だもんね」
ひかりが頷く。
「はい。だから、前みたいに毎日会えるわけじゃなくて……」
るなの声が少しだけ小さくなる。
「学校にいた頃は、会おうと思えばすぐ会えたんですけど……今は、先輩が大学から来てくれないと、なかなか会えなくて」
「そっか」
まなが静かに聞いている。
「だから……会える日が、前より特別になった気がします」
「……それって」
ゆずはが少し笑う。
「会えない時間があるから、会えた時が嬉しいってこと?」
「……はい」
るなが頷く。
「先輩が来てくれるって分かると……朝からちょっと楽しみになります」
「ちょっと?」
ひかりが聞き返す。
「……かなり」
「🤣」
四人で笑う。
るなも恥ずかしそうに笑った。
「だって……」
少し間を置いてから、るなが続ける。
「先輩と会うと、いろんなことを話せるんです」
「どんなこと?」
「学校のこととか、大学のこととか……最近あったこととか」
「恋バナは?」
ゆずはが突然聞いた。
「えっ!?」
るなが固まる。
「してないです!」
「まだ何も聞いてないけど?」
「……あ」
まなが吹き出した。
「るな先輩、可愛いです🤣」
「まなまで……!」
るなは頬を膨らませた。
「でも、先輩とは……」
そこで言葉が止まる。
三人が待っている。
「……最近、前より自然に話せるようになったんです」
「前は?」
ひかりが聞く。
「前は……先輩の前にいるだけで、すごく緊張してました」
「夏の頃?」
「はい」
るなが頷く。
「花火を見た時なんて、心臓がずっと……」
「ドキドキ?」
「はい」
「今は?」
まなが尋ねる。
るなは少し考えた。
「今も……ドキドキします」
「やっぱり♡」
ゆずはが笑う。
「でも……」
るなが続ける。
「それだけじゃなくなった気がします」
三人が静かに耳を傾ける。
「先輩と一緒にいると……安心するんです」
るなの声は、穏やかだった。
「何か特別なことをしなくても、一緒に歩いてるだけで楽しいし」
「うん」
「焼きいも食べたり……」
「食べたんだ🤣」
「はい」
「やっぱり食べてる🤣」
「そこじゃないですよ!」
るなが笑う。
「それで……」
少しだけ照れながら、
「いっぱい笑えるんです」
その言葉に、ひかりが微笑んだ。
「それ、いいね」
「はい」
るなも笑う。
「夏の頃は、先輩のことを考えるだけで胸がいっぱいになって……」
「今は?」
まなが聞く。
「今は……」
るなは少し考えてから答えた。
「胸の中が、ぽかぽかする感じです」
「…………」
三人が顔を見合わせる。
「何ですか?」
るなが不思議そうに聞く。
「いや……」
ゆずはが笑いをこらえながら言った。
「るな、それ、かなり好きじゃん」
「…………」
るなが固まる。
「……知ってます」
「自覚あるんだ🤣」
「ありますよ!」
るなが顔を赤くする。
「ただ……」
「ただ?」
「前より、好きって気持ちが……なんだか、優しくなった気がするんです」
三人は何も言わずに、るなの言葉を聞いていた。
「会いたいって思うし、会えたら嬉しい」
「うん」
「でも、ずっとドキドキしてるんじゃなくて……」
るなが微笑む。
「一緒にいると、自然に笑えるんです」
「……素敵だね」
ひかりが優しく言った。
「うん」
まなも頷く。
「るな先輩、幸せそうです」
「……そうかな?」
「はい」
まなは笑った。
「すごく」
るなは照れながら、もう一度パフェをひとくち食べた。
「……モンブラン、美味しいです」
「話をそらした」
ゆずはが笑う。
「そらしてません!」
「じゃあ質問」
「まだあるんですか!?」
「先輩と冬のイルミネーション、行く予定ある?」
「――っ!」
るなが再び固まった。
「あります」
小さな声だった。
「約束したんです」
「やっぱり!」
「どんなイルミネーション?」
「まだ決めてないです」
るなは嬉しそうに笑った。
「でも……冬になったら、一緒に見ようって」
「そっか」
ひかりが微笑む。
「じゃあ、楽しみだね」
「はい」
るなは頷いた。
その横で、まながふと思いついたように言う。
「じゃあ私たちも、冬になったら四人でイルミネーション見に行きませんか?」
「いいね!」
ひかりがすぐに賛成する。
「もちろん」
ゆずはも頷いた。
るなの顔がぱっと明るくなる。
「行きたいです!」
「じゃあ決まり!」
「約束です!」
四人で笑う。
恋の話も。
友達との話も。
これから来る冬の話も。
テーブルの上には、まだ少しだけ栗のパフェが残っていた。
るなが最後のひとくちをすくう。
「……あ」
「どうしたの?」
まなが聞く。
「最後の栗、残ってます」
「じゃあ、るな先輩どうぞ」
「いいんですか?」
「はい。今日一番モンブランを楽しんでたの、るな先輩ですから」
「まな……!」
るなは嬉しそうに笑った。
そして、大切そうに最後の栗を口へ運ぶ。
「……甘いです♡」
「また食レポ始まった🤣」
「違います!」
四人の笑い声が響く。
秋のカフェ。
栗の甘い香り。
そして、少しだけ照れくさい恋バナ。
モンブラン女子会は、甘いスイーツだけではなく――四人それぞれの「大切な人」について話す時間にもなっていた。 🌰💕
第4節「もう一個だけ……♡」🌰🤣
「じゃあ、冬になったら四人でイルミネーションね!」
まなが嬉しそうに言った。
「約束!」
ひかりも笑う。
「もちろん」
ゆずはも頷いた。
「楽しみですね!」
るなも笑顔で答える。
恋の話。
これからの話。
そして、大切な友達との約束。
なんだか胸の中まで温かくなった。
――その時だった。
るなが、ふとテーブルの上を見る。
「…………」
さっきまであった栗のミニパフェは、もうほとんど残っていない。
グラスの底に、ほんの少しだけクリームが残っているだけだ。
「……終わっちゃいましたね」
るなが呟いた。
「うん」
ひかりが頷く。
「美味しかったね」
「はい……」
るなは空になったグラスを見つめる。
その表情には、ほんの少しだけ寂しさが漂っていた。
「……るな先輩?」
まなが気づく。
「どうしたんですか?」
「いえ……」
るなは笑って首を振った。
「なんでもないです」
「本当に?」
「本当です」
「……なんか寂しそうだけど」
「そんなことないですよ」
るなはメニューを手に取った。
そして、何気なくページをめくる。
「…………」
止まった。
「…………」
じーっ。
「るな?」
ひかりが声をかける。
「何見てるの?」
「……別に」
るなはメニューを閉じた。
しかし――。
数秒後。
また開いた。
「…………」
今度は少しだけ身体を乗り出している。
ゆずはが怪訝そうに見る。
「何なの?」
「……これ」
るなが指を差した。
そこには――
『和栗のプレミアムモンブラン』
という文字。
その写真には、さっきのモンブランよりもさらに高く絞られた栗クリーム。
その頂上には、大粒の和栗。
横には小さな栗アイスまで添えられている。
「……美味しそう」
まなが思わず呟いた。
「ですよね!」
るなが勢いよく顔を上げる。
「……あ」
「るな先輩、今すごく嬉しそうでした🤣」
「そ、そんなことないですよ!」
「いや、あったよ」
ひかりも笑う。
ゆずははメニューを覗き込んだ。
「……確かに、これは美味しそう」
「ですよね!?」
るなが身を乗り出す。
「栗クリームの量も違いますし、和栗を使ってるみたいですし、それにこの――」
「はいはい」
ゆずはが笑う。
「また始まった」
「まだ何も言ってません!」
「顔に全部出てる」
「…………」
るなは黙った。
そして、しばらく考えたあと――。
「……もう一個だけ」
小さな声で呟いた。
「え?」
まなが聞き返す。
るなは少しだけ恥ずかしそうに笑った。
「……もう一個だけ、食べてもいいですか?」
「🤣」
ひかりが吹き出す。
「るな、まだ食べるの?」
「だって……!」
るながメニューを両手で持つ。
「和栗ですよ?」
「理由になってないよ🤣」
「しかもプレミアムです!」
「もっと理由になってない!」
ゆずはが笑う。
「さっきパフェも食べたでしょ」
「でも、これは別腹です」
「出た」
「スイーツは別腹です!」
るなが真剣な顔で言う。
「……名言っぽく言わないでよ」
まなが笑いながら言った。
「でも……」
まなも写真を見る。
「私もちょっと食べてみたいかも」
「えっ!?」
るなの目が輝いた。
「まなもですか!?」
「うん」
「じゃあ――」
「待って」
ゆずはが止める。
「その流れだと、また一人一個注文するでしょ」
「……」
四人が顔を見合わせる。
ひかりが苦笑する。
「じゃあ、どうする?」
まなが少し考える。
「……みんなで一個をシェアする?」
「それならいいんじゃない?」
ゆずはも頷いた。
「一人一個はさすがに食べすぎだから」
「はい!」
るなが即答する。
店員を呼ぶ。
「すみません!」
「はい」
「和栗のプレミアムモンブランを……」
そこで、るなが一瞬止まった。
「……一つお願いします!」
「かしこまりました」
注文を終えると、るなは満足そうに椅子へ座った。
「楽しみですね……♡」
「るな、今日ずっと楽しそう」
ひかりが笑う。
「だって、モンブラン女子会ですから!」
「それ、いつの間にか正式名称になったの?」
まなが笑った。
しばらくして――。
「お待たせいたしました」
運ばれてきたモンブランを見て、四人は同時に声を上げた。
「わぁ……!」
さっきよりも大きな栗クリーム。
その色は濃く、香りも豊かだった。
頂上には、大きな和栗が一粒。
そして、その横には小さな栗のアイス。
「これは……」
るなが言葉を失う。
「すごいね」
ひかりが目を輝かせる。
「写真撮ろう!」
まながスマートフォンを取り出す。
「るな先輩、ちょっと顔が近いです🤣」
「えっ!?」
「モンブランに近づきすぎです」
「だって……!」
ゆずはが笑う。
「食べる前にちゃんと写真撮るから!」
「はい……」
るなは名残惜しそうに少しだけ離れた。
写真を撮り終える。
「じゃあ、四人で分けよう」
ひかりがスプーンを入れる。
「待って!」
るなが声を上げる。
「どうしたの?」
「栗は……」
「栗?」
「栗は最後まで残しましょう!」
三人が顔を見合わせる。
「なんで?」
まなが聞く。
「最後のお楽しみです」
「なるほど」
まなが頷く。
「じゃあ、栗は最後ね」
「はい!」
四人で少しずつモンブランを取り分ける。
「いただきます!」
まずはひかり。
「……おいしい!」
次にゆずは。
「うん。栗が濃い」
まなもひとくち。
「わぁ……! さっきのより栗の香りが強い!」
そして最後に、るな。
「…………」
ひとくち。
「…………!」
目を閉じる。
そして、ゆっくり飲み込む。
「……栗です」
「また始まった🤣」
ゆずはが笑う。
「でも……」
るなは真剣だった。
「これは、栗そのものの甘さがちゃんと残ってます」
「うん」
ひかりも頷く。
「クリームが濃いのに、重すぎないね」
「そうなんです!」
るなの解説が再び始まる。
「そして、このスポンジが――」
「るな先輩、完全に評論家ですね」
まなが笑う。
「……すみません」
るなが照れる。
「でも、好きなものの話をしてるるな先輩、すごく楽しそうです」
「そう?」
「はい」
まなが笑った。
「私も、なんだか楽しいです」
その言葉に、るなも嬉しそうに笑った。
「じゃあ……最後の栗、どうします?」
ひかりが聞く。
テーブルの中央。
小さな皿の上に、大きな和栗が一粒。
四人の視線が集中する。
「……」
「……」
「……」
「……」
沈黙。
「これ、誰が食べる?」
ゆずはが聞いた。
るなが小さく手を挙げる。
「はい」
「早っ!」
三人が笑った。
「るな先輩、迷いがない🤣」
「だって、栗ですよ?」
「そればっかり!」
まなが笑う。
「じゃあ、じゃんけんにしようよ」
「賛成」
ひかりが頷く。
「じゃんけん……」
「ぽん!」
結果――。
るなが勝った。
「……!」
るなの顔が輝く。
「やった……!」
「すごい喜び方」
ゆずはが呆れる。
「そんなに栗が嬉しい?」
「はい!」
るなは大切そうに栗をスプーンに乗せる。
そして――。
「いただきます♡」
ぱくっ。
「…………」
幸せそうに目を細める。
「……美味しいです」
「よかったね」
ひかりが笑う。
「はい!」
るなが頷く。
すると、まながぽつりと言った。
「……でも、私もちょっと食べたかったかも」
「えっ?」
るなが振り向く。
「じゃあ……」
少し考えてから、るなが笑う。
「次は、まなの番ですね」
「え?」
「次にまた来た時は、まなが栗を食べてください」
「るな先輩……!」
まなの顔が明るくなる。
「約束です!」
「うん!」
「私も次は違うモンブラン食べたい」
ひかりが言う。
「じゃあ私はチョコ栗!」
ゆずはも笑う。
「……って、また来る気なの?」
「もちろん!」
四人の声が重なった。
「だって秋はまだ始まったばかりだもん!」
まなが笑う。
るなも笑う。
秋風が、カフェの窓の向こうで木々の葉を揺らしている。
栗色に染まり始めた季節。
今日の甘い時間も、きっといつか思い出になる。
でも――。
今はそんなことを考えるより。
「ねえ、次はどこのカフェ行く?」
「もう次の話!?」
「だって……」
るながにっこり笑う。
「秋は、おいしい季節なんですから♡」
「またそれ🤣」
四人の笑い声が、カフェいっぱいに響いた。
ひとくちのモンブランから始まった女子会は、ひとくちでは終わらない。
そして――。
「もう一個だけ……♡」
その言葉は、この日の女子会における合言葉になっていた。🌰🤣🍁✨
第5節
「栗色の思い出を、また来年」🍁🌰✨
カフェを出ると、外はすっかり夕方になっていた。
昼間はまだ少し暑さが残っていたのに、日が傾くと秋の風が頬を撫でていく。
街路樹の葉が、風に揺れていた。
黄色く色づいた葉。
まだ緑を残した葉。
そして、ところどころ赤くなり始めた葉。
「わぁ……」
るなが立ち止まる。
「夕焼け、綺麗ですね」
西の空が、淡いオレンジ色に染まっていた。
その光を受けて、街全体がほんのり栗色に見える。
「ほんとだね」
ひかりが空を見上げる。
「秋って、夕方になると急に綺麗になるよね」
「昼間とは全然違う感じがします」
まなが嬉しそうに言った。
ゆずはは、そんな三人を見ながら小さく笑う。
「今日は一日中、秋を満喫した感じね」
「はい!」
るなが即答した。
「モンブランもいっぱい食べましたし!」
「……そこは一番最初に出てくるんだ」
ゆずはが呆れたように言う。
「だって大事ですから!」
「まあ、るな先輩らしいですけど……」
まなが笑う。
「それにしても、るな先輩……本当にすごかったです」
「何がですか?」
「モンブランをあんなに食べたのに、最後までずっと嬉しそうでした」
「それはもちろんです!」
るなは胸を張った。
「栗は別腹ですから!」
「また言ってる……」
ゆずはがため息をつく。
「今日だけで何回聞いたんだろ」
「でも……」
ひかりが笑いながら言った。
「るなの別腹って、もしかしたら異次元なんじゃない?」
「異次元……?」
るなが首を傾げる。
「普通の胃袋じゃ説明できないから」
「失礼ですよ!」
「じゃあ説明してみて」
「えっと……」
るなは少し考えた。
そして真顔で答える。
「愛です」
「…………」
三人が一瞬、黙った。
「栗への愛です!!」
「そっちかい!」
ゆずはのツッコミが夕暮れの街に響いた。
四人が一斉に笑う。
「あはははは!」
笑い声が、秋風に乗って流れていった。
駅へ向かう道を、四人で並んで歩く。
さっきまで座っていたカフェの時間が、少しずつ遠ざかっていく。
楽しい時間ほど、終わるのは早い。
「今日は楽しかったね」
ひかりが言う。
「うん」
ゆずはも頷く。
「まさか、モンブランだけでここまで盛り上がるとは思わなかったけど」
「私は最初から分かってました」
るなが得意げに言う。
「秋と栗とモンブランが揃ったら、楽しくなるに決まってます!」
「るな先輩の予言、食べ物限定なんですね」
まなが笑う。
「でも……」
まなは少しだけ前を見ながら言った。
「こういうの、いいですね」
「こういうの?」
るなが聞き返す。
「みんなで集まって、いっぱい食べて、いっぱい笑って……」
まなは少し照れながら続けた。
「学校でもみんなと話せますけど、こうして学校じゃない場所で集まると、なんだか特別な感じがします」
「うん」
ひかりが優しく頷いた。
「分かるな」
ゆずはも静かに笑った。
「高校生活って、毎日同じように続くと思ってるけど……実際は、こういう時間って意外と少ないのかもね」
その言葉に、るなは少しだけ足を緩めた。
高校三年生。
そう言われることにも、もう慣れてきた。
でも――。
「……高校最後の秋、なんですよね」
ぽつりと、るなが言った。
三人も静かになる。
「そうだね」
ひかりが答えた。
「来年の今頃は、みんな今とは違う場所にいるかもしれないね」
「……そっか」
まなが小さく呟く。
ゆずはが空を見上げる。
「なんか、ちょっと寂しいな」
「寂しいですけど……」
るなが笑った。
「だからこそ、今日みたいな日をちゃんと覚えておきたいです」
「るな……」
「写真もいっぱい撮りましたし!」
「そこは抜かりないね」
ゆずはが笑う。
「今日のモンブラン写真、何枚あるの?」
「えっと……」
るながスマホを見る。
「……三十二枚です」
「多っ!」
「料理ごとに角度を変えて撮りました」
「そこまで撮ったの!?」
まなが驚く。
「もちろんです!」
るなは満面の笑みを浮かべた。
「だって、思い出ですから♡」
駅前に着くころには、空はさらに暗くなっていた。
街灯が一つ、また一つと灯り始める。
オレンジ色の光が、歩道を優しく照らしている。
その光を見て、るなはふと立ち止まった。
「……綺麗」
「イルミネーション?」
ひかりが聞く。
「ううん」
るなは首を横に振った。
「まだ普通の街灯です」
「じゃあ、なんでそんなに嬉しそうなの?」
ゆずはが尋ねる。
るなは少し考えてから答えた。
「今日のことを思い出せそうだから」
「今日?」
「うん」
るなは三人を見る。
「秋のカフェに行って、モンブラン食べて、恋バナして……」
まなが笑う。
「るな先輩、ずっと食べてましたけどね」
「まな、それは言わない約束です!」
「でも本当じゃん」
「ひかりまで!」
「ふふっ」
四人の笑い声がまた重なる。
その笑顔を、夕暮れから夜へ変わっていく街の光が包んでいた。
「ねえ」
ひかりが言った。
「来年も、また来ようよ」
三人がひかりを見る。
「モンブラン女子会」
「賛成!」
るなが真っ先に手を挙げた。
「来年はもっとすごいモンブランを探しましょう!」
「るな先輩、もう来年の話してるんですか?」
「もちろんです!」
「気が早い……」
ゆずはが笑う。
「でも、いいんじゃない?」
「うん」
ひかりも頷いた。
まなも嬉しそうに笑った。
「じゃあ、約束ですね」
「約束!」
四人が顔を見合わせる。
来年。
その頃には、今とは違う生活をしているかもしれない。
会う頻度も。
話す場所も。
それぞれの毎日も。
きっと変わっている。
それでも――。
「また四人で集まろう」
その言葉だけは、変わらなかった。
駅の改札前。
それぞれ帰る方向が違うため、ここで解散する。
「じゃあ、またね」
「今日は楽しかった!」
「また学校で!」
「るな先輩、今日はありがとうございました!」
まなが深く頭を下げる。
「こちらこそ、ありがとう」
るなは笑った。
「まな、また一緒においしいもの食べようね」
「はい!」
まなが嬉しそうに頷く。
「今度は栗以外も!」
「もちろんです!」
「……本当に?」
ゆずはが怪しむ。
「本当です!」
るなが力強く答える。
少し間を置いて――。
「……でも、栗があったら優先します」
「やっぱり!」
三人が笑う。
最後まで、るならしい。
三人と別れたあと。
るなは一人で駅のホームへ向かった。
スマホには、今日撮った写真が並んでいる。
四人で撮った写真。
モンブランの写真。
笑っている写真。
ちょっと変なポーズをしている写真。
そして――夕焼けの写真。
るなは一枚ずつ眺めながら、微笑んだ。
「……楽しかったな」
今日のことを思い出す。
モンブランを見つけた瞬間。
みんなで味を比べたこと。
恋バナでからかわれたこと。
「もう一個だけ」と言ってしまったこと。
みんなで笑ったこと。
その全部が、胸の中に残っている。
そして、ふと――。
先輩のことを思い出した。
今ごろ、大学から帰る途中だろうか。
今日のことを話したら、きっと笑うだろう。
「また食べてるの?」
なんて言われるかもしれない。
るなはスマホを見つめながら、小さく笑った。
「……先輩とも、来年の秋を一緒に過ごせたらいいな」
その願いは、まだ誰にも言わない。
でも――。
秋いちご。
お月見。
焼きいも。
パンプキン。
そして今日のモンブラン。
季節が変わるたびに、少しずつ増えていく思い出。
夏の頃は、恋といえば胸が高鳴ることばかりだった。
けれど今は違う。
好きな人と過ごす時間。
友達と笑う時間。
おいしいものを食べる時間。
何気ない一日。
そんな一つ一つが、心の中に小さな光を灯してくれる。
るなは、駅の窓から見える夜の街を眺めた。
街灯の光が、栗色の思い出をそっと照らしているように見えた。
「また来年……」
るなが小さく呟く。
「みんなで、また食べようね」
そして心の中で、もう一つ。
――先輩とも。
来年の秋も。
その次の秋も。
また一緒に笑えたらいい。
そんな小さな願いを抱きながら、るなは笑った。
秋風が、そっと吹く。
木々の葉が揺れる。
街の灯りが、少しずつ夜の色へ変わっていく。
今日という一日は終わってしまう。
けれど――。
思い出は、終わらない。
栗の甘い香り。
モンブランのくるくるしたクリーム。
友達の笑い声。
そして、夕暮れの街を照らしていた柔らかな光。
それら全部が、るなたちの高校最後の秋を彩っていた。
恋だけじゃない。
友達と笑った時間も。
一緒に食べた甘い時間も。
何気なく過ごした一日も。
それは全部――
青春という季節に灯った、小さなイルミネーション。
栗色に染まった秋の思い出は、心の奥で優しく輝き続ける。
そして四人の約束は――
また次の秋へ。
「また来年」
その言葉と一緒に、静かに続いていく。
🍁🌰 番外編「モンブラン女子会」完結✨
いやぁ……🤣
「異次元の別腹」なのに、最後はちゃんと青春になりましたね🥰