中小企業診断士試験の一次試験が近づいてくると、多くの受験生が不安になります。
「財務会計は何周できた」
「経済学の進みが遅い」
「運営管理をいつ再開すべきか」
「経営法務は過去問をどこまでやるべきか」
「模試や過去問で何点取れたか」
直前期になるほど、このような悩みが増えてきます。
私がコーチングしている受験生の方からも、直前期の学習状況について報告がありました。
財務会計は2.5周完了。
経済学は2.5周目の途中。
経営法務は令和3年度の過去問で68点。
一方で、経済学の進捗が遅いこと、運営管理をいつ再開するか、法務をどこまで過去問で進めるかについて悩んでいる、という内容でした。
この報告に対して、私は次のような観点でアドバイスしました。
直前期に大切なのは、周回数ではありません。
もちろん、過去問を何周もすること自体は悪いことではありません。
しかし、「何周したか」に意識が向きすぎると、本来の目的を見失ってしまいます。
大切なのは、文字通り「過去問をマスターすること」です。
つまり、
・解けなかった問題を、少なくとも解法が思い浮かぶ状態にする
・曖昧だった問題を、少し時間を空けても自力で解ける状態にする
・たまたま正解した問題を、確信して正解できる問題に変える
この積み上げが重要です。
私は、過去問マスターなどで印をつけている場合には、単に「何周目か」ではなく、各科目で「◯がどれくらいあるか」を確認するように伝えています。
たとえば、
・財務会計
・経済学
・運営管理
それぞれについて、◯・△・×の状況を見ます。
ここでいう◯は、確信を持って解ける問題。
△は、なんとなく分かるが、まだ不安が残る問題。
×は、解法や知識がまだ定着していない問題です。
直前期にやるべきことは、とてもシンプルです。
×の問題を△にする。
△の問題を◯にする。
この繰り返しです。
特に△の問題は、非常にもったいない領域です。
少し復習すれば得点源になる可能性がある一方で、放置すると本番で失点する可能性があります。
そのため、たとえば「△の問題は3日後にもう一度解き直す」といった復習ルールを作るのも有効です。
経営法務については、過去問で68点取れているという報告がありました。
一見すると、68点は悪くありません。
しかし、ここで重要なのは点数そのものではありません。
本当に大切なのは、
「正解を確信して回答し、実際に正解した問題」が何題あったか
です。
たとえば、同じ68点でも中身はまったく違います。
確信して正解した68点なのか。
2択まで絞って、最後は勘で当たった68点なのか。
消去法でなんとなく選んだら当たった68点なのか。
この違いは非常に大きいです。
直前期の復習では、「正解したかどうか」だけで判断してはいけません。
正解していても、確信がなかった問題はすべて復習対象です。
2択まで絞れた問題。
なんとなく消去法で選んだ問題。
選択肢の意味は曖昧だったけれど正解した問題。
これらは、本番では失点する可能性があります。
そのため、経営法務については、新しい年度の過去問にどんどん広げるよりも、まずはすでに解いた年度の中で「確信して正解できていない問題」を潰すことを優先した方がよい場合があります。
復習の際には、単に解説を読むだけではなく、周辺知識を確認することが大切です。
特に経営法務は、知識が点でバラバラになりやすい科目です。
そのため、まとめシートの図や表などを使って、関連する知識を整理しながら復習するのが有効です。
直前期になると、受験生はどうしても不安になります。
「今日は何時間勉強できたか」
「何問解いたか」
「過去問で何点取れたか」
「模試で何点だったか」
これらは、もちろん学習状況を把握する材料にはなります。
しかし、合否に直結する指標ではありません。
合否に直結するのは、
「確信して正解できる問題をどれだけ増やせたか」
です。
何時間勉強しても、曖昧な問題が曖昧なままであれば、本番の得点にはつながりません。
何問解いても、解きっぱなしで終わっていれば、実力は積み上がりません。
過去問で点数が取れても、たまたま当たった問題が多ければ、本番で再現できるとは限りません。
だからこそ、直前期は「量」よりも「精度」です。
×を△にする。
△を◯にする。
確信して正解できる問題を増やす。
これを直前まで続けることが、最も現実的な得点アップにつながります。
中小企業診断士試験は、努力量が大切な試験です。
しかし、それ以上に、直前期は「努力の向け方」が重要になります。
頑張っているのに不安が消えない。
勉強時間は確保しているのに点数が安定しない。
何を優先すべきか分からなくなっている。
科目ごとの進め方に迷っている。
そのような状態になったときは、いったん立ち止まって、
「今、自分は何を増やそうとしているのか」
を確認してみてください。
周回数を増やそうとしているのか。
勉強時間を増やそうとしているのか。
それとも、確信して正解できる問題を増やそうとしているのか。
直前期に目指すべきなのは、最後の一つです。
確信して解ける問題を、1問でも多く増やす。
その積み重ねが、本番の得点になります。
中小企業診断士試験は、最後まで伸びます。
焦りすぎず、でも優先順位は明確にして、直前期を乗り切っていきましょう。
現在の学習状況を整理し、残り期間で何を優先すべきかを明確にしたい方は、個別コーチングもぜひご活用ください。
「何をやるか」だけでなく、「何をやらないか」まで一緒に決めて、本番までの時間を得点につながる学習に変えていきましょう。