属人化した業務の洗い出し方|担当者が休むと止まる

属人化した業務の洗い出し方|担当者が休むと止まる

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ビジネス・マーケティング
「来週から一週間、〇〇さんがお休みです」と聞いた瞬間に、頭の中で数え始める。請求書は誰が出すのか。あの集計表は。銀行の記帳は。数え終わらないうちに、まあ何とかなるだろう、という結論に落ち着く。そして休みに入った週の水曜、結局その人の携帯に電話をかけている。

属人化していること自体は、たいてい分かっている。分からないのは順番のほうだ。棚卸しを始めると業務が数十個出てきて、全部に手順書を書く時間はどこにもない。書きかけて止まったファイルが共有フォルダに眠っている、という会社は珍しくない。

順番は、三つ聞けば決まる。今回はその三問と、残ったものをどう書き出すかを置いていく。当方が業務をアプリに移すときも、最初にやるのはこの並べ替えです。全部を作らないために、まず作らないものを決める。

「手順書がない」が本当の問題ではない

属人化と聞くと、まず手順書の話になる。ただ、代わりに入った人が実際に詰まるのは操作ではない。その作業の入力元と出力先が、本人の頭の中にしかないことのほうが重い。

画面の操作は、隣で一度見れば大半は覚えられる。覚えられないのは、元になるデータがどこから来るのか、誰が送ってくるのか、出来上がったものをどこへ渡すのか、のほうだ。「営業部の△△さんが毎月五日ごろにメールでくれる」。この一文がどこにも書かれていないので、代わりの人は作業を始めることすらできない。

締切も同じだ。「十日まで」の十日が、社内の会議に間に合わせるための日なのか、取引先との約束なのか。前者なら一日ずらせる。後者はずらせない。この違いを知らない人が代わりに入ると、たいていずらせないほうを後ろに回す。

三つの質問で並べる

洗い出しは、精度より順番だ。最初から全部を同じ細かさで書こうとすると、たいてい途中で止まる。まずは一覧に業務の名前だけを並べて、そこへ次の三つを付けていく。一業務にかける時間は一分でいい。

付けるのは三つ。①毎月きまって発生するか。②その人以外がやったことがあるか。③止まったとき、誰が最初に困るか。粒度は細かくしなくていい。「請求書を作る」で一つと数えて構わないし、迷ったら大きいほうへまとめる。細かく割るほど、あとで並べ替えられなくなる。

属人化を並べる三つの質問

③だけ性質が違うので、○×ではなく困る相手の名前を書く。ここに「自分」としか書けない業務は、正直あとでいい。名前が社外の相手になるものは順番が上がる。督促の電話で初めて気づくのは、たいていこの型だ。

この三問を通すと、数十個並べても残るのは五つか六つになることが多い。十個以上残るようなら、業務を細かく切りすぎている。もう一段まとめてから付け直したほうが早い。

手をつけるのは、止まると金が遅れる一つ

残った五つか六つを、同時に整えようとしないほうがいい。まとめて片付けにいった瞬間に、また止まる。選ぶのは一つでいい。基準は止まると請求か支払いが遅れるもの。この一行で決める。

金の出入りが遅れる業務は、遅れたことが外から返ってくる。入金が来ない。督促が届く。取引先の締めに間に合わない。裏を返せば、直った効果も数字で確認できる。次の一つに進む理由を作れるという意味でも、ここから始めるのが早い。

後回しでいいのは、遅れても社内で吸収できるものだ。日報の集計、月次の報告資料。要らないわけではないが、一週間遅れても外には出ない。一つ目が片付いてから戻ってくればいい。

引き継ぎ表は、四欄あれば足りる

選んだ一つだけ、中身を書く。ここでいきなり手順書を書き始めないほうがいい。画面の操作を順に書き起こすと、一業務でA4数枚になる。書いている側も飽きるし、二つ目に着く前にたいてい力尽きる。心当たりのある人は多いはずだ。

書くのは四欄でいい。入力元、出力先、締切、例外。この四つが埋まっていれば、通常の作業は本人がいなくても始められる。逆に、操作の手順だけが丁寧に書かれていて前後の欄が空いている引き継ぎ表は、読んでも動き出せない。

引き継ぎ表に書く四欄

入力元には、物の名前だけでなく誰からいつ来るかまで書く。来なかったときに催促する先が、それで決まるからだ。出力先も同じで、誰に、どの形式で、いつまでに渡すのか。渡した後どう使われるかまで一言あると、なお良い。

四欄が埋まると副産物が出る。ある作業の出力先が、次の作業の入力元になっている、という並びが見えてくる。一つ遅れると何が連鎖して遅れるのかが、ここで初めて形になる。

書き出すのは、通常の手順ではなく例外

四欄のうち、時間をかける価値があるのは例外の欄だ。通常の手順は、実物を見れば分かる。見ても分からないのは、いつもと違うものが来たときに本人が何を基準に判断しているか、のほうである。

実務が止まるのは正常系ではない。金額の合わない請求書が届く。締めた後に修正の連絡が入る。取引先から前月分の値引きを言われる。毎月何かしら起きているのに、この判断はどの手順書にも書かれていない。
「手順書は作ってあります」——ただ、その通りに最後まで進んだ月が一度もない。
聞き方は「いつもと違うことって、どのくらいありますか」で足りる。「めったにない」と返ってきても、直近三か月を具体的に思い出してもらうと二つ三つ出てくる。その二つ三つが、代わりの人が踏むことになる場所だ。

とくに書き留めておきたいのは、締めた後に数字を直す場面である。前の数字を上書きするのか、翌月に打ち消しの一行を足すのか。会社ごとに作法が違うのに、たいてい暗黙で決まっている。取り違えると、後から見たときに何が起きたのか誰も説明できなくなる。

道具にする前に、紙一枚で一か月まわす

四欄が埋まると、そのままアプリの話へ進みたくなる。その前に一か月だけ、書いた紙のとおりに本人以外がやってみることをおすすめします。本人には横で見ているだけになってもらい、口を出すのは手が完全に止まったときだけにする。

抜けている工程は、たいてい出てくる。ファイルにパスワードがかかっていた。共有フォルダに入る権限がなかった。「あの取引先だけ独自の形式で送ってくるので、毎回手で貼り替えている」。本人にとって当たり前すぎて書き出す対象にならなかった手順が、ここで表に出る。

一か月まわしてから作ると、作るものが変わる。入力元がメール添付のExcelなら取り込みの画面が要る。締切が社外にあるなら、期限の近いものが上に出る一覧が要る。逆に、紙一枚で回るようになった時点で当分困らない、という結論も普通にある。目的は作ることではなく、止まらなくすることなので、そこで止めて構わない。

当方は元金融系のシステムエンジニアで、Excel・紙で回している一つの作業を小さなツールにする仕事をしている。一業務・一〜二画面までを三万円でお受けしていて、複数の業務にまたがるものは別の出品でご相談に乗っています。四欄が埋まっていない段階でも、いま何にどのくらい時間がかかっているかが分かれば形にできるので、ココナラのメッセージからご相談ください。
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