本を作る依頼と、本から集客する依頼は、別の相手に出している。
📕 名刺代わりの1冊を作ろうと決めたとき、頭にあるのは本ができるところまでだ。
原稿をまとめて、表紙を作って、ストアに並ぶ。そこまでで一区切りだと考える。
実際、そこまでで力を使い切る。
本を出すこと自体が目的になりやすいのも、この段階の特徴だ。
集客のために始めたはずが、途中から完成させることが目標に変わる。
出せば何かが起きる気がして、その先を設計しないまま進む。
😶 出したあとに気づく。本があるだけでは、問い合わせは増えない。
読んだ人がどこへ連絡すればいいのか、次に何を見ればいいのかが用意されていない。
本の中に事務所の名前は書いてある。そこから先の道がない。
🔗 そこで改めて、本を使った導線を考え始める。
紹介ページを作る。資料請求の窓口を用意する。本の内容に合わせた案内を置く。
ところがこれは、本を作った相手とは別の依頼になる。
制作会社を探し、また打ち合わせをして、また見積もりを取る。
このとき、本の中身を一から説明し直すことになる。
どういう読者に向けたものか。どこが売りなのか。次に何をしてほしいのか。
作った本人には分かっていることを、言葉にして渡す作業が発生する。
⏳ そのころには、本を出した勢いが落ちている。
1冊出した達成感で一区切りついてしまい、次の依頼に取りかかるのが半年後になる。
そのあいだ、本は並んでいるが何にもつながっていない。
📝 もうひとつ、本の説明文を軽く扱ってしまう問題もある。
ストアで最初に読まれるのはこの文章なのに、本文を仕上げた疲れの中で数行だけ入れて済ませる。
読まれるかどうかを決める部分が、いちばん手薄になる。
書く力と売る力は別のものなので、同じ人が両方を最高の状態でやる前提のほうが無理がある。
それでも工程の順番どおりに進めると、疲れ切ったところで売る仕事が回ってくる。
🧩 工程が分かれていること自体が原因になっている。
本を作る仕事と、本を使う仕事が別の相手に分かれていれば、そのあいだに切れ目ができる。
切れ目のところで、勢いも情報も落ちる。
費用の面でも損をしている。制作を1社、導線をもう1社に頼めば、それぞれに管理費が乗る。
同じ内容を2回説明する時間も、実質的には費用として出ている。
🗂 管理する対象も増えていく。
実際にまとめた人の手順を読むと、原稿のほかに表紙画像、商品説明、EPUBと、扱うファイルが並んでいる。
そこに導線用のページの原稿が加わる。どれが最新かを自分で覚えておくことになる。
⚠️ 効果の話も、順番を間違えると読み違える。
出版サービスを売っている側は、来客数が2倍以上になった、相談件数が3〜4倍になった、受注単価が2倍以上になったという事例を自社サイトに公表している。
売り手が自社事例として出している数字なので、そのまま自分に当てはまるとは考えないほうがいい。
ただ、そこで語られているのは本を出したこと自体ではなく、本から先の導線まで含めた話になっている。
本を出せば増える、という読み方をすると、いちばん効く部分を落とすことになる。
🔤 見つけてもらう入口の言葉も、後回しになりやすい。
事務所で使っている資料の題名は、内輪向けで抽象的なことが多い。
探している人に届けるには、誰が何をどうするのかを示したほうがいい、という指摘がある。
中身を変えずに入口の言葉だけを書き換える作業が、本文とは別に発生する。
これも本を作る依頼の範囲に入っていないことが多く、あとから自分でやることになる。
📉 出したあとに直しにくいことも効いてくる。
反応を見て説明文を書き直したくなっても、依頼した相手にもう一度連絡する必要がある。
小さな修正に手間がかかると、たいてい先送りされる。
1冊出して終わり、という形になるのは、直す経路が用意されていないからでもある。
🎯 順番としては逆になっている。
誰に何をしてほしいかが先に決まっていれば、本の作り方も変わっていたはずだ。
読者に何を伝えて、次に何をしてほしいのか。それを決めてから書けば、本文と導線がそろう。
あとから説明文をつける場合、本の中身と案内が噛み合わないことがある。
集客のために本を出したはずなのに、集客の設計が最後まで残る。
✅ 今日できることもひとつ。
本を読んだ人に次にしてほしいことを、1つだけ書き出してみる。
相談の予約なのか、資料の請求なのか、事務所のページを見てもらうことなのか。
それが決まっていないなら、本より先に決めることがある。決まっていれば、本の書き方もそこから逆算できる。