「あのとき違う道を選んでいれば…」人生の後悔と向き合うとき

「あのとき違う道を選んでいれば…」人生の後悔と向き合うとき

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コラム

「あのとき、違う選択をしていたら」

過去の出来事を思い返して、そんなふうに
考えたことはありませんか。

仕事での決断や、大切な人に伝えた言葉。
時間が経っても、心に残る後悔があります。

私にも、以前は後悔していた出来事があります。
今日は、その経験をお話ししたいと思います。

【1.たった一言が言えなかった後悔】


数年前のある日、妻に喜んでもらいたくて、
私はお風呂を掃除しました。

なかなか落ちない汚れがあったので、
シャワーを高温にして、きれいに落としたのです。
ところが、温度を戻すのを忘れていました。

私が外出しているとき、妻から電話がありました。

「やけどするかと思ったよ!」
「せっかくやってくれたのに、残念」

妻に危ない思いをさせてしまったのに、
私は「残念」という言葉に強く傷つきました。

自分自身を「残念な人間だ」と言われたように
受け止めてしまったのです。

その夜は、お互いに口を利かずに眠りました。
翌朝、妻から「一言謝ったらいいの」と言われても、
素直に謝ることができませんでした。

当時、妻とは一緒に事業を営んでいて、
仕事をめぐる言い合いも増えていました。

それまで我慢していた思いまで一気にあふれ、
私は感情的になって家を出てしまったのです。

三時間ほどで冷静になり、後悔しました。
その日の夜、妻に謝りに帰りました。

「今朝はごめんね」

けれど、妻からは、
「いや、もうやめよう。こんなの。もう疲れたから」
という言葉が返ってきました。

その後、私たちは離婚することになりました。

「なぜ、あの朝に謝れなかったのだろう」
「なぜ、もっと妻を思いやれなかったのだろう」

その思いが、ずっと心に残っていました。

【2.過去は変えられなくても、向き合い方は変えられる】


「あのとき、こうしていれば」

実際とは違う結果を思い描くことを、
心理学では「反実仮想」と呼びます。

私も何度となく、あの朝を思い返しました。
でも、いくら考えても過去には戻れません。

離婚後も仕事の引き継ぎがあったので、
妻とはほぼ毎日、連絡を取り合っていました。

しばらくは、もう戻れないと思っていました。
それでも、いつかまた向き合える日が来るかもしれない。
そんな思いも持つようになりました。

私は、これまで学んできた心理学やエニアグラム、
そしてAIも参考にしながら、
妻の性格や行動の傾向、当時の状況を整理しました。

もちろん、相手の本当の気持ちが、
分析だけですべてわかるわけではありません。

それでも、いくつかの可能性を考えることで、
自分の接し方を見直す助けになりました。

私が選んだのは、自分から連絡するのではなく、
妻からの連絡を待つという接し方でした。

そして、妻から連絡があり、何か頼られたときには、
自分にできる限りのことをする。

そんな距離感を大切にしながら、
少しずつ関わりを続けていきました。

【3.離れて気づいた、お互いの大切さ】


離れて暮らす中で、私たちはそれぞれに
仕事や生活での苦労を経験していました。

ある日、二人で食事をしながら、
お互いの近況を話す機会がありました。

妻は仕事や人付き合いの大変さを話し、
私も自分の仕事や生活の難しさを話しました。

それまで当たり前のように担っていた役割も、
離れてみると、その大切さが見えてきました。

「結局、お互いがお互いを頼りにしているよね」

そんな会話ができたことが、心に残っています。

その後、また一緒に仕事をしようという話になりました。

二人で会社の経営状況を考える中で、
以前、一緒に頑張って買った車を
手放すことになりました。

そこで、車との最後の思い出にと、
二泊三日の旅行に出かけたのです。

旅行の初日、妻が言いました。

「せっかくだし、久しぶりに手をつなごう」

そして二日目の夜、二人で話していたとき、
私はこう伝えました。

「もう一度やり直してみる?
いや、やり直すというか、
新しい二人で、新しい人生を始めてみる?」

妻は「うん」と頷いてくれました。

【最後に|「当たり前」が「ありがとう」になるまで】


私は、あの日のことを後悔していました。
でも今は、「後悔していた」と過去形で話せます。

あの朝の自分の言動が、正しかったからではありません。

一度離れ、それぞれの生活を経験し、
再び向き合う中で気づいたことがあるからです。

それは、相手がそばにいてくれることは、
決して当たり前ではないということ。

今は、妻の話をよく聴くことを心がけています。
感謝の気持ちも、大切に思っていることも、
きちんと言葉にして伝えるようにしています。

そして、お互いの時間を大切にしながら、
できるだけ笑顔で過ごすことを心がけています。

一度離れる運命だったのかもしれない。
今の私は、そんなふうに思います。

「当たり前」が「ありがとう」になるために。

もちろん、後悔した経験がすべて、
よい結果につながるわけではありません。
別れた相手と、もう一度歩めるとも限りません。

それでも、過去の自分を責め続けるだけでなく、
その経験から何を学び、これから何を大切にするのか。

そんなふうに考えてみてもよいのではないでしょうか。

過去の出来事は変えられなくても、
これから交わす言葉は、自分で選ぶことができます。

話すことで、心に少しずつ春を。

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