今回は「熟年離婚年金問題、傾向と対策」について見ていきましょう。
基本、熟年離婚に反対をするわけではありません。
ただ、準備をしてからでないと、老後破産の危険性があります。
今回はその対策例です。
そもそも、離婚したら年金はどうなるのかについて軽く見ていきましょう。
_*_*_
熟年離婚における年金分割は、離婚後の生活基盤を左右する非常に重要な手続きです。
制度の基本となる「分け方」や「対象となる年金」、「手続きの流れ」についてわかりやすく解説します。
1. 対象になる年金・対象にならない年金
年金分割は、結婚期間中に夫婦で納めた厚生年金の保険料納付実績(標準報酬)を分け合う制度です。
対象になるもの
厚生年金(会社員・公務員などが加入する部分)
対象にならないもの
国民年金(基礎年金):各自が受け取る権利があるため分割対象外
企業年金(確定給付企業年金、iDeCo等):年金分割の対象外(ただし、離婚時の財産分与として交渉・清算することは可能)
注意点
分割するのは「将来もらう年金受給額そのものを半分に割る」のではなく、「婚姻期間中の厚生年金の加入記録(納付実績)」を分割する仕組みです。
2. 年金分割の2つの種類と分け方
年金分割には「合意分割」と「3号分割」の2種類があります。
① 合意分割(夫婦で話し合って決める方法)
対象:共働き夫婦、または配偶者が自営業などでどちらも厚生年金に加入していた(またはしていた時期がある)場合。
分け方(分割割合):話し合いにより最大50%(上限50%)までの範囲で割合を決定します。話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の調停・審判で決定します(裁判所では原則50%に設定されることがほとんどです)。
② 3号分割(専業主婦・主夫が単独で請求できる方法)
対象:2008年(平成20年)4月1日以降に「国民年金の第3号被保険者(専業主婦・主夫など)」であった期間がある場合。
分け方:相手方の同意がなくても、自動的に半分(50%)に分割されます。
特徴:相手と直接話し合う必要がなく、年金事務所へ単独で請求手続きが行えます。
※2008年3月以前の婚姻期間がある専業主婦(主夫)の場合は、2008年3月以前の期間分について「合意分割」の手続きが必要になります。
3. 年金分割を行うための具体的な手順
「年金分割のための情報通知書」を取得する
年金事務所で請求し、婚姻期間中の厚生年金記録や、3号分割の対象期間、分割の按分割合(目安)が記載された通知書を入手します。
分割方法・割合を決定する
3号分割のみで完結する場合:相手との協議は不要です。
合意分割が必要な場合:話し合いで決定し、公証役場で公正証書を作成するか、年金事務所に2人で赴きます。
年金事務所で請求手続き(標準報酬改定請求)をする離婚成立の翌日から2年以内に、年金事務所へ請求書を提出します。これを過ぎると請求権が消滅してしまうため、離婚後はすみやかに手続きを行う必要があります。
4. 知っておくべき注意点
受給開始は自分の受給開始年齢になってから
年金分割の手続きを終えても、すぐに年金が入ってくるわけではありません。ご自身が原則65歳などの受給開始年齢に達した時点から支給されます。
自分の受給資格期間が必要
ご自身が年金を受け取るための基礎資格期間(原則10年以上の保険料納付または免除期間)を満たしていないと、分割された年金も受給できません。