医療・介護でAIを使うなら、「使える・使えない」の二択じゃない

医療・介護でAIを使うなら、「使える・使えない」の二択じゃない

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コラム
最近、医療の中でAIが使われている事例を海外のニュースなどで聞くことが増えました。

ただ、AIがやっているのは診断そのものだけではありません。

情報を整理する。

書類を作る。

必要な情報を探す。

患者さんが治療を受けるまでの周辺業務を支援する。

そういった、必要だけれど時間のかかる仕事にAIが使われている例です。

これは面白いなと思う一方で、看護師として働いてきた自分が最初に気になったのが、

「でも、患者さんや利用者さんの情報はどう扱うんだろう?」

ということでした。

医療や介護で扱う情報には、名前だけではなく、病歴、薬、これまでの経過、看護、介護記録など、その人自身に深く関わる情報がたくさんあります。

だから、

「AIが便利だから、この情報を入れて整理してもらおう」

とは簡単にはいきません。

でも逆に、

「医療や介護では個人情報を扱うから、AIは使えない」

と全部まとめてしまうのも違うと思っています。

問題は、

AIを使えるか、使えないか。

ではなく、

何の仕事に使うのか。
どんな情報を扱うのか。
どこを人が判断するのか。

そこを分けて考えることではないでしょうか。

自分なら、まず「緑・黄色・赤」で考える

これは法律やセキュリティ上の正式な分類ではありません。

あくまで自分が、

「これはそのままAIに使っていい話なのか?」

と一度立ち止まって考えるための整理方法です。

緑:個人を特定する情報を含まないもの
例えば、

一般的な病気や制度について調べる。

研修資料の構成を考える。

マニュアルのたたき台を作る。

文章を分かりやすく整理する。

こういった仕事です。

患者さんや利用者さん個人の情報を扱わなくても、AIが助けられる仕事は結構あります。

医療・介護でAIを使うなら、まずこういうところから考えてもいいと思っています。

黄色:集計した情報や、個人が分からないように加工した情報
例えば、

ある仕事にどれくらい時間がかかっているのか。

1日に何件くらい対応しているのか。

どこで業務が止まりやすいのか。

残業がどの仕事で発生しているのか。

こうした情報を整理することで、業務改善につながる可能性があります。

ただ、

名前を消したから何でも大丈夫

とは考えない方がいいと思っています。

他の情報と組み合わせれば誰のことか分かってしまわないか。

そもそも、その情報を外部のAIに入れていいのか。

ここは組織のルールも含めて確認が必要です。

赤:患者さんや利用者さんを特定できる情報
名前、病名、薬、経過、申し送り、診療記録、介護記録など。

このあたりになると、

普段個人で使っているAIに、そのまま入力する、

という話ではありません。

どんなサービスを使っているのか。

組織として利用が認められているのか。

どんな情報を入力していいことになっているのか。

誰がアクセスできるのか。

こうしたことを確認する必要があります。

そしてここから先は、

自分のようにAIを使う人だけで判断する話でもありません。

組織の責任者やシステム担当者。

必要であればセキュリティなどの専門家。

そういった人たちに確認する領域です。

大切なのは、

赤だから絶対使えない

と自分で決めることでもなければ、

使えそうだからやってみる

でもないと思っています。

「ここは自分だけで判断していい話ではない」

と気づけること。

それも、これからAIを使う上では大事なのではないでしょうか。

個人が気をつけるだけでは限界がある
現場でAIを使う人が増えてくると、

「個人情報を入れないように気をつけましょう」

だけでは難しくなってくると思っています。

例えば、

このAIは業務で使っていい。

この用途なら使っていい。

この情報は入力しない。

迷ったときはこの人に確認する。

こういったことを、組織としてある程度決めておいた方が使いやすくなります。

使う側のリテラシーだけに任せるのではなく、

個人が気をつけることと、組織が決めることを分ける。

そして、専門的な判断が必要なところでは専門家に確認する。

この方が現実的だと思っています。

人が足りないからこそ、「使わない」で終わらせたくない
自分は今も医療・介護の現場で働いています。

現場を見ていると、専門職が専門的な仕事だけに集中できているわけではありません。

情報の確認や収集、記録、書類作成、関係者への連絡など、診療やケアを支えるために必要な周辺業務にも、多くの時間が使われています。

この中に、AIや仕組みで負担を減らせる仕事があるのではないか。

自分は、そこから考えるのがいいと思っています。

そして医療・介護は、人に余裕のある業界ではありません。

だからこそ、

「AIは怖いから使わない」

だけで終わるのも違うと思っています。

AIで減らせる仕事があって、その時間を患者さんや利用者さんと向き合う時間に戻せるのであれば、そこには価値があります。

看護師が看護をする。

介護士が利用者さんと関わる。

医師が診療に集中する。

専門職が、本来やるべき仕事に使える時間を増やす。

そのためにAIを使う。

自分は、これが一番自然な使い方だと思っています。

「AIでできるか」から考えない
今回、医療・介護を例にしました。

でも、この考え方は医療だけの話ではありません。

顧客情報を扱う仕事。

社内情報を扱う仕事。

AIで文章や画像を作って外に出す仕事。

どれも、

「AIでできるか?」だけでは判断できません。

何をAIに任せるのか。

何を人が判断するのか。

どこは仕組みで解決するのか。

どこから先は組織や専門家に確認するのか。

そして、

そもそもAIを使う必要があるのか。

そこを一度整理してから使う。

これからAIが当たり前になっていくほど、こうした考え方が必要になるのではないかと思っています。

自分も、

「AIを導入すれば何か解決する」

とは考えていません。

まず、

何に困っているのか。
何を変えたいのか。

そこを整理する。

その中で、

AIに任せるところ。

人が判断するところ。

仕組みにした方がいいところ。

専門家に確認するところ。

そもそもやらなくてもいいところ。

を分けて考える。

AIを使うことよりも、
AIをどこで使うのかを決めること。

これからAIが当たり前になっていくほど、
その判断の方が大切になっていくのではないかと思っています。
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