格闘ゲームというジャンルがある。
昨今では、数多のゲームがひしめくジャンルではある。
しかしその中で、普段格ゲーをしない層にも普及を成功させたタイトルといえば、「ストリートファイター6」だろう。
発売日こそ2023年6月と既に3年前のゲームではあるが、今でも継続的なアップデートがなされており、キャラクターも増え続けてまだまだ人気が高い作品だ。
2026年3月17日、とあるキャラクターが新登場する。
その名は「アレックス」。
ストリートファイターⅢシリーズの主人公であり、前作ストリートファイターⅤにも出演していた筋骨隆々の大男だ。
ストリートファイター6に登場した彼は悪役レスラーの仮面を被り、プロレスに興じるヒール役となっていた。
しかしその本質は文字通り、ストリートで戦っていた頃の「ファイター」である。
彼がどのような道を辿って、レスラーにたどり着いたのかはまだ不明だが、私は彼に惹かれていた。
その理由は、ストリートファイターⅤにまで遡る。
彼、アレックスのことは「ストリートファイターⅢの主人公」としては知っていた。
しかし当時でも、ストリートファイターの顔といえばリュウであり、アレックスという存在は一般層に認知されるほどのキャラクターではなかったと感じる。
私も例に漏れず、アレックスのことを殆ど知らない一般層の1人であった。
では、なぜ彼のことを知り、惹かれるに至ったか。
それにはプロゲーマーの「どぐら」氏がアップロードした動画に端を発する。
彼はアレックスが「弱キャラ」と呼ばれていた頃に使用を始めていた。
「見たことないレベルの弱キャラがどんなものなのか」という動機だったように思う。
しかし一度使ってみると、アレックスは単なる弱いキャラではない。
使用者に、中毒性にも近い何かをもたらす「魅力」があった。
動画の中で、アレックスを使用するどぐら氏は時折おかしなテンションになる。
ゲームをしている人であれば理解していただけるだろうが、上手くいっている時や、思いもよらないことが起こった時、人はおかしなテンションになるものである。
最初、私はその様子をただただ面白いもの、として消費していた。
私のアレックスへの見方が変わったのは、アレックスが強化されるアップデート後の話だ。
どぐら氏が、同じくプロゲーマーの「なるお」氏を誘って対戦を始めた時のことである。
なるお氏の使用キャラは「カゲ」と呼ばれる、リュウの別形態だ。
スタンダードな技を持ちつつ、独自の高火力を出すことができる、玄人好みのキャラである。
そのなるお氏が、遠距離から波動拳を連打するシーンがあった。
近接キャラであるアレックスはそれに対して近づくのも苦労する上に、対処法はない。
……と、私は思い込んでいた。
フラッシュチョップという技でなるお氏が放った飛び道具をかき消しつつ、DDTという突進して投げを極める技を発動。
そのコンボにより、膠着を脱するばかりか、どぐら氏は勝負を決めてみせたのだ。
その時、私はアレックスの「手札の多さ」を知った。
決して凡庸な近距離の投げキャラではなく、様々な選択肢を持った、テクニックを必要とするキャラなのだと。
私のアレックスへ向ける目が、間違いなく変わった瞬間だった。