中小法人のAI導入、最初の一歩の選び方|何から手をつければ失敗しないのか

中小法人のAI導入、最初の一歩の選び方|何から手をつければ失敗しないのか

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IT・テクノロジー
「AIを導入したい」という相談を受けることが増えました。ただ、話を聞いていくと、多くの場合まだ「何に使うか」が決まっていません。

私は300人規模の医療法人で事務局長をしています。決して大きな組織ではありませんし、専任のシステム担当者もいません。その立場で、この1〜2年いろいろ試してきました。うまくいったこと、そうでなかったことの両方から、最初の一歩の選び方を書きます。


■ 選ぶ基準は3つ

任せる業務を選ぶとき、私が見ているのはこの3点です。

1. 繰り返しているか
 毎月やる、毎週やる仕事かどうか。1回きりの作業は、仕組みを作るコストのほうが高くつきます。逆に、毎月2時間かかる作業なら、年間で24時間。仕組みを作る価値があります。

2. 判断基準がはっきりしているか
 「この条件ならこうする」が言葉にできる仕事は任せやすい。逆に、ベテランの勘で決めている仕事は、まずその勘を言語化するところからです。

3. 間違えたときに取り返せるか
 最初の一歩に、失敗が取り返せない業務を選んではいけません。集計や下書きの作成なら、間違っていても確認の段階で気づけます。いきなり本番データの書き換えを任せるのは順番が違います。

この3つを満たす業務は、たいていの職場にあります。


■ 具体的にどこから始めたか

私の場合、最初にやったのは「毎月の勤怠チェック」でした。

毎月必ず発生する。判断基準は明確(打刻が抜けている、予定と実績が合わない)。そして、結果が間違っていても、確認して直せば済む。3つの条件をすべて満たしていました。

次に手をつけたのは、複数システムから毎月ダウンロードしていたデータの取得です。手順が完全に決まっていて、しかも毎月同じ。ここも効果が大きかった。

逆に、最初に手を出さなくて正解だったと思うのが、制度要件の判定です。診療報酬や介護保険の加算要件は、条文の読み方ひとつで結論が変わります。ここを早い段階で任せていたら、間違った結論のまま進んでいたと思います。実際、後から試したときも、それらしく見えて要件を1つ取りこぼした回答が返ってきました。


■ 失敗しやすい始め方

・全社的な仕組みから入る
 いきなり全部門を巻き込む計画を立てると、要件をまとめている間に熱が冷めます。まずは自分の手元の1業務です。

・ツールを先に決める
 「何のツールを入れるか」から入ると、業務のほうをツールに合わせることになります。業務が先、ツールは後です。

・時間短縮だけを目標にする
 「何時間減ったか」だけを追うと、続きません。私の実感では、いちばん効いたのは「見落としが減ったこと」と「後回しにしていた仕事に手が届くようになったこと」でした。

・完璧を目指す
 100点の自動化を目指すと完成しません。8割できたら人が仕上げる、で十分です。


■ 費用の話

意外に思われるかもしれませんが、私が使っているものの多くは無料か、月数千円の範囲です。

Pythonも、Excelを扱うライブラリも、シフト作成に使っている最適化ツールも無料。有料なのは生成AIの利用料くらいです。高額なシステムを入れなければ始められない、ということはありません。

最初にかかるのは、お金より「業務を整理する時間」です。


■ 半年後に効いてくること

小さく始めると、副次的な効果があります。

ひとつは、業務が言語化されること。自動化するには手順を書き出す必要があるので、結果としてマニュアルが出来上がります。担当者が変わったときに効きます。

もうひとつは、社内の空気が変わること。1つでも実例ができると、「うちの部署のあの作業もできないか」という相談が来るようになります。この段階まで来ると、あとは自然に広がっていきます。


■ まとめ

最初の一歩は、繰り返していて、基準が明確で、間違っても取り返せる業務。自分の手元の1業務から。ツールより先に業務を決める。

大きく構えないほうが、結果的に早く進みます。


「うちの業務でも使えるか」「どこから手をつけるべきか」といった段階のご相談を、ココナラの「医療・介護の事務をPythonで自動化します」で受け付けています。医療・介護に限らず、毎月の集計や書類作成でお困りの方はお気軽にどうぞ。業務の中身を伺って、そもそも仕組み化すべきかどうかからお話しします。
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