オスカーワイルド「ドリアン・グレイの肖像」は、名言だらけの小説。

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この作品を読んで、驚くのは、
各ページに「名言」がちりばめられているということ。
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序文には、彼が提唱している芸術至上主義の
アフォリズムが記載されています。
芸術家にとっては美徳も悪徳も芸術の題材である
道徳的な正しさには価値を置いていません。
コンプライアンス云々で自主規制してしまう昨今では
芸術の幅が狭くなってしまっているのでしょうねぇ・・・(;^_^A
はたまた、
芸術が映し出すものは、作者の人生ではなく、観客である
これは、作品の鑑賞においては
観客の人生経験が試される、ということでしょうか・・(;^_^A
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第一章では、
ヘンリー卿が、友人の画家バジルが描いた肖像画を目にします。
画家バジルは言う。
気持ちを込めて描かれた肖像画は
それを描いた画家の肖像画なのだ
そして、画家バジルは
ドリアングレイに出会った時のことを回想するのです。
バジルは
美しい青年ドリアングレイを一目見て
逃げ出してしまった・・・。
ヘンリー卿は言う
良心と臆病は本当は同じものさ。良心の方を看板にしているだけだ
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第2章では、
画家バジルが、ドリアングレイを描いている傍らで
ヘンリー卿は言う。
影響というものは、不道徳なものです。
相手は自分本来の考えをなくし、美徳さえ本来のものではなくなる
ドリアングレイが壊れていくことを暗示しています・・・。
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さらに
ヘンリー卿は、ドリアングレイに言う。
美は、才能の一つ。美は人を支配者にするのです
そして、言う
神々は、与えたものをあまりに早く奪い去っていく
ヘンリー卿は、ドリアングレイに
由々しき影響を与えてしまった・・・。
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第3章では、
ドリアングレイの出自を調べるヘンリー卿。
由々しき過去がわかってくる。
ヘンリー卿は言う
この世に存在する美の裏側には
必ず悲劇的な要素が潜んでいる
たぐいまれなる美青年の運命や如何に。
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夢のように楽しい食事の席でのおしゃべり。
が、時間は有限です。
オスカーワイルドは、このように表現しています。
曰く・・・
「現実」が、召使という姿をまとって部屋に現れ
侯爵夫人に馬車が待っている旨を告げた。
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第4章では、
美しき女優シビルと出会うドリアングレイ。
ヘンリー卿は言う
結婚などやめておけ。
男は疲れたから結婚する。
女は好奇心から結婚する。
そして両方ともがっかりするんだ
まさに真実です・・・(;^_^A
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ヘンリー卿は、さらに言う
恋に落ちると人は必ず自分を欺くことから始める。
そして、相手を欺くことで終わる。
これが世にいうロマンスというものだ
まさに真実です・・・(;^_^A
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なぜ、ヘンリー卿は、
ドリアングレイに関わりを持ち始めたか。
それがこの章に描かれています。
彼は、自らの作品を作りたかったのでしょうか・・・。
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第5章で、
美しき女優シビルは、ドリアングレイと出会ったことを
母親に告げる。
が、母親は、いぶかしむ。
恋に盲目となったシビルには、母親の言葉は耳に届かない。
その様子を、オスカーワイルドはこう表現します。
古ぼけた椅子に座った「知恵」が、薄い唇で彼女に話しかける。
常識という名のもとに、人まねの言葉を連ねただけの「臆病の本」を
引用する
 なんといううまい表現でしょう・・・。
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第6章では
ドリアングレイが女優と婚約したことを
ヘンリー卿は、画家のバジルに告げる。
貴族であるドリアングレイとは釣り合わないと
反対するバジル。
ヘンリー卿は言う。
結婚させたいのなら、今の言葉をドリアンに言うんだな
どう見ても馬鹿げたことをするときは
必ず崇高な目的があるものだ
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ドリアングレイが女優と婚約したことを
なおも反対するバジル。
ヘンリー卿は言う。
人の本質を傷つけたかったら
それを強制するだけでいい
怖いことに、ヘンリー卿がまさにそれを
ドリアングレイに行っている・・・。
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ヘンリー卿と画家のバジルが話していると
ドリアングレイ本人が現れる。
彼は女優シビルへの純愛を朗々と語る。
まだ「善良」である。
一方で「快楽至上主義」を語るヘンリー卿。
オスカーワイルドの一人芝居なのでしょうか。
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第6章では
ドリアングレイは、ヘンリー卿と画家のバジルを
女優シビルが出演する劇場へ連れてゆく。
が、彼女の演技はまるで棒読みのセリフの連続だった。
それを見たドリアングレイは
シビルが愛せなくなってしまう。
ドリアングレイはヘンリー卿の影響で
芸術至上主義に染まっていたのです・・・。
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シビルに芸術性を見出せなくなっただけで
ドリアングレイは別れを告げる。
彼女が演技ができなくなった理由。
それは、あまりにもドリアングレイを愛しすぎた余り
演技に気持ちが入らなくなっていたのです・・・。
それなのに、ああ、それなのに・・・。
ドリアングレイの人生は如何なるや。




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