私は昔から犬より猫派。
両親は猫より犬派。
で、小学生くらいの時にハムスターを飼っていた。
全部お陀仏になってからは何も飼っていなかったのだが、川沿いを自転車で通っていたら
茂みに弱弱しく動く子猫を見つけた。
夏の暑い日だった。
水だけでも飲ませてやろうと公園に連れていき、自分の服の裾(ハンカチをもっていなかったので)を水で濡らして子猫の口元にやったが、
飲めていない。
どうしようかと考えてしょうがないから家に連れて帰った。
すると母が、「責任持てるの?」と、嫌な顔をして私に言った。
当時小学生高学年。
猫は好きだが触るのは初めて。しかも子猫。育て方も知らない。
責任。
頭の中が真っ白になった。
私は自分の考えが及ばないことになると途端に頭の中が真っ白になる。
何も言えなくて、「飼えないなら元の場所に置いていなさい」と言われた。
しぶしぶ引き返すが、元の草むらは日当たりもいいし、衰弱している子猫には厳しい場所だ。
すぐに誰かに見つけてもらうためにはどこがいいか。
公園のベンチの下に、子猫を置いた。
他に考えがなかった。
動物を死なせるのと一緒のことだという考えもなく、どうか誰かが早く見つけて飼ってくれ。
そう願いながらその場を去った。
翌日、公園のベンチの下を覗きに行ったら、子猫はいなかった。
死んでしまった?
誰かが連れ帰った?
どちらにしろ、私は犯罪者だ。
社会人になって統合失調症になり、職場を辞めてから、両親が私を外に連れ出すことが多くなった。
たまたま行った運動公園で、ぐるっと散歩をしていた時。
ふと、私の頭の中に知らない映像が浮かんだ。
「今度ここに来るときは犬といっしょがいな」
映像をそのまま口にだしたら、
両親は犬ならよかったのか、あの子猫の時とは別に
いい顔をしてペットショップに連れていかれた。
そして、犬を飼うことになった。
母も父も犬にベタ惚れ。
私は、少し嫌な気分だったが、自分から言い出したのだ、しょうがない。
私は結婚して夫の住むアパートへ。
そこには猫がいた。
犬より柔らかくてかわいい。
触ると折れてしまいそうで最初は戸惑ったが、2年目あたりから慣れてきた。
付き合っていた時、デートでも猫カフェへ2度行った。
猫との付き合い方がわからなかった。
でも、念願の猫との暮らし。
今では実家の犬より夫の猫の方が大好き。
実家の犬もわしゃわしゃしてやるけれど、やはり久しぶりに触ると猫より毛が硬い。
責任。
それが今では動物愛護の情報があちらあこちらに転がっていて、よく目にすることになった。
あの子猫は、生きてくれただろうか。
今でも忘れられない、幼いころの記憶である。