魔術師との出会い

魔術師との出会い

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光を目指して歩いているうちに
ちび愚者の足もとにいつのまにか細い道ができていました。
さっきまではどこにも道なんてなかったのに。
小さな犬が不思議そうにくんくんと地面のにおいをかぎます。
「ねえ、これは道?」
ちび愚者は、白い花を持ったまま首をかしげました。
「たぶん……歩いたからできたのかも」

しばらく歩くと茂みが現れ、その中の少し先に
バラで囲まれた小さなテーブルが見えました。
その上には、

剣のようなもの。

杯のようなもの。

丸い金貨のようなもの。

そして、細い杖のようなものが並んでいます。

テーブルの向こうには、赤い服を着た人が立っていました。
その人はにっこり笑って、ちび愚者に言いました。

「ようこそ。ここまで来たんだね」
「あなたはだれ?」
ちび愚者がたずねると、その人は片手を空へ、
もう片方の手を地面へ向けました。
「私は魔術師。
何かを始める人に道具の使い方を教えるんだ」
ちび愚者はテーブルの上をじっと見つめました。

「でも、ぼくには何もないよ。

地図もないし、何ができるかもわからない」
魔術師は、やさしく首をふりました。
「何もないように見えるだけだ。

君は、その花を持っている。

歩いてきた足がある。

光を見つけた目がある。

そして、
『行ってみる』と決めた心がある」


ちび愚者は、自分の手の中の白い花を見ました。
ただ持っていただけの花が、少しだけ明るく光った気がしました。
小さな犬が、テーブルの下から顔を出して魔術師に尋ねます。
「ぼくにも何かある?」
魔術師は笑いました。
「もちろん。

君には、気づく鼻と、ついていく勇気がある」
犬は、ちょっと得意そうに胸を張りました。


魔術師は、テーブルの上の小さな杖を取り、ちび愚者の前に置きました。
「これは、何かを起こすための道具。

でも、本当に大事なのは道具そのものじゃない。

『使ってみよう』と思うことなんだ」
ちび愚者はその杖を見つめながら思いました。
できるかどうかはわからない。

うまく使えるかもわからない。
けれど胸の奥で、小さな光がまたひとつ灯りました。

「…少しだけ、やってみてもいい?」
魔術師はうなずきました。
「それが、始まりだよ」
ちび愚者は、白い花をテーブルの上にそっと置き、
そして、小さな杖に手を伸ばしました。
すぐには何も起こりません。
でも、何かが始まろうとしていました。



今日の小さな道しるべ1.png

魔術師のカードは「何かができる準備はもう手の中にある」と
教えてくれるカードです。

完璧な自信がなくても、今あるものをひとつ使ってみることで
物事は少しずつ動き始めます。
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