APEXのランクでよく聞く言葉がある。
「もっと丁寧にプレイしよう」
ところが、この言葉ほど誤解されているものはない。
多くのプレイヤーは、丁寧を「リスクを取らないこと」だと思っている。 だからランクに行くと急に動かなくなる。
撃たない。 詰めない。 漁夫に行かない。 有利ポジからも圧をかけない。
要するに、「何もしない」。
だが、それは丁寧なのではない。 ただ怖がっているだけだ。
そもそもAPEXというゲームは、リスクから逃れられない構造をしている。
移動するのもリスク。 アンチへ先入りするのもリスク。 戦闘を始めるのもリスク。 戦闘を避けるのもリスクだ。
極端な話、建物に籠もり続けるという判断ですらリスクを伴う。
つまり問題は、リスクを取るか取らないかではない。
どのリスクを受け入れ、 どのリスクを避けるのか。
そこにしか判断の本質は存在しない。
上達しないプレイヤーほど、「リスクを避けている自分」を丁寧だと思い込む。
しかし実際には違う。
丁寧とは、リスクを認識することだ。
敵部隊の位置はどうか。 挟まれる可能性はあるか。 味方との距離は適切か。 戦闘時間は長引かないか。
そうした要素を踏まえたうえで、
「それでも行く」
と判断できること。
これが本来の丁寧さである。
誤解してはいけない。
勝つプレイヤーはリスクを取らないのではない。
リスクを評価しているのだ。
だから強いプレイヤーほど、驚くほど大胆に見える。
彼らは無謀なのではない。 勝率の高い賭けをしているだけである。
一方で、弱いプレイヤーほど慎重そうに見える。
だが実際には何も評価できていない。
ただ恐怖によって行動を止めているだけだ。
ランクで萎縮してしまう人への処方箋は単純である。
ランクをカジュアルのようなテンションでプレイすることだ。
もちろん雑にプレイしろという意味ではない。
手は動かす。 戦闘もする。 主導権も握る。
そのうえで頭だけは冷静に使う。
「この戦闘の失敗条件は何か」 「この移動で失うものは何か」 「この漁夫は期待値があるのか」
を考え続ける。
つまり精神状態はカジュアル。 思考だけはランクなのである。
結局のところ、カジュアルで丁寧にプレイできない人間は、ランクでも丁寧にプレイできない。
ランクになると急に大人しくなる人は多い。
だがそれは成長ではない。
慎重になった気になっているだけだ。
むしろ最も危険なのは、「丁寧にやっている風」の状態である。
行動しないから失敗しない。 失敗しないから学ばない。 学ばないから変わらない。
その停滞を、本人だけが安定と勘違いしている。
丁寧とは消極性ではない。
丁寧とは、世界を正しく見ることである。
リスクを見積もり、 リターンを見積もり、 それでも前に出る。
APEXにおける丁寧さとは、臆病さの別名ではない。
むしろ、恐怖に支配されない知性のことである。