実務経験がない人ほど技術選定にこだわりすぎる

実務経験がない人ほど技術選定にこだわりすぎる

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IT・テクノロジー
プログラミングを学んでいると、技術選定について悩む場面が増えてきます。

「ReactとVueはどちらがいいのか」

「Next.jsを使うべきか、Astroを使うべきか」

「WordPressはもう古いのか」

「PHPよりTypeScriptを学ぶべきなのか」

こうした疑問を持つこと自体は悪くありません。

しかし、実務経験が少ない人ほど、技術選定に必要以上の時間を使ってしまう傾向があります。

まだ何も作っていないのに、最適な技術を探し続ける。

案件を受けていないのに、将来性のある言語を比較し続ける。

顧客の要望を聞いていないのに、モダンな構成を考え続ける。

これは一見すると勉強熱心に見えますが、実際には手を動かさないための逃げになっていることがあります。

技術選定は、目的があって初めて成立する

技術選定で最も重要なのは、どの技術が優れているかではありません。

「何を実現したいのか」です。

例えば、企業のコーポレートサイトを作る場合でも、条件によって適切な技術は変わります。

更新を顧客自身で行いたいのであれば、WordPressが向いているかもしれません。

更新頻度が低く、表示速度を重視するのであれば、静的サイトが向いているかもしれません。

短期間、低予算で公開することが最優先なら、既存テーマやノーコードツールが適している可能性もあります。

つまり、技術は目的を達成するための手段です。

目的や条件が決まっていない状態で技術を比較しても、正しい答えは出ません。

それにもかかわらず、実務経験がない時期ほど、技術そのものに答えを求めてしまいます。

実務では「一番新しい技術」が選ばれるわけではない

学習中は、最新技術やモダンな開発環境に魅力を感じやすいものです。

SNSや技術記事でも、新しいフレームワークやツールが頻繁に紹介されます。

そのため、古い技術を使うことに不安を感じる人もいます。

しかし、実務では一番新しい技術が選ばれるとは限りません。

むしろ、次のような点が重視されます。

納期までに完成できるか
予算内に収まるか
保守や修正がしやすいか
担当者が変わっても運用できるか
既存環境と連携できるか
問題が発生したときに対応できるか

どれだけ新しい技術でも、開発者本人しか扱えなければ保守性は低くなります。

構築に時間がかかり、予算を超えるのであれば、顧客にとって良い選択とは言えません。

実務における技術選定は、技術力を見せるために行うものではありません。

プロジェクトを安全に完了させるために行うものです。

技術選定にこだわることで、失敗を避けようとしている

実務経験がない人が技術選定にこだわる理由の一つは、失敗したくないからです。

最初から正しい技術を選びたい。

将来使えなくなる技術を学びたくない。

遠回りをしたくない。

その気持ちは理解できます。

しかし、実際には、最初から完璧な技術選定をすることはできません。

なぜなら、判断に必要な情報が不足しているからです。

どこで開発が難しくなるのか。

どこで修正が増えるのか。

顧客がどの部分で困るのか。

運用開始後にどのような問題が起こるのか。

これらは、実際に作り、納品し、運用しなければ分かりません。

つまり、技術選定の精度は、比較記事を読んだ数ではなく、失敗や修正を経験した数によって上がっていきます。

経験がない状態で最適解を探し続けても、判断材料は増えません。

作らない限り、技術の違いは理解できない

フレームワークの比較記事を読めば、それぞれの特徴は理解できます。

しかし、実際の使い勝手までは分かりません。

環境構築は簡単なのか。

デプロイで問題が起きないか。

画像やフォームの実装はしやすいか。

更新作業にどれくらい時間がかかるか。

半年後にコードを見直して修正できるか。

こうしたことは、実際に使って初めて理解できます。

例えば、表示速度が速いと評判の技術を選んでも、画像の最適化やサーバー設定が不十分なら、サイトは遅くなります。

開発効率が高いと言われるフレームワークでも、知識が不足していれば、単純な修正に何時間もかかります。

技術の性能と、自分がその技術を扱ったときの生産性は別物です。

自分にとって適切な技術は、実際に作らなければ判断できません。

技術選定より重要なのは、完成させる力

実務経験がない段階では、技術選定よりも優先すべきことがあります。

それは、何かを最後まで完成させることです。

小さなWebサイトでも構いません。

簡単なアプリでも構いません。

一つの制作物を、設計から公開まで完了させることが重要です。

途中まで作った作品を10個持っている人よりも、公開して運用した作品を1個持っている人の方が、多くのことを学んでいます。

完成させる過程では、必ず問題が起きます。

想定していたデザインが実装できない。

スマートフォンでレイアウトが崩れる。

フォームからメールが届かない。

公開後に修正依頼が発生する。

こうした問題を解決することで、初めて技術選定の判断基準が身につきます。

技術選定には、制約が必要

技術選定で迷い続ける人は、選択肢を広げすぎています。

世の中にあるすべての技術から最適なものを選ぼうとするため、決められなくなります。

しかし、実務では必ず制約があります。

予算、納期、人員、既存システム、サーバー、顧客のスキルなどです。

例えば、次のように条件を決めれば、選択肢は自然に絞られます。

1か月以内に公開する
一人で制作する
顧客が更新できるようにする
月額費用を抑える
自分が保守できる技術を使う

この条件であれば、選ぶべき技術はある程度見えてきます。

技術選定とは、無限にある選択肢から最高のものを探す作業ではありません。

制約の中で、最も現実的なものを選ぶ作業です。

「将来性」だけで技術を選んではいけない

技術選定の話になると、必ず将来性という言葉が出てきます。

もちろん、今後使われる可能性が高い技術を学ぶことは重要です。

しかし、将来性だけを基準にすると、目の前の仕事が見えなくなります。

将来伸びるかもしれない技術を学び続けても、その技術を使う案件を獲得できなければ収入にはなりません。

反対に、古いと言われる技術でも、現在多くの企業で使われており、修正や保守の需要があるなら仕事になります。

技術者として重要なのは、流行している技術を知っていることではありません。

相手の課題を解決できることです。

将来性は判断材料の一つですが、すべてではありません。

実務経験が増えると、技術選定はシンプルになる

経験を積むと、技術選定について延々と悩まなくなります。

どの技術にも、メリットとデメリットがあると理解するからです。

完璧な技術はありません。

高機能な技術は複雑になりやすく、シンプルな技術は拡張性が不足することがあります。

表示速度を重視すれば、更新のしやすさが犠牲になる場合もあります。

開発効率を優先すれば、特定のサービスやフレームワークへの依存が強くなることもあります。

経験者は、欠点のない技術を探しません。

プロジェクトにとって許容できる欠点を持つ技術を選びます。

この視点は、実務を経験しなければ身につきにくいものです。

まずは知っている技術で作ればいい

学習を始めたばかりの段階では、最適な技術を選ぶ必要はありません。

まずは、自分が現在扱える技術を使って完成させるべきです。

HTML、CSS、JavaScriptしか分からないのであれば、それでサイトを作ればいい。

WordPressを扱えるのであれば、WordPressで一つのサイトを公開すればいい。

Reactを学んでいるのであれば、小さなアプリを最後まで作ればいい。

作った後に、不便だった点を振り返ります。

更新が大変だった。

コードが複雑になった。

表示速度が遅かった。

修正に時間がかかった。

そこで初めて、別の技術を選ぶ理由が生まれます。

技術選定は、作る前に完璧に行うものではありません。

作った後の反省を、次の制作に生かしていくものです。

まとめ

実務経験がない人ほど、技術選定にこだわりすぎることがあります。

しかし、技術選定の精度は、情報収集だけでは上がりません。

実際に作り、完成させ、公開し、修正することで上がっていきます。

どの言語が最強なのか。

どのフレームワークが将来残るのか。

どの構成が最もモダンなのか。

こうしたことを考え続けても、実務能力はほとんど変わりません。

重要なのは、今ある技術で誰かの課題を解決することです。

技術選定に迷ったら、最も優れた技術を探すのではなく、次のことを考えてみてください。

「この条件で、最後まで完成させられる技術はどれか」

実務では、その答えの方がはるかに重要です。
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