ECやWebマーケティングに関わっていると、「売上を伸ばしたいけれど、何から手をつければいいか分からない」という状況によく出会います。
Amazon広告を改善するのか、SEOを強化するのか、InstagramやXを伸ばすのか、LPを改善するのか。調べれば調べるほど「やった方がいいこと」が増えていきます。
私自身、これまでAmazon・楽天・Yahoo!ショッピング・Qoo10・TikTok Shop・自社ECなどの運営をはじめ、Web広告、SEO、SNS、LP改善、商品企画、Webサイト改善など、EC・Webマーケティング領域を横断して実務に携わってきました。
その中で感じているのは、売上を伸ばすために大切なのは、施策をたくさん知っていることではないということです。
むしろ重要なのは、「今、一番どこが詰まっているのか」を見つけることです。
広告もSEOもSNSもLP改善も重要です。ただし、全部を同時にやる必要はありません。
今回は、ECやWebマーケティングで「結局、何からやればいいんだろう」となったときに、私自身が実務でどのように整理しているのかを書いてみます。
【売上が伸びない=集客が足りない、とは限らない】
売上が伸びないとき、最初に思いつきやすいのが「もっと人を集めよう」という考えです。広告費を増やす、SEO記事を増やす、SNS投稿を増やす、インフルエンサーを使う。もちろん、本当に流入不足なのであれば正しい施策です。
ただ、実際には集客を増やす前に確認した方がいいことがあります。
ECの売上までの流れをかなりシンプルにすると、「表示される→クリックされる→商品ページを見る→購入する」と分解できます。
売上が伸びない原因は、「そもそも表示されていない」「表示されているけれどクリックされない」「商品ページまでは来ているけれど購入されない」など、発生している場所によって異なります。
ここを切り分けずに「売上が悪いから広告費を増やそう」とすると、商品ページに問題があるのにアクセスだけを増やしてしまうことがあります。
すでに十分なアクセスがあるのに購入率が低いのであれば、広告を増やす前に、商品の見せ方、価格、レビュー、商品説明、画像、ファーストビュー、競合との差などを見た方が改善につながるかもしれません。
一方で、購入率は悪くないけれど、そもそものアクセスが少ないのであれば、広告・SEO・SNS・外部流入などを強化する。
この順番を整理するだけでも、やることはかなり絞れます。
【私が最初に考えるのは「何をやるか」ではなく「どこの数字を動かすか」】
マーケティングというと、新しい広告やSNS企画を考える仕事というイメージを持たれることもあります。
ただ、私は最初から施策を考えることはあまりありません。まず数字を分解します。
例えばECの売上であれば、「アクセス数×購入率×客単価」という形でも整理できます。
広告なら、「表示回数→クリック率→クリック数→商品ページ→購入率→注文数」と分けていきます。
こうすると、「広告が悪い」という曖昧な状態から、「表示はされているけれどクリック率が低い」「クリックはされているけれど商品ページから購入されていない」というところまで問題を具体化できます。
「売上を30%上げたい」という目標だけでは、具体的な施策は決まりません。
アクセスを増やすのか、購入率を上げるのか、客単価を上げるのか、リピーターを増やすのか。どこの数字を動かすかによって、やることはまったく変わります。
だから私は、「何をやるか」を考える前に、「どこの数字を動かすべきか」を見るようにしています。
【Amazon広告はROASだけでは判断しない】
Amazon広告ではROASが分かりやすい指標なので、どうしても注目されやすくなります。
ただし、ROASが高いから広告運用がすべてうまくいっているとは限りません。
例えばブランド名や商品名を直接検索している、すでに購入意欲の高いユーザーばかりに広告が配信されていれば、ROASは高くなりやすいです。
しかし、そのユーザーは広告を出さなくても購入していた可能性があります。
逆に、まだ商品を知らないユーザーを獲得するために新しいキーワードを開拓していけば、最初はROASが低くなることもあります。
つまり、ROAS200%だから良い、150%だから悪い、という単純な話ではありません。
その広告が「既存需要から売上を取るための広告」なのか、「新しい顧客を探すための広告」なのかによって役割が違います。
私自身Amazon広告を運用する中では、オートターゲティングで検索語句を確認し、成果が出てきたものを拡張し、さらに成果が安定したキーワードを完全一致で管理する、といった形で段階的に整理していました。
全部の広告を同じ箱に入れるのではなく、「探索する場所」と「成果を取りにいく場所」を分けるイメージです。
実務では、こうした構造の整理や運用改善を進めながら、ROAS200%超を維持しつつ広告費を月50〜100万円程度削減し、売上も伸ばせたケースがあります。
ただ、その成果以上に重要だったと思っているのは、「どこに広告費を使うべきか」「どこを止めるか」を判断できる状態を作ったことです。
【LPは全部作り直さなくても改善することがある】
売上が伸びないと、「LPをリニューアルしましょう」という話になることがあります。
もちろん全面的に作り直した方がいいケースもあります。ただ、LPは全部作り直せば良くなるものでもありません。
以前LPを改善した際には、ユーザーが購入判断で重視していると考えた口コミ・評判の訴求位置を変更しました。
もともとページの後半にあった内容を前の方へ移動させてテストした結果、デイリー売上が約3倍になったケースがあります。
もちろん、「口コミを上に移せば売上が3倍になる」という話ではありません。
ここで重要なのは、「企業側が伝えたい順番」と「購入者が知りたい順番」は違うことがあるということです。
企業側は商品の成分や特徴、開発背景などを説明したくなります。しかし購入者は、「本当に良いのか」「他の人はどう感じているのか」「自分に合うのか」「他の商品ではなくこれを選ぶ理由は何か」という視点で見ています。
LP改善では、情報量を増やすことよりも、「何を、どの順番で見せるのか」を考える方が重要になることがあります。
【SEOは記事を書けば終わりではない】
SEOも、Webマーケティングの相談ではよく出てくるテーマです。
「SEOをやりたいので記事を増やしたい」という相談はよくありますし、記事を増やすこと自体が必要なケースもあります。
ただ、記事数を増やすことが目的になると、アクセスは増えたけれど売上や問い合わせにつながらないという状態になります。
私自身、WordPressでSEO記事を制作し、キーワード選定から構成、執筆まで担当して、特定キーワードで検索順位3位以内を獲得した経験があります。
また、個人で支援しているWebサイトでは80記事以上のSEOコンテンツを制作し、月間約14,000UU、月10件程度の問い合わせにつながったケースもあります。
ここで大切にしていたのは、検索順位だけを見るのではなく、「検索した人が次に何をするのか」まで考えることでした。
Google検索から記事に入ってくる。記事を読む。会社やサービスに興味を持つ。サービスページを見る。問い合わせる。
検索順位1位になっても、サービスへの導線がなければ問い合わせにはつながりません。
逆に、月間検索数がそれほど多くないキーワードでも、サービスとの相性が非常に良ければ問い合わせにつながることがあります。
SEOを考えるときも、「アクセスを増やす施策」ではなく「最終的なCVまでの導線」として見ることが重要だと思っています。
【SNSはフォロワー数だけを追わない】
X、Instagram、TikTokなどのSNSについても、「やった方がいいですか?」と聞かれることがあります。
SNSは非常に強力な施策ですが、「SNSを運用すること」が目的になると、毎日投稿することやフォロワーを増やすことだけに目が向きます。
私自身、Xをゼロから約1,000フォロワー規模まで伸ばした経験や、InstagramでUGCを継続的に生み出す施策にも携わってきました。
ただ、フォロワー数だけを成果にはしていませんでした。
SNSからECの商品ページへ送客する。商品名を覚えてもらう。UGCを増やす。広告素材としてUGCを活用する。指名検索につなげる。
こうした形で、SNSがEC全体の中でどんな役割を持つのかを考えます。
フォロワーが1万人になっても売上との関係がまったく分からない状態より、フォロワーが少なくても、商品ページへの流入や指名検索が増えている状態の方が、ビジネスとして価値があるケースもあります。
【Yahoo!ショッピングの売上改善でも、魔法の施策はなかった】
Yahoo!ショッピングを運営していた際には、配送条件、広告、商品ページ、外部流入、販売導線などを見ながら改善を行いました。
結果として、売上が約5倍まで伸びたケースがあります。
ただ、「この施策を1個やったから売上が5倍になった」とは考えていません。
ECでは、表示順位が変わる、クリック率が変わる、商品ページのCVRが変わる、広告効率が改善する、外部流入が増える、といった複数の要素が連動しています。
一つひとつを見ると小さな改善でも、それが積み重なると大きな売上差になります。
そのため私は、売上改善で「一発逆転の施策」を探すというよりも、「現在あるボトルネックを順番に取り除いていく」という考え方をしています。
【少人数の会社ほど「やらないこと」を決める】
個人的には、ここがかなり重要だと思っています。
担当者が1〜2名しかいない会社で、Amazon、楽天、Yahoo!、自社EC、SEO、Instagram、X、TikTok、YouTube、広告、メルマガ、LINEをすべて高いレベルで運用するのは現実的ではありません。
それでも、新しい施策や媒体が出ると、「うちもやった方がいいのでは?」となりがちです。
結果として、全部少しずつやっているけれど、どれも改善する時間がないという状態になります。
「やった方がいい施策」と「今やるべき施策」は別物です。
例えば商品ページのCVRが低いのに新しいSNSを始める。Amazon広告で検索語句を一度も分析していないのに広告費だけ増やす。問い合わせ導線が弱いのにSEO記事だけ大量に増やす。
こうした場合、新しいことを増やすより、既存の施策を改善した方が成果につながる可能性があります。
何をやるかだけではなく、「今はこれをやらない」と決めることもマーケティングの一つだと思っています。
【業務効率化もマーケティング改善の一部】
EC運営では、毎日の細かい作業もかなり発生します。
レポートを作る、広告を確認する、数字を転記する、在庫を確認する、SNSを分析する。
私自身、Excel VBAや広告運用ツールなどを利用して業務を効率化してきました。
Amazon広告ではツール導入によって、入札調整やレポート作成などの工数を70〜80%程度削減できたケースもあります。
ここで重要なのは、「便利なツールを使うこと」ではありません。
単純作業を減らして、人間が考える時間を増やすことです。
毎日30分かかっていた作業が5分になれば、残った25分を商品ページ改善や広告分析、顧客理解、新商品企画などに使えます。
売上改善というと、広告やSEOの話ばかりになりやすいですが、「改善する時間を作ること」も事業を伸ばすためには重要です。
【相談を受けたとき、私はいきなり施策を提案しない】
もし「ECの売上を伸ばしたい」という相談を受けた場合、私はいきなり「広告を増やしましょう」「SEOをやりましょう」とは言いません。
まず確認したいのは、「何を売っているのか」「どこからユーザーが来ているのか」「どこで離脱しているのか」「現在何をやっているのか」「使える予算や人員はどのくらいあるのか」といった部分です。
同じ売上100万円のECでも、利益率10%の商品と70%の商品では、使える広告費が違います。
月5万円しか使えない会社と、月100万円使える会社でも戦略は変わります。
担当者が5人いる会社と、社長1人でECを運営している会社でも違います。
理論上最も優れた施策でも、実行できなければ意味がありません。
だから、現状とリソースを踏まえた上で、「この会社ならまずここ」というところまで絞る必要があります。
【30分でも、課題を整理することはできる】
今回ココナラでEC・Webマーケティングの30分相談サービスを作ったのも、こうした考えがあるからです。
「広告運用をお願いしたい」「SEO記事を書いてほしい」という段階まで決まっている人だけではなく、「そもそも何を依頼すればいいのか分からない」という方も多いと思っています。
Amazon広告を改善するべきなのか。SEOを始めるべきなのか。SNSに力を入れるべきなのか。LPを改善するべきなのか。
この状態でいきなり数万円、数十万円を使って施策を始めるより、一度状況を整理した方が良いことがあります。
30分ですべてを分析することはできません。
ただ、「まず何を見るべきか」「どこに問題がありそうか」「何を優先するか」「逆に今は何をやらなくていいか」という整理はできます。
施策を大量に提案して、相談前よりやることが増えてしまうのでは意味がありません。
相談後に、「とりあえず次はこれを確認しよう」と思える状態を作ることを大切にしています。
【EC・広告・SEO・SNSは、購入者から見ると全部つながっている】
企業側では、広告担当、SEO担当、SNS担当、EC担当と分かれていることがあります。
しかし、購入者から見ると全部つながっています。
Instagramで商品を知る。Googleで検索する。口コミを見る。Amazonでも検索する。商品ページを見る。後日広告が表示される。そして購入する。
一人のユーザーが複数のチャネルを行き来しています。
そのため、「SEOだけ」「広告だけ」「SNSだけ」を見るのではなく、最終的にどのように購入までつながっているのかを見る必要があります。
私自身、EC、広告、SEO、SNS、LP、Webサイト改善などを横断してきたので、一つの施策だけではなく、その前後まで含めて考えることを大切にしています。
【最後に】
ECやWebマーケティングでは、新しい施策が次々と出てきます。
生成AI、TikTok、ショート動画、新しい広告媒体、新しいSEO手法、新しい分析ツール。
どれも使い方次第では非常に有効です。
ただ、新しいことを始める前に一度、「今の売上を止めている一番大きな原因は何だろう?」と考えてみることをおすすめします。
広告なのか。商品ページなのか。SEOなのか。認知なのか。価格なのか。レビューなのか。導線なのか。
もしかすると、「新しい施策が足りないこと」が問題ではないかもしれません。
私自身、これまでEC運営や広告改善に関わってきて感じているのは、大きな改善ほど、一つの派手な施策ではなく、小さなボトルネックを一つずつ取り除いていった結果として生まれることが多いということです。
「数字を見ても、どこが問題なのか分からない」「広告、SEO、SNS、LPのどれからやればいいか迷っている」「社内にマーケティングについて壁打ちできる人がいない」という場合は、一度状況を整理してみるだけでも次の動きが見えやすくなります。
ココナラでは、EC・Webマーケティングについて30分で課題を整理するビデオチャット相談も出品しています。
きれいな資料を作っていただく必要はありません。
「今こういう状態なんですが、何からやればいいですか?」という段階からでも大丈夫です。
30分ですべてを解決するサービスではありませんが、「まず何を見るのか」「何を優先するのか」「次に何をするのか」を整理する時間にはできると思っています。
施策を増やす前に、まず課題を整理する。
EC・Webマーケティングで迷ったとき、私はそこから始めています。