Webサイトの制作会社や担当者が変わるとき、「画面は見られるから大丈夫」と思っていませんか。サイトが表示されていても、契約の更新、障害時の対応、バックアップの確認など、引き継がれていない仕事が残ることがあります。
2026年10月9日、IPAは不正アクセス事案を踏まえ、外部公開サービスや利用中のサービス、アカウントの点検を呼びかけました。また、IPAの中小企業向けガイドラインは、取引先との役割分担、問題が起きたときの対応、契約終了時の権限の扱いを明確にするよう示しています。
AIは契約の責任者を決める道具ではありません。ただし、引き継ぎ資料を整理し、「書かれていないこと」を質問として挙げる補助には使えます。
【1.何を引き継ぐか】
まず、対象を一枚の表にします。Webサイト本体だけでなく、ドメイン、サーバー、メール、問い合わせフォーム、バックアップなども候補です。各項目に「契約者」「管理担当」「更新期限」「現在の保守担当」を記入します。
たとえばドメインの契約者が会社で、更新操作だけ制作会社に任せている場合、次の担当者へ何を渡すべきかが見えます。空欄はAIに埋めさせず、「未確認」と残します。
【2.誰がどこまで行うか】
「保守一式」だけでは、実際の作業範囲が分かりません。更新、障害調査、復旧、バックアップ、問い合わせ対応について、会社側・現在の委託先・次の委託先の担当を分けます。
AIには、個人情報を除いた作業一覧を渡し、「担当が空欄の作業、二社が担当すると書かれた作業、完了条件が曖昧な作業を質問にしてください」と頼めます。出てきた質問は契約書や合意内容と照らし、人が確定します。
【3.期限と異常時の動きを決める】
ドメインやサーバーの更新期限、保守契約の終了日、切り替え予定日を一緒に並べます。期限が離れていても、更新通知を受け取る人が旧担当のままなら見落とすおそれがあります。
表示できない、フォームが届かない、更新に失敗した、といった場合に「最初に確認する人」「次に相談する相手」「復旧を判断する人」も決めておきます。実際の連絡先は社内の安全な管理場所に保管し、AIへ入力する資料には含めません。
【4.権限の移行を確認する】
管理画面に入れることと、必要な権限を持っていることは別です。会社が管理者権限を保持しているか、新担当が必要な操作をできるか、旧担当の権限をいつ外すかを確認します。
パスワードや認証コードをAIへ貼り付ける必要はありません。確認表には「権限の種類」「確認担当」「確認日」「移行済みか」だけを記録します。権限の変更そのものは、担当者が公式の管理画面で行います。
【5.試してから完了にする】
資料を受け取っただけで引き継ぎ完了にしないことも大切です。新担当と一緒に、サイト更新、フォームの送受信、バックアップの取得と復元手順、障害時の切り分けを、できる範囲で確認します。
実際の復元には停止や上書きの危険があるため、テスト環境や手順の確認から始め、実施前に影響を確認してください。「誰が確認し、何ができたら完了か」を記録します。
【AIへの依頼文の例】
「以下はWeb保守の引き継ぎ表です。対象、担当、期限、障害時の対応、権限、完了確認のうち、空欄や矛盾を質問として挙げてください。契約上の責任は推測で決めず、未確認と記載してください」
AIの回答は漏れの候補です。契約内容や実際の設定を確かめずに、担当変更や権限削除を実行しないでください。顧客情報、秘密情報、認証情報を含む資料は、AIへ渡す前に除き、利用するサービスの保存設定と社内ルールを確認します。
【今日からできる小さな一歩】
自社サイトについて、「ドメインの契約者」「サーバーの契約者」「サイト更新の担当者」を一行ずつ書いてください。一つでも分からなければ、そこが最初の確認項目です。
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