顧客との打ち合わせ前に、過去のメール、見積書、議事録、予定表を探し回っていないでしょうか。
情報が複数の場所に分かれていると、準備に時間がかかるだけでなく、以前の要望や未回答の質問を見落とすことがあります。
AIは、複数の資料から必要な内容を集め、一枚の顧客メモへ整理する支援に使えます。ただし、資料をまとめて渡し「要約して」と頼むだけでは、古い情報と新しい情報、事実と推測が混ざる可能性があります。
OpenAI Academyが2026年7月23日付で公開した業務例でも、複数の資料から更新内容を作る際に、古い数字、食い違う説明、出典が分からない内容を確認できる形にする重要性が示されています。
中小企業では、最初から大きな顧客管理システムを作る必要はありません。まず一社分の資料を使い、次の3段階で試します。
【1.参照する資料を決める】
最初に、AIが見る資料を絞ります。
・直近3回の議事録
・現在有効な見積書
・未対応のメールや問い合わせ
・案件の進捗表
・次回の予定
古い見積書や下書きが混ざる場合は、作成日と状態を付けます。「最新」「承認済み」「失効」などの区別がなければ、AIが誤った条件を選ぶかもしれません。
顧客名の表記も揃えます。同じ会社が略称や店舗名で記録されているときは、同一顧客だと分かる対応表を用意します。
【2.事実・未決・確認事項に分ける】
次に、資料の内容を三つに分類します。
事実は、契約済みの金額、確定した日程、完了した作業などです。
未決事項は、提案中の内容、回答待ちの質問、社内で検討している条件です。
確認事項は、資料同士で内容が違うもの、更新日が不明なもの、次の打ち合わせで聞く必要があるものです。
担当者の感想や予測は、確定事項と分けます。「予算は増えそう」というメモを、顧客が承認した事実として扱わないためです。
AIには、判断できない内容を推測で埋めず、「要確認」と残すよう指示します。
【3.一枚の顧客メモにする】
最後に、打ち合わせで見る項目だけを一枚へまとめます。
・現在の案件と進捗
・前回決まったこと
・未回答、未対応の項目
・今回確認する質問
・次に提案できる内容
・参照した資料名と日付
長い要約を作ることが目的ではありません。打ち合わせ開始前の数分で確認でき、終了後に更新できる量に絞ります。
【AIへの依頼文の例】
次のように依頼できます。
「添付資料から、次回の打ち合わせ用の顧客メモを作ってください。確定した事実、未決事項、確認事項を分けてください。資料にない内容は推測せず、内容が矛盾する場合は両方を示してください。各項目に参照した資料名と日付を付け、最後に今回確認する質問を5件以内でまとめてください」
出力後は、元資料と照らして次の点を確認します。
・顧客名、担当者名
・金額、日付、期限
・有効な見積や契約
・決定事項と提案内容の区別
・未返信や持ち帰り事項
【毎回更新できる形にする】
顧客メモは、一度作って終わりではありません。
打ち合わせ後に、決まったこと、次の担当者、期限、次回確認日を追記します。更新した人と日付も残します。
毎回ゼロから資料を探すのではなく、前回の顧客メモへ新しい記録を加える運用にすると、担当変更時の引き継ぎにも使えます。
ただし、AIの出力だけを正式な記録にしないでください。契約や金額は元の契約書や承認済み見積書を確認します。
【注意したいこと】
顧客資料には、個人情報、契約内容、認証情報などが含まれる場合があります。利用するAIの保存設定、閲覧権限、社内ルールを確認し、必要のない情報は入力しないようにします。
最初は、顧客名を置き換えた資料や架空の案件で試してください。
【今日からできる小さな一歩】
次回打ち合わせをする顧客を一社選び、直近の議事録、現在の見積書、未対応の連絡の三つを同じ場所へ集めてみてください。
その三つだけでも、前回決まったことと今回確認することを整理できます。
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