二〇二六年の十一月七日、立冬を迎えました。
朝夕の空気に、冬の気配がはっきりと混じりはじめる頃です。
暦の上では、この日から亥(い)の月に入ります。
亥の月は、冬の三つの月のうち、最初の月にあたります。
古い字書は、亥の字を草の根のことだとし、この月には、盛んになっていく陰のなかで、かすかな陽が起こりはじめる、と記しています。
野の草は枯れていくようでも、土の下の根には、次の春に芽を出すための力が残っています。表に出ているものが少なくなる一方で、根のほうでは次の巡りの支度が始まっている月です。
十二月六日まで続くこの月の暦から、三つをご紹介します。
一つ目は、月徳日です。
この月は、十一月十六日、二十六日、十二月六日に巡ってきます。
その月の徳を司る神が守るとされる日で、何ごとを行うにも障りが少なく、とりわけ住まいを整えたり、手を入れたりするのによい日とされています。
二つ目は、一粒万倍日です。
十一月七日と八日、十九日と二十日、そして十二月一日と二日に巡ってきます。
わずかな元手が何倍にもなって返るとされ、ものごとの手始めによい日と言われます。その一方で、借りたもののように、増えては困るものは避ける習わしもあります。
三つ目は、天恩日です。
十二月一日から五日までの、五日間続きます。
天の恩恵が、分け隔てなく人々に及ぶとされる日です。慶びごとを行うのによいとされ、反対に、弔いごとのような凶事は避ける習わしがあります。
五日間のうち、はじめの二日は一粒万倍日と重なります。
亥の月は、表に出ているものより、根のほうに目を向けるのに向いた月だと考えています。
この一年、思うように進まず、止まっているように思える事柄もあるかもしれません。
恋愛のことでも、お仕事のことでも、人との間のことでも。
止まっているように思えるあいだに、土の下で根を張っていることもあれば、根のほうまで力が落ちていることもあります。
どちらなのかは、地上から眺めているだけでは分かりにくいものです。
根を確かめることは、何かを始めることとも、手放すこととも違います。
住まいを整えるように、ご自身の足元がいまどうなっているのかを、確かめておくことです。
暦が示すのは、月ごとの大きな巡りです。
いまご自身の根に何が残っているのかは、卦を立てて視ることで、はじめて言葉になります。
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冥理