走りの栗を茹でる夜、彼と迎えたかった秋

走りの栗を茹でる夜、彼と迎えたかった秋

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鍋の湯がゆらりと揺れて、まだ青みの残る栗が底で転がっています。
ふたを取ると白い湯気が手首をかすめ、台所に、あの匂いが立ちのぼる。
今年いちばん早い栗は、いつも少しだけ固い。

この茹でたての栗には、恋愛の深い真実が宿っています。
こんにちは、神楽 玄斗(かぐら げんと)です。

走りの栗というのは、実が締まりきらないうちに枝を離れたものです。茹でても甘みが浅く、渋皮がなかなか離れてくれない。それでも店先で見つけると、つい買ってしまう。秋が来たことを、いちばん先に教えてくれるからです。

一人分には多すぎる量を鍋に入れながら、思ったのではありませんか。この栗を、彼と食べる秋になるはずだった、と。

去年の九月、彼はまだ普通に連絡をくれていた。今年の九月、スマホは静かなままです。季節だけが約束どおりに進んで、二人の関係だけが去年の場所に置き去りになっている。台所に立つと、その差が、湯気の温度ではっきり分かってしまう。

彼が今どんな心持ちで秋を迎えているのか、霊視でハッキリと視えます。今のご状況を、一度視させてください。


栗を剥く指先を思い浮かべながら、少し視ておりました。

視えたのは、彼の側の「間に合っていない」という感覚です。彼のなかで、あなたへの気持ちは走りの栗とよく似た状態にあります。もう枝から落ちている。落ちているのに、まだ甘さが乗りきっていない。

彼は今、仕事なのか生活の変わり目なのか、自分の側の事情で両手がふさがっています。あなたを嫌ったわけでも、他の誰かに心が移ったわけでもない。ただ、渋皮が離れないのです。胸の内側にある想いを、そのまま出せる言葉に変換できずにいる。

男性が黙る時期には、感情が消えている場合と、言葉が追いついていない場合があります。彼は後者でした。連絡が途切れているあいだも、彼のなかでは、あなたの名前が何度も浮かんでは沈んでいます。夜、部屋の灯りを落としたあとに。

栗は、火からすぐに上げると渋皮が張りついたままです。けれど時間と温度をかければ、ほろりと離れる瞬間が必ず来る。彼の口が開くまでに、あとどれくらい火にかけていればいいのか。その見立てなら、お声を聞かせていただければ、その日のうちにお伝えできます。


今夜ひとつ、お願いがあります。茹でた栗を、少しだけ明日の朝に残しておいてください。

一晩おいた栗は、不思議と甘くなります。でんぷんが糖に変わるからだと言われますが、要するに、置いた時間のぶんだけ味が育つということです。待つことが無駄にならない秋も、たしかにあるのです。

朝、冷えた栗をひとつ口に入れたとき、昨夜より甘いと感じられたなら、それは感覚がまだきちんと働いている証拠です。彼を待つあいだに、自分の味覚まで枯らしてしまう必要はありません。

秋は、これから長いです。金木犀も、栗ごはんも、彼と分けられる日はまだ残っています。今年の秋を、彼と迎えられなかった秋として閉じてしまうには、九月十日は早すぎる。

湯気の向こうで、あなたの秋はまだ始まったばかりです。

栗が教えてくれた続きは、霊視でお伝えします。

あなたの恋愛が前向きになるように、お手伝いさせていただきます。
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