こんばんは!
社会派FPのコウダイです。
前回は、スマホの分割払いやあと払いといった、日常に音もなく忍び寄る「自覚のない借金」についてお話ししました。
今回は、人生で最も多くの人が背負うことになる、最大にして一番身近な借金「住宅ローン」のイロハ(基本と罠)について、プロの視点から分かりやすく解説します。
結論からお伝えします。
「住宅ローンを組むときに『今の金利』や『月々の返済額』だけを見るのは絶対にやめてください。金利が上がったときのルールや、見えないコストという『家計の裏帳簿』を理解することこそが、一番お城を守る防衛陣になります」
「住宅ローンなんて、銀行が審査に通してくれたんだから、自分の収入なら無理なく返せる金額ってことでしょ?」
「金利は昔と比べれば低いし、賃貸の家賃をドブに捨てるより、これだけ低金利なら借りた方が絶対に得じゃない?」
そう思っていませんか?
これ、本当に多くの人がハマる罠なんです。銀行の審査は「あなたが最後まで安全にハッピーに暮らせるか」を保証するものではありません。「銀行の審査は『返済能力があるか』を判断するものであり、『家計に無理のない借入額』を保証するものではありません。」
📊 簿記の視点:変動金利の「5年ルール・125%ルール」という見えない負債リスク
住宅ローンを組む人の多くが選ぶのが、金利の低い「変動金利」です。
これを簿記(リスク管理)の視点で見てみましょう。
「変動金利を取り扱う金融機関の中には、『5年ルール』『125%ルール』を採用しているところがあります。」
・5年ルール: 金利が途中で上がっても、5年間は毎月の返済額が変わらない。
・125%ルール: 5年後に返済額が見直されても、前の金額の1.25倍までしか上がらない。
一見、僕たちを守ってくれる優しいルールに見えますよね?
でも、簿記の帳簿上は全く優しくありません。
金利が上がっているのに毎月の支払額が変わらないということは、「支払ったお金のほとんどが利息(費用)に消え、元金(負債)が1ミリも減っていない」、あるいは減らなかった利息が後ろに繰り越される「未払利息」が発生するケースがあります。
例えば金利上昇が大きい場合には、毎月の返済額だけでは利息を払い切れず、未払利息が発生するケースもあります。
また、そこまでいかなくても元金の減り方が遅くなるため、返済終了時点で残債が想定より多く残る可能性があります。
表面上のキャッシュフロー(毎月の通帳からの引き落とし額)が変わらないからと安心していると、「金利上昇が大きい場合には、返済期間の終盤で元金が想定より多く残るケースもあります。」
🛡️ FPの視点:住宅ローン控除という「まやかしの利益」に踊らされない
FP(ファイナンシャルプランナー)として、もう一つ注意してほしいのが「住宅ローン控除(税金が戻ってくるお得な制度)」をアテにしすぎることです。
「国が税金を返してくれるんだから、多めにローンを借りた方が得ですよ!」と勧めてくる営業マンもいます。
しかし、税金が戻ってくるのは、あなたが「それだけの所得税や住民税をきっちり納めていること」が前提です。
もし将来、転職して一時的に収入が下がったり、育休を取ったりして納める税金が減れば、戻ってくるお金(利益)も当然減ります。それなのに、何千万円という大きな「負債の山」と、毎月の高い利息負担だけは1円も減らずにあなたの家計を圧迫し続けます。
制度のお得さという「おまけ」につられて、本質である「巨大な借金を背負う」という現実から目を背けてはいけません。
大切なのは、周りの雰囲気や営業マンの言葉ではなく、「もし金利が1%上がったら、我が家のB/S(バランスシート)はどうなるか?」を自分の電卓で弾いてみること。
僕たちの人生を豊かにするためのお城が、僕たちの自由を奪う牢獄になってしまわないよう、まずは正しいイロハを身につけて、堅実な防衛陣を敷いていきましょう。
次回は変動金利と固定金利の違いについてご説明します。
ではまた。
【参考文献】
『貯金すらまともにできていませんが この先ずっとお金に困らない方法を教えてください!』(サンクチュアリ出版/大河内薫・若林杏樹 著)