鑑定書が付いた古銭を持ち込まれたとき、価格に反映していますか。
書類があるだけで、コインそのものは何も変わりません。それでも市場の評価は大きく違います。
今回は同じ品目の落札実績を、書類の有無で分けて集計しました。
■ 結論から。中央値で2.15倍の差がつきます
ある近代銀貨で集計した結果です。
- 裸のコイン単体:中央値 27,400円(103件・6か月)
- 組合の鑑定書付き:中央値 59,000円(53件・3年)
- 鑑定機関のスラブ入り:中央値 87,285円(30件・6か月)
裸を1とすると、鑑定書付きが2.15倍、スラブ入りが3.19倍です。
同じ年号、同じ品目です。違うのは、付いている書類だけです。
現場で意味を持つのはここです。鑑定書付きが持ち込まれたら、裸の相場で値付けしてはいけません。逆に、裸の品に鑑定書付きの相場を当てても外れます。
■ なぜ集計期間が違うのか
上の3つを見ると、期間がばらばらです。理由があります。
裸のコインは6か月で103件ありました。母数として十分です。
一方、鑑定書付きは6か月で7件しかありませんでした。これでは中央値が安定しません。そこで1年、3年と順に広げ、3年で53件を確保しました。
流通量が違うので、同じ期間では母数が揃わないのです。
ただし期間を広げるときは、必ず確認が要ります。その間に相場が動いていたら、混ぜてはいけないからです。
■ 3年分を使ってよいか、検証しました
鑑定書付きの53件を、1年ごとに区切って中央値を比べました。
- 直近1年:58,100円(19件)
- その前1年:59,500円(20件)
- さらに前:58,250円(14件)
ほぼ動いていません。差は2%以内です。
つまり、この層の相場は3年間止まっています。3年をまとめて使ってよい、という結論になります。
裸のコインは6か月で判断し、鑑定書付きは3年で判断する。品目によって、いえ同じ品目でも層によって、正しい期間は違うということです。
■ 幅の広さにも意味があります
中央値だけでなく、ばらつきも見ておきます。
- 鑑定書付き:25%が48,500円、75%が95,000円
- スラブ入り:25%が57,000円、75%が155,750円
スラブ入りは幅が広い。これはグレードの差が価格に直結するためです。同じスラブでも、評価が1段違えば数万円動きます。
一方、鑑定書付きは幅が比較的狭い。組合の鑑定書は本物であることの確認が主で、状態を細かく段階分けするものではないからです。
つまり、スラブ入りを見るときは中に書かれた評価まで読む必要があります。「スラブ入りだから高い」ではなく、何と書かれているかで価格が変わります。
■ 実務でどう使うか
3つに整理できます。
- 鑑定書付きが持ち込まれたら、裸の相場を当てない
- スラブ入りは、スラブの中の表記まで確認する
- 相場を調べるときは、書類の有無で分けて集計する
3つ目が抜けがちです。裸と鑑定書付きを混ぜて平均を取ると、どちらにも当てはまらない数字が出ます。実際、今回のデータを混ぜると中央値は約35,000円になりますが、これは裸には高すぎ、鑑定書付きには安すぎる数字です。
分けて集計する。それだけで精度が変わります。
【まとめ】
1. 同じ品目でも、鑑定書付きは裸の2.15倍、スラブ入りは3.19倍で落ちている
2. 流通量が違うので、層ごとに集計期間を変える必要がある
3. 書類の有無を混ぜて集計すると、どちらにも当てはまらない数字になる
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