買取店・質屋向け|相場の「直近」は何か月か。落札実績103件で検証しました

買取店・質屋向け|相場の「直近」は何か月か。落札実績103件で検証しました

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コラム
相場を調べるとき、何か月分のデータを見ていますか。
3か月でしょうか。半年でしょうか。それとも1年でしょうか。
今回は「直近」を感覚ではなく検証で決める方法を、実際のデータでお見せします。


■ 結論から。直近の長さは品目ごとに違います

まず結論です。「直近3か月」のような固定の物差しはありません。品目によって、正しい期間は変わります。

そして、どの期間が正しいかはデータが教えてくれます。感覚で決める必要はありません。

理由は、期間の決め方が2つの条件のせめぎ合いだからです。

- 期間が短いと、件数が足りず数字がぶれる
- 期間が長いと、相場が動いた分まで混ざる

この2つを両立させる点を探す。それが「直近」の正体です。


■ 期間が短すぎると、1件で数字が動きます

古銭は流通量が限られます。ある品目を調べたところ、月あたり約10件でした。

1か月だけを見ると、母数は10件前後です。この状態で相場を語るのは危険です。たまたま高く落ちた1件が混ざるだけで、数字が跳ね上がります。

中央値を安定させるには、20件から30件は欲しいところです。月10件なら、最低でも2か月から3か月分が必要になります。

ここまでは、多くの方が感覚で分かっていると思います。問題はこの先です。


■ 期間を広げていいかは、中央値の比較で分かります

母数を増やしたいなら、期間を伸ばせば済みます。ただし条件があります。

その間に相場が動いていないこと。これだけです。

確かめ方は単純です。

- 直近3か月の中央値を出す
- その前の3か月の中央値を出す
- 2つを比べる

差が小さければ、相場は止まっています。6か月をまとめて使えます。母数は倍になり、精度が上がります。

差が大きければ、相場は動いています。この場合は直近3か月だけを使います。母数は減りますが、古い数字を混ぜるよりは正確です。

これで「直近が何か月か」が決まります。品目ごとに答えが変わるのは、このためです。


■ 実際にやってみました

ある近代銀貨の落札実績で試しました。除外したのは次の条件です。

- レプリカ、参考品、贋物と明記されたもの
- 鑑定機関のスラブに入ったもの
- 鑑定書が付いたもの
- 複数枚をまとめて売られたもの

裸のコイン単体だけに絞りました。残ったのは103件です。

結果はこうなりました。

- 直近3か月(49件)の中央値:27,501円
- その前の3か月(54件)の中央値:27,278円

差は0.8%でした。四分位の位置もほぼ動いていません。

つまり、この品目の相場は止まっています。6か月をまとめて使ってよい、という結論になります。

そこで103件全部で出したレンジがこちらです。

- 低値:12,000円
- 中値:27,400円
- 高値:37,000円

母数が倍になった分、この数字は3か月だけで出したものより信頼できます。


■ この手順を挟むと、値付けの説明ができます

現場での意味はここです。

「なぜこの価格なのか」と聞かれたとき、答えられるようになります。

- 何か月分のデータを見たのか
- 何件あったのか
- なぜその期間を選んだのか

この3つが言えれば、値付けは説明可能になります。逆に「相場だとこれくらいです」だけでは、根拠がありません。

同じことは記録にも効きます。判断の履歴が残るので、後から見返せます。数か月後に同じ品目が入ったとき、前回と比べられます。

手間はかかります。ただ、1点あたり数万円が動く品目なら、割に合う手間だと考えています。


【まとめ】

1. 「直近」の長さは品目ごとに違い、固定の物差しはない
2. 3か月ごとに中央値を比べれば、期間を広げてよいか判断できる
3. 採用した期間と件数を記録すれば、値付けを説明できる



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