Webサイトの運用や広告効果の測定をしていると、「カートシステムやCRM(顧客管理システム)の実際のCV(コンバージョン)数と、GA4の計測データが大きくズレている…」と悩むことはありませんか?
「設定が間違っているのかな?」と原因を探してもミスが見つからない場合、実は「そもそもGA4のデータは100%必ず計測できるわけではない」という計測の仕組み上の壁にぶつかっている可能性が高いです。
本記事では、GA4と実データが合わなくなる2大原因と、それぞれの具体的な対策である「Google タグ ゲートウェイ(GTG)」および「GTM(Google タグ マネージャー)コンテナの最適化」について分かりやすく解説します。
なぜGA4の数値と実データはズレるのか?主な2つの原因
実際の注文数や問い合わせ数(サーバー側に記録される実データ)に対して、GA4の数値が少なくなってしまう主な原因は以下の2つです。
1. ブラウザ機能や広告ブロッカーによる「タグのブロック」
近年、ユーザーのプライバシー保護の流れが急速に強まっています。 たとえば、AppleのSafari 17以降のプライベートブラウズ機能や各種広告ブロッカーなどを利用しているユーザー環境では、トラッキング防止機能によってGA4の計測タグや広告タグだけでなく、タグを管理・配信するGTM(Google タグ マネージャー)の読み込み自体がブロックされるケースが増えています。
タグの読み込み自体がブロックされてしまうと、ユーザーがサイト上で購入や問い合わせを完了しても、GA4側には一切データが残りません。
2. データが送信される前の「ブラウザ閉じ」や「通信環境の悪化」
もうひとつの大きな原因は、「タグが発火してデータがGA4へ送信される前に通信が途切れてしまうこと」です。
送信前の画面離脱(ブラウザ閉じ):サンクスページ(完了画面)が表示された直後に、ユーザーが「手続きが終わった」と思ってすぐブラウザやタブを閉じてしまうケースです。ページ内に大量のタグが入っていたり、発火の順番が遅かったりすると、GA4へデータが送信される前にページが閉じられてしまいます。
通信環境の悪化:スマートフォンでの移動中(電車内や地下など)や、モバイル回線が不安定な環境でアクセスしている場合、重たいスクリプトの読み込みに時間がかかり、タイムアウトや通信エラーでデータが正常に送信されないことがあります。
原因別の解決アプローチ:計測ロスを最小限に抑える2つの対策
こうした「タグのブロック」と「データ送信前の離脱・通信エラー」には、それぞれ異なるアプローチでの対策が有効です。
対策①:タグのブロックには「Google タグ ゲートウェイ(GTG)」
ブラウザや広告ブロッカーによる「タグのブロック」への対策として、Googleが提供しているのが 広告主様向けの Google タグ ゲートウェイ(GTG:Google Tag Gateway)(旧称:ファーストパーティ モード)です。
GTGとは?なぜブロック対策になるのか
通常のGTMやGA4は、Googleのサーバー(サードパーティのドメイン環境)からスクリプトを読み込み、データを送信します。そのため、ブラウザ側から「外部のトラッキング通信」と判定されてブロックされやすくなります。
一方、Google タグ ゲートウェイ(GTG)を導入すると、自社サイトの独自ドメイン(ファーストパーティ環境)を経由してGoogleタグの配信や測定データの送信を行えるようになります。 サードパーティドメインへの依存を減らすことでトラッキングブロックを回避しやすくなり、Google公式の発表でもGTGを設定した広告主において測定シグナルが11%向上したと報告されています(特にiOSのSafari環境などで高い改善効果が確認されています)。
GTG導入の注意点
GTGの導入方式には主に以下の3つがあります。
・コンテンツ配信ネットワーク(CDN)(CloudflareやAkamaiなど)
・ロードバランサ(Google Cloud Load Balancingなど)
・サーバーサイド タグ設定(sGTM)
ただし、すでに利用しているインフラ環境(CDNやクラウドサーバーの有無)や、導入しているCMP(同意管理プラットフォーム)ツールとの兼ね合い、ランニングコスト(サーバー費用や通信量課金)など、社内のインフラ・サーバー管理部門との連携や事前の費用試算が不可欠です。「とりあえず導入しよう」と進めると想定外のコストや既存ツールとの干渉が起きることもあるため、事前の見極めが重要になります。
対策②:送信前のブラウザ閉じ・通信不良には「GTMコンテナの最適化(新タグ体験へのアップグレード)」
「サンクスページを開いてすぐ閉じられた」「通信環境が悪くてデータが飛びきらなかった」という取りこぼしを減らす上で非常に効果的なのが、Simo Ahava氏の解説記事(Optimized Tagging Experience For Google Tag Manager)でも「過去10年以上で最大のアップデート」と紹介されているGTMコンテナの最適化(GTMとGoogle タグの統合アップデート)です。
従来のGTMコンテナが抱えていた「2重読み込み」の課題
これまでのGTMでは、GTMコンテナ(gtm.js)を読み込んだあと、さらにGA4やGoogle広告などの各「Google タグ」が別々のJavaScriptリソース(gtag.js)として個別に読み込まれる仕様になっていました。
この余分なスクリプト通信がページの肥大化(ブロート)を招き、通信環境が悪いモバイル端末や、完了画面をすぐ閉じてしまうユーザー環境で「リソースの読み込み〜データ送信」が間に合わない原因になっていました。
GTMコンテナの最適化で何が変わるのか?
GTMの新しいタグ体験(Optimized Tagging Experience)へコンテナを最適化すると、GTMコンテナ自体が「Google タグ」としての機能を内包するようになります。主なメリットは以下の通りです。
・追加のgtag.js読み込みが不要になり、通信パフォーマンスが劇的に向上:GA4、Google 広告、Floodlightなどの各プロダクトをGTMコンテナの「送信先(Destination)」として直接リンクできます。従来の「Google タグ(現在はレガシー扱い)」や「コンバージョン リンカー」の代わりに新しい「Destinationタグ(送信先タグ)」を使用することで、追加のgtag.jsリソースを一切読み込まずにGTMライブラリ内だけで即座にデータ収集・送信を開始できます。
・コンテナ全体での「共有設定(Shared Settings)」とバージョン管理:これまで各Google タグ側でバラバラに管理していた設定(自動イベント検出など)を、GTMコンテナの「設定(Settings)」メニューで一元管理でき、GTMのワークスペース変更やバージョン履歴の対象としてプレビュー・ロールバックが可能になります。
・データ送信設定(Manage data transmission settings)による送信制御:同意モード(Consent Mode)利用時、同意が得られるまでヒット送信を自動的に保留(キューイング)し、ページ上で同意が付与されたタイミングで保留されていたヒットを自動再送信する設定もGTM側でスムーズに制御できます。
最適化ウィザードを使う際の注意点(なぜ専門家の設定が必要か?)
GTM画面には「最適化ウィザード」が用意されていますが、Simo Ahava氏が指摘している通り、複数のGoogle タグで異なる設定を行っていた場合、単純に統合すると「コンテナの共有設定」と「個別タグの設定」の間で競合(コンフリクト)が起き、データ品質やコンプライアンス上の問題につながるリスクがあります。また、リンクしたGoogle タグのユーザーにGTMコンテナの閲覧権限が付与されるなど権限管理の仕様も変わるため、段階的な移行とプレビューモードでの綿密な検証が欠かせません。
ご相談・サポートメニューのご案内
「自社のGA4データと実データの乖離をどうにかしたいけれど、どこから手をつければいいか分からない…」という方に向けて、課題に合わせた2つの形でサポートを行っています。
1. GTMコンテナの最適化:【設定代行が可能】
GTMの新しいタグ体験(Optimized Tagging Experience)へのアップグレードを含め、GTMコンテナ最適化の設定代行をまるごとお引き受け可能です。
「レガシー化した従来の『Google タグ』や『コンバージョン リンカー』を、新しい『Destinationタグ(送信先タグ)』へ安全に移行したい」
「追加のgtag.js読み込みをなくして、ブラウザ閉じや通信不良によるデータ送信ロスを減らしたい」
「複数のGoogle タグの設定競合や権限まわりを確認し、プレビュー検証を行ってから安全に本番公開したい」
といった場合は、現状のコンテナ環境と各タグの設定を診断した上で、ワークスペースでの移行・テストから本番反映まで代行いたします。
2. Google タグ ゲートウェイ(GTG):【ご相談ベースで対応可能】
GTGに関しては、サーバーやCDN(Cloudflare等)、DNS設定など貴社のインフラ環境そのものに関わるため、いきなり導入作業を代行するのではなく、導入検討・要件整理のご相談ベースで対応可能です。
「自社サイトの環境(現在のサーバーやCDN)だと、3つの導入方式のうちどれが最適か知りたい」
「GTGを導入した場合のメリットと、想定されるサーバー費用や注意点を整理したい」
「社内のインフラ担当やシステム会社にどう依頼・相談すればいいかアドバイスがほしい」
といった疑問に対し、貴社の現状ヒアリングをもとに最適な進め方をアドバイスいたします。
まとめ:データのズレは「原因の切り分け」から始めよう
GA4は万能な計測ツールではなく、「タグのブロック」や「データ送信前の離脱・通信不良」によって、どうしても実データとの乖離が生まれる性質を持っています。
タグのブロック対策には、自社ドメイン経由で計測を行う Google タグ ゲートウェイ(GTG)の検討
データ送信前の取りこぼし対策には、素早く確実にデータを飛ばす GTMコンテナの最適化
まずは現在のサイト環境やGTMの設定状況を見直し、減らせる計測ロスから着実に改善していくことが大切です。
「まずは自社のGTMコンテナを見直して設定を最適化したい」「GTGが自社に合うか相談してみたい」という方は、ぜひお気軽にメッセージ・お問い合わせよりご連絡ください!