おもしろすぎて眠れなくなる宇宙の話:現代宇宙論が明かす最前線

おもしろすぎて眠れなくなる宇宙の話:現代宇宙論が明かす最前線

記事
コラム
私たちが暮らすこの宇宙は、いかにして始まり、どのようなルールで動いているのか。現代の宇宙論や理論物理学が解き明かしてきた、驚くべき宇宙の姿に迫ります。
1. ビッグバンは「宇宙の始まり」ではなかった?
人類は長らく、138億年前に起きた高温高密度の「ビッグバン」こそが宇宙の本当の始まりだと考えてきました。しかし、現代の宇宙論ではその通説がアップデートされています。
 インフレーション(急膨張)の存在:ビッグバンのさらに前、一瞬の間に宇宙が想像を絶するスピードで爆発的に膨張した「インフレーション」と呼ばれるフェーズがありました。
 ビッグバンの本当のタイミング:インフレーションが終わり、その時に蓄えられたエネルギーが熱へと変換されて素粒子が生まれ、宇宙が一気に高温になった現象こそが「ビッグバン」です。つまり、インフレーションが先に起こり、その後にビッグバンが起きたと考えられています。
また、現在の銀河や星々が存在する理由は、インフレーション時代の量子力学的な「わずかな揺らぎ(ムラ)」が、長い年月をかけて重力によって成長したためであることが分かっています。
2. 宇宙の97%は「正体不明」でできている
私たちが普段目にする物質や星々は、宇宙全体のほんの一部にすぎません。宇宙の構成は大きく次のように分けられています。
 ダークマター(約5/6):光では見えないものの、強い重力を持ち、銀河の形成や宇宙の構造を支えている未知の物質。存在の証拠は山ほどあるものの、その細かい正体はいまだに分かっていません。
 ダークエネルギー(約7割):宇宙全体のエネルギーの大部分を占め、宇宙の膨張にブレーキをかけるどころか、むしろ加速させている正体不明のエネルギー。空間そのものが持つエネルギーなどが候補として考えられています。
3. なぜこの宇宙には生命が存在できるのか?「マルチバース理論」
電子の質量や物理法則の数値は、ほんの少しでも違っていれば、星も原子も存在せず、銀河かすら生まれない「何もない宇宙」になっていたはずです。あまりにも出来過ぎたこの奇跡を説明するため、野村氏が有力視するのが**「マルチバース(多宇宙)理論」**です。
 地球に水や豊かな自然があるのが「数ある惑星の中でたまたま条件の良い場所だったから」であるのと同様に、宇宙自体も無数に存在し、その中でたまたま生命が誕生できるルールを持った宇宙に私たちは暮らしているという考え方です。
 この考え方は、天動説から地動説へ、そして太陽系が数ある恒星系の一つに過ぎないと分かってきた人類の歴史の延長線上にある自然な発想だとされています。
4. 現代物理学の最大の難問「量子重力理論」と「ホログラフィー原理」
現代の物理学は、ミクロな世界を説明する「量子力学」と、宇宙や重力を説明する「一般相対性理論」という2つの巨大な柱で成り立っています。しかし、この2つをそのまま組み合わせようとすると、数学的に矛盾(無限大のゴミが出てしまうエラー)が生じてしまいます。
これを解決する候補として、以下の研究が進められています。
 超弦理論:自然界の根本を「点」ではなく「紐」として考えることで、数学的矛盾を解消しようとする理論。
 ホログラフィー原理:ブラックホールの性質などから導き出された、「3次元空間の重力を含む世界は、次元の低い2次元の境界に書かれた情報として書き直せるのではないか」という驚くべき原理。これを利用すれば、重力を含まない理論として別の角度から宇宙を扱える可能性があり、量子重力理論完成への大きな手がかりとなっています。
5. 宇宙を知ることで見えてくるもの
広大な宇宙のスケールから見れば、地球も人間も「吹けば飛ぶようなちっぽけな存在」にすぎません。しかし野村氏は、だからこそ地球や自分たちの人生は儚く、かけがえのない愛おしいものであると語ります。
夜空を見上げ、私たちがどこから来てどこへ向かうのかを考えるロマンは、いつの時代も変わらず私たちの知的好奇心を刺激し続けています。

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