はじめに 歌は世につれ 私の昭和歌謡史

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私は昭和35年、小学校に入学しました。戦後から十五年。日本は貧しさを残しながらも、高度経済成長へ向かって勢いよく走り始めていました。家庭にはラジオがあり、やがてテレビが入り、茶の間にいながらスターの顔を見て歌を聴ける時代がやってきました。私にとって歌謡曲は、後から勉強して知った歴史ではありません。学校へ通った道、家族と囲んだ食卓、胸をときめかせた青春と一緒に流れていた、生きた記憶です。
この連載では、私が歌謡曲と出会った昭和30年代後半から、昭和が幕を閉じる昭和64年までをたどります。橋幸夫、舟木一夫、西郷輝彦らの青春歌謡。加山雄三とエレキ、ビートルズ来日、熱狂のグループサウンズ。フォーク、ニューミュージック、アイドル、演歌、ロック。そして昭和の終わりへ。
歌は世につれ、世は歌につれ、と言います。流行歌は、ただその時に売れた歌ではありません。人々が何を夢見て、何に傷つき、どこへ行こうとしていたのかを映す鏡です。ここに書くのは、評論家の目で整理した音楽史というより、昭和を生きてきた一人の人間が、自分の心に残る歌を手がかりに時代を振り返る物語です。曲を知る方には懐かしく、若い方には、昭和という時代の息遣いを感じていただけたらと思います。
読者の皆様へ 皆様にとって、昭和を思い出す最初の一曲は何でしょうか。
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