「なぜあの人に惹かれるのか」自分の恋愛傾向を理解したい
「なんで私はいつも同じタイプの人を好きになって、同じように失敗するんだろう」
Aさん(20代後半・医療職)は、恋愛のたびにこの問いを突きつけられてきた。自信に満ちていて、少しワイルドで、目で口説くような男性にどうしても惹かれてしまう。友人からは「また同じタイプ?学習しなよ」と呆れられる。
自分でもわかっている。そういうタイプの男性は、往々にして恋愛に誠実ではないことが多いと。実際、過去に付き合った相手には浮気をされた経験もある。
「友達が紹介してくれる『誠実でいい人』には、どうしてもときめかないんです。頭ではいい人だとわかっているのに、胸が動かない」
この葛藤は、「意志の弱さ」や「見る目のなさ」として片付けられがちだ。しかし、進化心理学とホルモン研究の知見は、驚くほど明確な——そして、少し残酷な——答えを提供してくれる。
1章: あなたの「好み」はホルモンが決めている
女性が異性に惹かれるメカニズムには、月経周期が深く関与している。
排卵期前後——つまり、妊娠の可能性が最も高い時期——には、エストロゲンが急上昇する。この時期の女性は、テストステロン(男性ホルモン)の影響が顕著に現れた男性の特徴に惹かれやすくなることが研究で示されている。具体的には、彫りの深い顔立ち、たくましい体格、低い声、自信に満ちた態度——いわゆる「男らしい」特徴だ。
進化心理学的には、これは「良い遺伝子」を持つ男性を選ぶための仕組みだと解釈されている。テストステロンが高い男性は、免疫機能が強い可能性を示すシグナルを持っているとされ、健康な子孫を残す上で有利だからだ。
一方、プロゲステロンが優位な黄体期には、好みが変わる。この時期には、より穏やかで協調性の高い男性——「良い投資者」つまり「子育てに協力してくれそうな男性」に惹かれる傾向が強くなる。
ここに、多くの女性が経験する葛藤の根がある。排卵期の自分は「ワイルドな男」に惹かれ、黄体期の自分は「優しい男」に惹かれる。この2つの「好み」は、しばしば同一人物の中で両立しない。
つまり、「ダメな人ばかり好きになる」のは、排卵期の好みに強く引っ張られて恋愛の意思決定をしているケースが少なくないのだ。
2章: 自分の「好みのパターン」に気づいた人たち
Bさん(20代後半・事務職) は、過去の恋愛を振り返って、驚くべきパターンに気づいた。
「恋に落ちるのは、いつも排卵期前後でした。合コンやイベントに参加して、ときめきを感じたのは決まってその時期。そして、ときめきの勢いのまま付き合い始めて、1〜2ヶ月後に『あれ、なんか違う?』と感じ始める。それも黄体期でした」
Bさんは月経管理アプリと恋愛の出来事を照合してみたところ、ほぼすべての「恋に落ちた瞬間」が排卵期前後に集中していたことがわかった。
「これを知ったとき、ちょっと笑っちゃいました。私の恋愛判断、ほぼホルモンに操られてたじゃんって」
Cさん(30代前半・フリーランス) は、愛し方のスタイル論で自分を分析した。
「私は典型的な『取り憑かれ型』の愛し方をしていたんです。好きな人のことが頭から離れない、相手のために何でもしたい、でもそれが報われないと激しく落ち込む。このパターンを知っただけで、次に恋愛感情が湧いたとき、『あ、これは取り憑かれモードだな』と冷静になれるようになりました」
Dさん(30代・教育関連) は、「良い遺伝子」仮説と「良い投資者」仮説の対立を知って、自分のパートナー選びのアプローチを根本から変えた。
「以前は、ときめかない人は候補から外していたんです。でも、ときめきの大部分がホルモンの作用だと知ってからは、まず友人として付き合ってみて、どの時期に会っても心地いいと感じる人を選ぶようにしました。今のパートナーとは、そうやって出会いました」
3章: 「好み」を理解し、「選択」を変える3つの方法
① ホルモン周期と「ときめき日記」をつける
好きな人ができたとき、あるいは誰かにときめいたとき、その日が月経周期のどの時期にあたるかを記録してみよう。3ヶ月も続ければ、自分の「ときめきパターン」が見えてくる。
「排卵期にしかときめかない相手」は、ホルモンが作り出した幻想の可能性がある。「どの時期に会っても心地いい相手」は、ホルモンを超えた本質的な相性がある可能性が高い。
② 「友情期間」を設ける
恋愛の入り口を「ときめき」から「友情」に変えてみる。すぐに恋愛関係に発展させるのではなく、最低1ヶ月——できれば月経周期を1周する期間——は友人として過ごしてみる。
この間に、排卵期にも黄体期にも「この人といると心地いい」と感じられれば、それはホルモンの波に左右されない、より安定した好意の証だ。
③ 自分の「愛のスタイル」を自覚的に修正する
もし自分が情熱に突き動かされるタイプだとわかったら、意識的に「親密さ」や「コミットメント」を重視する練習をしよう。
具体的には、相手を評価するときに「ときめき度」だけでなく「安心感度」と「信頼感度」の3軸で採点してみる。ときめき度が低くても、安心感度と信頼感度が高い相手は、長期的な幸福をもたらしてくれる可能性が高い。
注意したいのは、「ときめきを完全に無視する」のが正解ではないということ。まったくときめかない相手と無理に付き合う必要はない。大切なのは、ときめきの「出どころ」を理解し、それだけで判断しないバランス感覚を持つことだ。
結論
「ダメな人ばかり好きになる」——それは、あなたの「見る目のなさ」ではない。数十万年の進化の中で組み込まれた、ホルモンと脳のプログラムの結果だ。
しかし、プログラムを知ることは、プログラムから自由になる第一歩でもある。自分の「好み」の正体を理解したとき、恋愛は「運命に翻弄されるもの」から「自分で選択するもの」へと変わる。
次にときめきを感じたとき、ぜひ立ち止まって自問してみてほしい。「これは本当に私の心が動いているのか、それとも、排卵期のホルモンが動いているだけなのか」——その問いを持てるだけで、あなたの恋愛はきっと変わるはずだ。
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🙋 このブログを書いている人について
だいき|産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
会社員時代、職場の人間関係でメンタルが限界に。「このままではまずい」と一念発起し、コミュニケーションを学び直した経験が、産業カウンセラー・キャリアコンサルタントの資格取得につながりました。
恋愛・婚活でも7年間で88人とデートを重ねながら、うまくいかない時期が長く続きました。その苦しさを知っているからこそ、脳科学・進化心理学・愛着理論といった知識を「自分ごと」として学び続けてきました。
キャリアブレイクコミュニティでは160回以上のワークショップを主催。さまざまな悩みや状況を持つ方と向き合い続けてきた経験が、相談の土台になっています。
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