副業紹介のサイトや、活躍している人のプロフィールを見ると、「実績」の欄で手が止まりませんか。
売上何百万円達成、著書出版、講師実績多数。そういった言葉が並ぶプロフィールを見るたびに、自分にはそんなものは何もないと感じて、静かにページを閉じてしまう。
僕自身も、公的機関に勤める一会社員です。表彰されるような大きな実績も、目を引く肩書もありません。長い間、実績がない自分には副業を始める資格すらないと思い込んでいました。
でも、実績がなければ副業を始められないというのは、実は思い込みです。この記事では、なぜその思い込みが生まれるのか、そして実績がなくても持っている「種」をどう見つけるかを書きます。
この記事で扱う範囲
今日扱うのは、実績の作り方ではありません。実績がなくても、すでに自分の中にある副業の種をどう見つけるかという話です。
まず、なぜ多くの人が「実績がないと始められない」と思い込んでしまうのかを整理します。次に、副業で本当に求められているものは何かを見て、最後に実績の代わりになる「種」の探し方を紹介します。
なぜ「実績がないと始められない」と思い込むのか
理由の一つは、会社員としての評価の仕組みに、長く慣れ親しんできたことです。
会社では、数字で示せる成果や、目に見える役職が評価の基準になります。この基準の中で何十年も働いていると、「評価されるには実績が必要だ」という感覚が、体に染みついていきます。
もう一つの理由は、副業の世界で目立つ発信の多くが、成功した人によるものだという事情です。SNSやブログで積極的に発信しているのは、たいてい何らかの結果を出した人たちです。地道に活動している大多数の人の姿は、あまり目に触れません。結果として、「副業をしている人はみんな実績を持っている」という、実態よりも偏った印象が作られていきます。
これは、SNSやブログというメディアの性質上、避けられない偏りでもあります。うまくいっていない時期のことは、わざわざ発信しようとする人が少なく、結果が出てから振り返って語られることがほとんどです。目に入る情報が、成功後の姿ばかりになるのは、当然と言えば当然のことなのです。しかし、その当然の偏りに気づかずにいると、「実績がないのは自分だけ」という誤った実感を持ってしまいます。
僕自身、この2つの思い込みに、長い間気づいていませんでした。会社の評価基準をそのまま副業の世界にも当てはめ、目立つ成功者と自分を比べては、「自分には無理だ」と結論づけていたのです。
さらに、実績という言葉自体が、実は曖昧です。「実績」と聞くと、多くの人は数字や賞といった、外部から与えられる証明を思い浮かべます。しかし、実際に人の役に立った経験は、証明書がなくても実績と呼んで差し支えないはずです。証明書の有無で線を引いてしまうと、日常の中にある本当の実績を、自分で見えなくしてしまいます。
副業で本当に求められているのは「実績」ではない
ここで、少し視点を変えてみます。実際に副業やサービスを利用する側になったとき、あなたは何を基準に相手を選ぶでしょうか。
輝かしい実績も、もちろん一つの安心材料にはなります。ただ、それ以上に効くのは、「自分と同じ立場だった人が、どう乗り越えたか」という実感です。
たとえば、ダイエットの指導であれば、もともと痩せ型だった人より、実際に太っていた時期から変化した人の話の方が、説得力を持つことがあります。副業の相談でも同じです。最初から成功していた人より、同じように迷ったり遠回りしたりした経験を持つ人の言葉の方が、自分ごととして届きやすいのです。
実績が示すのは「結果の大きさ」です。一方、経験が示すのは「同じ場所を通ってきたという事実」です。副業を始めたばかりの相手にとって、必要なのは後者であることが少なくありません。輝かしい実績よりも、同じ目線で語れる経験の方が、信頼を生むことがあるのです。
これは、マーケティングの世界でも知られている現象です。すでに理想的な状態にある人の言葉より、同じ悩みから抜け出した人の言葉の方が、行動を後押しする力を持つことがあります。完璧な実績を持つ人の話は「自分には関係ない世界の話」に感じられやすく、一方で同じ道を歩んだ人の話は「自分にも当てはまるかもしれない」という実感を伴うからです。
僕自身、10年以上にわたって講座やツールを買い続け、うまくいかない時期を長く過ごしました。この経験は、実績としては誇れるものではありません。ただ、同じように迷っている人にとっては、「うまくいった話」よりも「同じように迷った経験がある人の話」の方が、参考になる場面があると感じています。
実績がなくても持っている「種」の見つけ方
実績という大きな成果ではなく、日常の中に埋もれている小さな事実に目を向けてみてください。
1つ目は、繰り返し人から頼まれてきたことです。頼まれる回数が多いということは、それだけ需要がある証拠です。実績としてカウントされていなくても、繰り返し求められてきたことには、確かな価値があります。自分では意識していなくても、周りの人は「困ったときはこの人に聞く」という形で、あなたを頼りにしていることがあります。頼まれる場面を一つ一つ挙げていくと、共通するテーマが見えてくることも少なくありません。
2つ目は、自分が困っていたことを、実際に解決した経験です。大きな成果である必要はありません。小さな困りごとを、自分なりに工夫して乗り越えた経験は、同じ困りごとを抱える人にとって、そのまま価値ある情報になります。
3つ目は、人から「助かった」「分かりやすかった」と言われた瞬間です。本人にとっては大したことをしたつもりがなくても、相手にとっては十分に価値のある行動だったというケースは、意外と多くあります。こうした瞬間は、忙しい日常の中では見過ごされがちです。相手からの言葉を、社交辞令として受け流してしまうこともあるでしょう。ですが、意識的に思い出そうとすると、案外いくつも出てくるものです。一度きりの出来事であっても、同じような場面が繰り返し起きているなら、それは偶然ではなく、あなたの持っている力の表れです。
これらは、履歴書には書けない種類の経験です。ですが、副業という文脈では、履歴書に書ける実績よりも、こうした具体的な経験のほうが、むしろ強い武器になることがあります。種を見つけたあとは、それを大げさに飾り立てる必要はありません。むしろ、事実をそのまま、具体的な場面つきで伝える方が、実績を誇張するより信頼されます。誰かに何を頼まれ、どう対応し、相手がどう反応したか。この事実の流れだけで、十分に説得力のある経験談になります。
実績がなくても見つかる種のチェック
・これまで何度も人から頼まれてきたことは何か
・自分自身が困っていて、工夫して乗り越えたことは何か
・人から「助かった」「分かりやすかった」と言われた場面はあるか
・その経験は、今どんな人の役に立ちそうか
今日は、実績を作ろうとする必要はありません。上の3つの質問に、思い出せる範囲で答えを書き出してみてください。そこに書かれた内容が、実績の代わりになる、あなたの副業の種です。
まとめ
実績がなければ副業を始められないというのは、多くの人が抱えている思い込みです。会社での評価の仕組みや、目立つ成功者の発信ばかりを見ていると、その思い込みはますます強くなります。
しかし、副業で本当に求められているのは、輝かしい実績ではなく、同じ場所を通ってきたという経験であることが少なくありません。繰り返し頼まれてきたこと、自分なりに乗り越えてきた困りごと、人から感謝された瞬間。こうした小さな事実の中に、実績の代わりになる種が眠っています。
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