失敗から学ぶためにはセルフコンパッションがいいんじゃない？

最近はセルフコンパッションについて興味があっていろいろ調べております。

そんな中で、「プロジェクトの失敗を学びに変えるにはセルフコンパッションじゃない？」という2009年の研究がアメリカの学術誌にあったのでメモ(1)。

▼こんなことを知りたい人向け

・やる気の３つの要素

・失敗のどんな側面がネガティブな感情に影響するのか

・失敗を学びに変えるセルフコンパッションの考え方

①やる気に必要なのは、自律性と関連性と有能感！

人がやる気を持ってプロジェクトに参加している時は、３つの心理的なニーズを満たしている時だとしています。

1 )自律性

　自分のペースでやれたり、自分で管理したりと自分の裁量でどれだけ決めることができるか

2 )関係性

　周りの人との関係性です。たとえば、周りから認められていたり、称賛されたり、尊敬されたりしているか

3 )有能感

　自分の能力が十分に発揮されているか

です。以前、自己決定論の説明の時に登場してきたやつですね。

この３つのニーズを満たしていると、意欲的にプロジェクトに従事する傾向があるんですけど、一方でプロジェクトが失敗した時のネガティブな感情が強くなっちゃうんじゃない？と考えたそうな。

②失敗の時、人によって負の感情の強さが違うのはニーズの満たされ方が違うから

プロジェクトの失敗によってどのように負の感情を引き起こすか、先ほど紹介した３つのニーズの側面から見てみると

1 )自律性の挫折

→自分が管理していた仕事が変更になったり、中止になる。

2 )関係性の挫折

→仲の良い同僚が辞めちゃったり、チームが解散したりする。

3 )有能感の挫折

→パフォーマンスの低さへのフィードバック。

確かにどれもガクッと来ますね。

「仲の良い同僚が辞めちゃう」のとか本当にきつい。一緒に辞めたくなるレベル。

同じプロジェクトに関わっているのに、人によってネガティブな感情の強さが違うのはなんで？ってところは、この３つのニーズの満たされ方が人によって違うからって感じらしい。なるほどって感じですねぇ。

③セルフコンパッションが良いのは、学びを邪魔する負の感情を軽減してくれるから

で、先ほどのプロジェクトの失敗によって引き起こされる負の感情に囚われていたら学べないわけですよ。否定的な感情は個人の情報処理能力を妨げることもわかっているそうな。

で研究者たちがおすすめしているのがセルフコンパッション。

セルフコンパッションとは

『困難に直面した時、あるいは不完全だと思われた時に自分自身を思いやること』

自分の失敗や欠点を認めて、自分に優しくしましょうぜ！ってことですね。

セルフコンパッションのどんな要素が、どんな風に役立つのかも紹介されていました。

1 )自分への思いやり

自分への優しさを発揮することで、自分を「悪い」と判断しないようなります。負の感情をエスカレートさせてしまうのを防ぐのに役立つとのこと。

2 )共通の人間性

自分の苦しみをみんなが理解してくれている、共有してくれているという共通性。自己批判を軽減し、自分のミスを許しやすくなるとのこと。

3)マインドフルネス

マインドフルな状態じゃないと、感情に大きく影響されて否定的な感情反応がエスカレートしてしまうみたいです。負の感情に囚われるのを防ぐのに役立つとのこと

失敗を学びに変えれないのは、失敗した時に起こる

負の感情を上手に処理できないから。逆に、負の感情を上手に対処できれば失敗を経験に変えて学べるってことですね。

▼まとめ

・やる気の元は、自律性・関係性・有能感

・やる気の元が強いと、失敗した時負の感情も強くなる

・負の感情にはセルフコンパッションで対処しましょう

セルフコンパッションすごいなぁ。って書いてて思ったけど、やれるかどうかはまた別ですね。個人的には瞑想でマインドフルな状態を目指したいと思います。

また注意したいのは、

私たちは、自己憐憫のレベルが高い方が、自己優しさ、共通の人間性、マインドフルネスのレベルが低いよりも常に優れていると仮定してきた。しかし、これらのいずれかのレベルが高すぎると、ネガティブな感情反応を調整したり、プロジェクトの失敗後に学習したりする能力に有益ではなく、むしろ有害であることが判明する可能性があります。例えば、自己愛が強すぎると、自己満足や怠惰に陥り、組織のメンバーは、間違ったことをしても自分を許しやすくなるため、将来の失敗を防ぐために行動を起こさなくなることがある(Leary et al., 2007)

という考え方もできますので、使い方は気をつけたいところ。

先行研究では、セルフコンパッションは積極的に受け入れ、成長し、現在の否定的な結果に立ち向かうことと関連しているため、これらはセルフコンパションの問題ではない可能性が高いともいわれているので、そこんところは引き続き調べてみたいと思います。

セルフコンパッションの本、なんだか原本読みたくなって買ってみたんですけどなかなか進まない；；