企画・映像・音楽・編集を組み合わせる新しい制作方法
生成AIの進化によって、動画制作の方法は大きく変わり始めています。
文章から画像を作る、静止画に動きを加える、ナレーション原稿を考える、動画に合った音楽を作るなど、これまで専門的な技術や多くの制作費が必要だった作業を、以前よりも効率よく進められるようになりました。
ただし、「生成AIを使えば、ボタンを押すだけで完成度の高い動画ができる」というわけではありません。
動画を誰に見てもらいたいのか、何を伝えたいのか、どのような印象を残したいのかを考え、映像・音楽・テロップ・ナレーションなどを組み合わせていく必要があります。
生成AIは、動画制作者の代わりにすべてを完成させるものではなく、表現の幅を広げ、制作をサポートしてくれる新しい道具です。
今回は、生成AIを活用した動画制作では何ができるのか、企画から完成までの流れに沿ってご紹介します。
生成AI動画は「自動で完成する動画」ではない
生成AIを使えば、短時間で多くの画像や映像素材を作ることができます。
例えば、未来都市、宇宙空間、架空の人物、幻想的な風景、通常では撮影が難しい場所なども、文章による指示からイメージを作り出せます。
しかし、生成された素材をそのまま並べただけでは、視聴者に伝わる動画にはなりません。
映像の順番、見せる時間、テロップの内容、音楽を入れるタイミング、ナレーションの話し方などを調整することで、初めて一本の動画としてまとまります。
動画制作で大切なのは「何を伝えるか」
動画制作で重要なのは、素材を作ることだけではありません。
「この場面で何を感じてもらいたいのか」
「どの言葉を一番伝えたいのか」
「最初の数秒で、どうやって興味を持ってもらうのか」
こうした構成や演出の判断は、現在も人が考える必要があります。
AIが素材を作り、人が目的に合わせて選び、編集する。
この組み合わせが、生成AIを活用した動画制作の基本だと考えています。
1.動画の目的と企画を考える
動画制作で最初に行うのは、映像を作ることではなく、動画の目的を整理することです。
商品を紹介したいのか、サービスの内容を知ってもらいたいのか、企業や店舗のイメージを伝えたいのか、SNSで多くの人に見てもらいたいのかによって、動画の構成は変わります。
掲載する場所によって見せ方は変わる
同じ商品紹介動画であっても、企業のホームページに掲載する動画と、TikTokやInstagramで流す動画では、見せ方が異なります。
ホームページ用であれば、信頼感や分かりやすさが重要です。
一方、SNS用の短い動画では、最初の数秒で視聴者の興味を引き、続きを見たいと思ってもらう工夫が必要になります。
生成AIは企画段階でも活用できる
生成AIは、この企画段階でも活用できます。
動画のタイトル案、構成案、キャッチコピー、ナレーション原稿、テロップ案などを複数作り、その中から目的に合ったものを選ぶことができます。
一つの案だけで進めるのではなく、異なる方向性の案を比較できるため、企画の選択肢を増やせることも生成AIのメリットです。
ただし、AIが提案した内容をそのまま使うのではなく、依頼者のサービス内容やターゲットに合わせて調整する必要があります。
サービスの強みや依頼者の思いを理解したうえで、動画の軸を決めることが大切です。
2.動画に必要な画像や映像を生成する
企画と構成が決まったら、動画に必要な素材を準備します。
通常の動画制作では、カメラで撮影した映像、購入した素材、写真、イラストなどを使用します。
生成AIを活用することで、これらに加えて、動画専用のオリジナル画像や映像を制作できるようになりました。
生成AIが得意な映像表現
例えば、次のような表現に向いています。
・未来の都市や建物
・宇宙や未知の惑星
・架空のキャラクター
・歴史上の場面をイメージした映像
・商品の世界観を表現したイメージ映像
・撮影が難しい季節や場所の風景
通常であれば、大規模な撮影やCG制作が必要になる場面でも、生成AIを使うことで、比較的少ない予算から表現に挑戦できます。
静止画から動画を作ることもできる
また、一枚の静止画を作るだけではなく、生成した画像に動きを加えることも可能です。
人物を歩かせる、カメラがゆっくり近づく、風景の中を移動する、雲や光を動かすなど、静止画だけでは伝わりにくい世界観を映像として見せられます。
AI映像には選定と編集が必要
ただし、生成AIによる映像は、人物の顔や手、文字、細かな動作などが不自然になる場合があります。
そのため、生成された映像をすべて使うのではなく、完成度の高い部分を選び、短く編集して使用することが重要です。
AI生成だからこそ、素材の選定や編集技術が必要になります。
3.実写映像とAI映像を組み合わせる
生成AIを活用した動画だからといって、すべての場面をAIで作る必要はありません。
実際の商品や人物、店舗、施設などはカメラで撮影し、撮影が難しいイメージ映像だけをAIで制作する方法も効果的です。
店舗紹介での活用例
例えば、店舗紹介動画であれば、店内やスタッフの様子は実際に撮影します。
そのうえで、サービスの未来性や特別な世界観を表現する場面にAI映像を使用することで、現実感とオリジナリティの両方を持たせることができます。
商品紹介での活用例
商品紹介の場合も同様です。
実際の商品を見せる場面は実写で撮影し、商品の特徴や使用後のイメージを伝える場面にAI画像やアニメーションを加えることで、説明だけでは伝えにくい内容を視覚的に表現できます。
実写とAIには、それぞれの強みがある
実写には、信頼感やリアリティがあります。
AI映像には、現実の撮影では難しい表現力があります。
どちらか一方だけを選ぶのではなく、目的に合わせて使い分けることが、これからの動画制作では重要になると考えています。
4.ナレーションや文章を作る
動画では、映像だけでなく、言葉の使い方も重要です。
短い動画であっても、ナレーションやテロップの内容によって、視聴者の受け取り方は大きく変わります。
動画に合わせて言葉の雰囲気を変える
生成AIを活用すれば、動画の長さに合わせてナレーション原稿を調整したり、複数のキャッチコピーを考えたりすることができます。
例えば、同じサービスを紹介する場合でも、次のように表現を変えられます。
・信頼感を重視した、落ち着いた文章
・SNS向けの、短くテンポのよい文章
・感情に訴える、ストーリー性のある文章
・専門的な内容を、初心者にも分かりやすく説明する文章
動画のターゲットや掲載する媒体に合わせて、言葉の雰囲気を変えることができます。
最終確認は人が行う
ただし、AIが作った文章には、不自然な表現や、サービスの内容と合っていない説明が含まれる場合があります。
そのため、内容を確認し、自然な日本語に修正しながら使用することが欠かせません。
最終的には、依頼者が伝えたいことを正確に表現できているかを、人が判断する必要があります。
5.BGMやオリジナルソングを作る
動画の印象を大きく左右するのが音楽です。
同じ映像でも、明るい音楽を使用するか、落ち着いた音楽を使用するかによって、視聴者が受ける印象は大きく変わります。
動画専用のBGMを作れる
生成AIを活用することで、動画の雰囲気に合わせたBGMを制作できます。
明るく親しみやすい音楽、未来的な電子音楽、感動的なバラード、軽快なポップスなど、動画の目的に合わせて方向性を決められます。
商品名やサービス名を歌詞に入れる
さらに、商品名やサービス名、企業の特徴などを歌詞に入れたオリジナルソングを作ることも可能です。
例えば、店舗やサービスの名前を短いフレーズにして、動画の冒頭や最後に使用すれば、視聴者の記憶に残りやすくなります。
企業のPR動画、店舗紹介、イベント告知、商品紹介などでは、オリジナル音楽を使用することで、他の動画との差別化にもつながります。
音楽も編集で生きる
一般的なフリーBGMを使用する方法もありますが、動画専用の音楽を作ることで、映像全体の統一感を高められます。
ただし、音楽を入れれば必ず良い動画になるわけではありません。
ナレーションを聞かせたい場面では音量を下げ、印象を残したい場面では音楽を強くするなど、編集による調整が必要です。
音楽も映像と同様に、目的に合わせて使うことが大切です。
6.編集で一本の動画に仕上げる
生成した画像、映像、ナレーション、音楽がそろったら、動画編集で一つの作品にまとめます。
動画編集では、不要な部分を削除するカット編集だけでなく、全体のテンポや見やすさを整えます。
主な動画編集作業
・映像のカットと並べ替え
・テロップの挿入
・効果音やBGMの追加
・ナレーションの音量調整
・映像の明るさや色の調整
・場面転換の演出
・ロゴや商品名の表示
・縦動画や横動画へのサイズ調整
SNS動画は最初の数秒が重要
SNS動画では、最初の数秒が特に重要です。
視聴者が興味を持てなければ、すぐに次の動画へ移動してしまいます。
そのため、動画の冒頭に印象的な映像や言葉を置き、内容を短く分かりやすく伝える必要があります。
映像・文字・音のバランスを整える
また、文字を入れすぎると読みにくくなり、映像を邪魔してしまいます。
反対に、説明が少なすぎると、何の動画なのか伝わりません。
映像・テロップ・音楽・ナレーションのバランスを見ながら調整することが、編集者の役割です。
生成AIによって素材制作のスピードは上がりましたが、最終的な見やすさや伝わりやすさは、編集によって決まります。
7.生成AIを使うことで動画制作は安くなるのか
生成AIを使うことで、撮影や素材制作にかかる費用を抑えられる場合があります。
例えば、遠方での撮影、大人数の出演者、特殊なセット、CG制作などが必要な動画は、通常であれば大きな予算が必要です。
その一部をAI画像やAI映像に置き換えることで、制作費を抑えながら、イメージに近い表現を目指すことができます。
AIを使えば必ず簡単になるわけではない
一方で、生成AIを使えば必ず簡単になるわけではありません。
希望する映像が一度で生成されるとは限らず、指示内容を変えながら何度も作り直す場合があります。
人物の顔を統一する、映像の雰囲気をそろえる、不自然な部分を避けるなど、調整に時間がかかることもあります。
生成AIの本当のメリット
生成AIのメリットは、単純に制作費を安くすることだけではありません。
これまで予算や環境の問題で実現が難しかった表現に、挑戦しやすくなることです。
限られた予算の中で、どの部分にAIを使い、どの部分を実写や通常編集で仕上げるかを考えることが重要です。
8.人が作るからこそ、伝わる動画になる
生成AIは、非常に便利な制作ツールです。
しかし、依頼者の思いやサービスの魅力を完全に理解しているわけではありません。
どの言葉を選ぶのか。
どの映像を残すのか。
どの場面で音楽を変えるのか。
視聴者に、どのような気持ちになってもらいたいのか。
こうした判断は、動画を作る人が考える必要があります。
AIと人の経験を組み合わせる
生成AIが作った素材の中から、目的に合ったものを選び、全体を整えることで、初めて伝わる動画になります。
AIだけに任せるのではなく、人の経験や感覚と組み合わせることが大切です。
私はこれまで、企画・取材・撮影・動画編集に携わってきました。
現在は、これまでの映像制作経験に、生成AIによる動画・画像・音楽・文章制作を取り入れています。
従来の制作方法とAIを組み合わせることで、一般的な動画編集だけでは難しかった表現にも対応できるようになりました。
まとめ|生成AIは動画制作の可能性を広げる道具
生成AIを活用することで、動画制作の可能性は大きく広がっています。
企画や台本を考える。
画像や映像を生成する。
ナレーション原稿を作る。
動画に合ったBGMやオリジナルソングを作る。
それらを編集し、一本の作品に仕上げる。
現在では、こうした複数の作業を、生成AIの力を借りながら進めることができます。
ただし、AIを使うこと自体が目的ではありません。
大切なのは、商品やサービスの魅力を、視聴者に分かりやすく伝えることです。
すべてをAIで制作する方法もあれば、実写映像の一部にAIを取り入れる方法もあります。
予算、目的、ターゲット、動画の掲載場所に合わせて、最適な制作方法を選ぶ必要があります。
私は、企画・撮影・編集の経験に、AIによる動画・画像・音楽制作を組み合わせ、SNS動画やPR動画を制作しています。
カット編集やテロップ挿入だけでなく、AI映像、オリジナルBGM、サービス名を取り入れた楽曲、ナレーションなどを組み合わせた動画制作も可能です。
「普通の動画編集とは少し違う表現を取り入れたい」
「撮影が難しい内容を映像にしたい」
「商品やサービスを、印象に残る形で紹介したい」
そのような場合は、生成AIを活用した動画制作も、一つの選択肢になるかもしれません。