「高い商品を売るなら、もっと豪華にしないといけない」
以前の僕なら、こう考えていたかもしれません。
デザインを豪華にする。
特典を増やす。
サポート期間を長くする。
とにかく提供量を増やす。
ところが、2026年9月に公表された博報堂の「新富裕層調査2026」を読むと、少し違う景色が見えてきます。
博報堂は世帯年収3,000万円以上を「新富裕層」として分析。そのうち、
51%が「モノの所有より体験や経験にお金を使いたい」
58%が「時間やゆとりを得るためにお金を使うことを惜しまない」
48%が「商品そのものだけでなく背景にあるストーリーも大切」
と回答しています。回答者全体では、それぞれ39%、31%、31%でした。調査は2026年3月、20〜69歳3,709人を対象に実施され、世帯年収3,000万円以上は547人です。
この数字を見て、僕が最初に思ったのは
「高単価商品ほど、作業量を売らない方がいいのかもしれない」
ということでした。
今回はこの調査を入り口に、コンサル、代行、Web制作、SNS運用などの無形サービスをどう見せれば、高単価でも価値を理解してもらいやすくなるのか考えてみます。
◆「10時間作業します」は、本当に魅力なのか?
たとえば、10万円のSNS運用サービスがあるとします。
説明文にはこう書いてあります。
30日間サポート
投稿30本作成
週1回分析
チャット相談無制限
月10時間以上対応
売り手から見ると、
「これだけやるので10万円です」
と説明したくなりますよね。
僕もサービス内容を作る側なら、つい工数を増やして価格の根拠を作りたくなります。
ただ、お客様が本当に欲しいのは
僕たちが10時間働くこと
でしょうか。
おそらく違います。
毎日投稿を考える時間を減らしたい。
何を改善すればいいか悩む時間をなくしたい。
本業へ集中したい。
家族との時間を増やしたい。
つまり買いたいのは作業時間ではなく、
「自分の時間が戻ってくる状態」
かもしれません。
博報堂の調査では、新富裕層の58%が「時間やゆとりを得るためにお金をかけることを惜しまない」と回答し、44%が家事代行や育児サポートなどの外注サービスを積極的に利用すべきだと回答しています。全体ではそれぞれ31%、24%でした。
高単価サービスの説明でも、この視点はかなり使えそうです。
◆「作業を代行します」から「時間を取り戻します」へ
同じサービスでも、見せ方を変えてみます。
【作業を売る場合】
X投稿を月30本作成します
毎日の投稿作成を代行します
これでも内容は分かります。
もう一段、お客様側へ寄せるなら
毎朝「今日は何を投稿しよう」と考える時間を減らし
本業に集中できる状態を作ります
投稿テーマの整理から文章作成まで対応します
となります。
作業内容を隠しているわけではありません。
作業の先に何が返ってくるのか
まで説明しています。
Web制作でも同じです。
ホームページを10ページ作ります
だけではなく
お客様から毎回答えていた
「料金は?」「何を準備する?」をWeb上で確認できる状態にします
と書ける。
コンサルなら
60分相談できます
より
「何から直せばいい?」と迷う時間を減らし
次に取り組む1〜3個を整理します
と書けます。
高単価商品だから提供量を増やす。
その前に
お客様から何の時間を取り除けるか
を考える。
これはかなり面白い視点です。
◆富裕層は「豪華なモノ」だけを求めているわけではなかった
富裕層という言葉から、
高級車
時計
ブランド品
豪邸
を想像する人も多いと思います。
実際、若年富裕層では自動車、時計、ジュエリー、海外旅行、アートなどへの支出意欲が同年代全体より高い傾向も報告されています。
一方で今回の調査では、
モノの所有以上に体験を重視する
という傾向も出ています。
世帯年収3,000万円以上では、51%が所有より体験・経験へお金を使いたいと回答。
さらに58%が文化や芸術など、感性や教養を高める体験を志向しています。
ここから考えると、高単価商品の設計も
「たくさん付ける」
だけではなく
「どんな体験をしてもらうか」
が重要になりそうです。
◆高単価コンサルなら「情報量」より体験を作る
たとえば10万円のコンサル。
PDF100ページ。
動画20本。
テンプレート50個。
特典を山ほど付ける。
一見お得です。
けれど忙しいお客様なら、
「いつ全部見るの?」
となる可能性もあります。
それより
初回で現在地を整理する。
↓
やることを3つに絞る。
↓
実践する。
↓
1週間後に数字を見る。
↓
次の改善を決める。
この方が、
自分のビジネスが実際に変わっていく体験
があります。
高単価サービスで重要なのは、
教材の重量ではなく
購入前と購入後で、何が変わったと実感できるか
なのかもしれません。
◆48%が「商品の背景にあるストーリー」を重視
今回の調査でもう一つ気になったのが、ストーリーです。
新富裕層の48%が
「商品そのものだけでなく、その背景にあるストーリーが大切だと思う」
と回答。
回答者全体は31%でした。
また、53%が「職人の手仕事やクラフトマンシップを感じられるものを愛用したい」としています。
これを見ると
「高級感のあるデザインにすれば高く売れる」
では少し浅いことが分かります。
高額商品ほど、
なぜこの商品を作ったのか
なぜこの方法なのか
誰がどんな考えで作っているのか
まで価値になる可能性があります。
◆ココナラでも「サービス説明」だけで終わらせない
たとえば
X運用代行30日
50,000円
という商品。
機能説明だけなら
投稿作成
いいね
リプ
分析
と書きます。
そこへ背景を足します。
僕がこのサービスで重視しているのは
フォロワー数だけを増やすことではありません
Xを見た人がプロフィールへ進み
サービス内容を確認できる状態まで整えることです
これまで運用してきた中で
投稿は見られているのに問い合わせにつながらないケースを何度も見てきたため
投稿だけでなく、その先まで確認しています
これなら
「なぜこのサービス内容なのか」
が分かります。
同じ5万円でも、ただ作業項目を並べたサービスとは比較のされ方が変わります。
◆「ストーリー=感動話」ではない
ここは勘違いしたくありません。
苦労話を長く書けばいいわけではないです。
「借金から這い上がりました」
「人生どん底でした」
のような話だけがストーリーではありません。
僕ならもっと実務的に使います。
たとえば、
なぜ修正回数をこの回数にしたのか。
なぜ30日なのか。
なぜ安売りしないのか。
なぜこの作業はサービスに含めないのか。
なぜこの業界へ絞ったのか。
こうした商品の設計理由そのものも立派な背景です。
理由が見えると、価格にも意味が生まれます。
◆富裕層は「信頼できる人から聞く」を重視する
さらに今回の調査では、新富裕層の44%が学校・会社・地域などのコミュニティを大切にしており、48%が自分のネットワーク拡大に積極的。
そして**58%が「メディアの情報より直接見聞きした情報を信頼する」**と回答しています。
ここもマーケティング的にかなり面白いです。
広告を増やす。
露出を増やす。
PVを増やす。
これだけではなく、
「誰から聞いたか」
が重要になる。
高単価商品ほど、この傾向は強く意識した方がよさそうです。
◆高単価商品ほど「口コミ1件」の意味が変わる
1,000円の商品なら
「試してみよう」
で買える人もいます。
10万円。
30万円。
100万円。
金額が上がるほど
「本当に大丈夫?」
が強くなります。
そこで
広告に100万円使って
「最高品質です!」
と伝えるより、
信頼している知人から
僕も使ったけど良かったよ
と言われる方が強い場合があります。
つまり高単価商品のマーケティングでは、
新規客へ大量に広告を見せること
だけでなく
購入者が誰かへ紹介したくなる状態
も作らないといけない。
ここはSNSともつながります。
実績紹介。
お客様の声。
事例記事。
紹介制度。
コミュニティ。
購入後のフォロー。
これらは単なるアフターサービスではなく
次のお客様を作るマーケティング
にもなります。
◆「安くしてください」ではなく「時間を買いたい」お客様を探す
高単価サービスを販売していると
「高いと言われたらどうしよう」
と不安になります。
その結果、
値下げする。
特典を追加する。
さらに作業を増やす。
僕もこの考え方に引っ張られそうになることがあります。
ただ、今回の調査を見ると、
価格に敏感な人だけを見てサービス設計する必要はありません。
「自分でできるけれど、やりたくない」
という人もいます。
たとえば、
SNS投稿は自分でも作れる。
ブログも書こうと思えば書ける。
Webサイトも勉強すれば作れる。
それでも外注する。
なぜか。
自分の時間を、もっと重要なことへ使いたいからです。
高単価サービスでは、この顧客層を見落としたくありません。
◆5万円のSNS運用を「投稿30本」で売らない
たとえば月5万円のSNS支援。
作業量で売るなら
投稿30本
リプ対応
分析
プロフィール添削
になります。
時間価値で見せるなら
毎日投稿を考える時間を減らし
本業へ集中できる状態を作る
体験価値なら
何を発信すればいいか迷わず
毎月改善点が分かる状態へ
ストーリーまで加えるなら
投稿数だけ増やしても問い合わせにつながらない案件を見てきたため
投稿・プロフィール・サービスへの案内をまとめて確認する
となります。
作業内容は同じ。
価値の見せ方が違います。
これだけでも、サービスページはかなり変わります。
◆「高級に見せる」より「余白を作る」
今回の調査で僕が一番好きなのは
時間やゆとり
という言葉です。
高単価商品と聞くと
豪華
限定
VIP
プレミアム
の方向へ行きがちです。
それも一つです。
ただ、忙しい人にとって最も贅沢なのは
予定が空くこと
かもしれません。
自分で調べなくていい。
比較しなくていい。
文章を書かなくていい。
何をすればいいか迷わなくていい。
その「しなくていい」を増やす商品。
これはWebサービスやコンサルと非常に相性がいいです。
◆高単価サービスの商品説明を3つの質問で作り直してみる
今、高めの価格の商品を販売しているなら
サービスページを開いてみてください。
そして次の3つだけ確認します。
① この商品は、お客様の何時間を減らせる?
「何時間働くか」ではなく
相手から何時間取り除くか。
② 購入後、どんな体験ができる?
成果だけではありません。
迷わない。
任せられる。
安心して進められる。
新しい知識を得られる。
ここも価値です。
③ なぜこの商品を、この形で提供している?
あなた自身の経験。
お客様から言われたこと。
過去の失敗。
商品設計の理由。
ここがストーリーになります。
この3つが書ければ、
「作業〇時間・特典〇個」
だけの商品説明から抜けやすくなります。
◆富裕層全員が同じではない
ここは最後に注意しておきたいです。
今回の博報堂調査は、世帯年収3,000万円以上を「新富裕層」と設定した分析です。
「お金持ちは全員こう考える」
という話ではありません。
調査対象の新富裕層にも年代や家庭状況、資産背景の違いがありますし、カテゴリーによって購入基準も変わります。調査自体もそれらをセグメント別に分析しています。
大切なのは
富裕層向けに売れば儲かる
という結論ではありません。
僕が参考になると思ったのは、
価格以外の価値をどう作るか
という部分です。
◆最後に|高単価商品ほど「足し算」より価値の翻訳
商品を高く売りたい。
そう思ったとき
特典を増やす。
サポート期間を延ばす。
作業量を増やす。
これも方法の一つです。
ただ今回の調査を読むと、別の方法も見えてきます。
時間を返す。
特別な体験を作る。
背景に意味を持たせる。
信頼できる人から伝わる仕組みを作る。
高単価=提供量が多い
とは限りません。
むしろ、
「この商品を買うことで、自分の人生の何が豊かになるのか」
まで説明できるサービスの方が、高い価格に意味を持たせやすいのかもしれません。
次に商品説明を書くとき、
「何をしてあげるか」
だけではなく
「このサービスは、お客様から何を減らして、何を増やすのか」
まで一度考えてみてください。
僕自身も、ココナラの商品説明を作るときに、この視点はかなり使ってみたいと思っています。