生き生きとした表情を生み出す調声とは?

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音声・音楽
はじめまして、甲楽わんです。
この記事を読んでいただきありがとうございます。

ボカロでオリジナル楽曲を作製されているボカロPへ。私のボカロ調声がどういった作業なのか分からないままでは、依頼しづらいと思いますので、ここでは作業内容をお話ししようと思います。

私は、人間らしい生き生きとした表情を生み出してボーカルをアレンジしていく調声をしています。そのために「ボカロのクセ」を抜いて、「人のクセ」を加えていくということが最も基本となる作業です。

生き生きと歌わせるために「人のクセ」を活かす

たとえば、音高に着目してみましょう。音高の変化だけでも、歌詞を流し込んだだけの(いわゆる「ベタ打ち」の)ボカロと人の歌唱では大きな違いがあります。

人の歌唱では、
・ビブラート
・しゃくり
・オーバーシュート
・プレパレーション
・語尾上げ/下げ

以上のような歌唱要素(人のクセ)が入ってきます。

ボカロにただ歌わせただけ(ベタ打ち)では、平坦で表情がなく、歌詞は聞き取れるし音を外してもいないのだけれど”歌っている“ という感じがありません。歌い手さんが歌ったときには、その歌声に高揚感(テンション)やノリ、熱量が感じられるのに、ボカロの歌声になると急に冷めたように感じられます。

人が歌ったときの、ボーカルの表情や高揚感、ノリ、熱量は、上のような歌唱要素(人のクセ)によって生まれると考えています。そのクセを理解し、さまざまに組み合わてボーカルトラックをアレンジしていくのが、私の調声です。

【動画】調声作業紹介(調声前後の比較)
※ノート上の赤いラインは音高の変化を示します。下部の表示パラメータはダイナミクス(DYN)です。

音高の変化以外にも、「息漏れ」「子音のタメ」「声門閉鎖」など、ベタ打ちボカロでは得られない歌唱要素がたくさんあります。興味がある方は、私の配信している解説動画やブログをご覧ください。

さらに、楽曲に合わせて、声質を調整したり、ボーカルカラー(歌い方の特徴)や歌い方を選んだりします。耳障りな子音(特にカ行)を処理したりもします。

【参考】
ブログ:ボカロ研究所のつれづれ日記(著 甲楽わん)
書籍:農学博士がボカロ調声にハマった-生き生きと歌わせるための調声要素-(著 甲楽わん)

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