恋人や恋愛相手や配偶者と喧嘩した事、ありますか?
そして喧嘩になったり不穏な空気になった時に、相手が黙り込んでしまって進まなくなって余計イライラした事はありますか?
「何か言ってよ!黙ってられたら何も分からないよ。」って言った事、ありますか?
めでたく喧嘩した事ない人も、何度も言い争いをしている人も、今日はタイトル通り、喧嘩や価値観のぶつかり合いになった時に黙ってしまう人がいる事に触れていきたいと思います。
分かりやすくタイトルをこうしただけで、性別はほぼ関係ありません。
性差ではありますが、どっちの脳を持っているかは戸籍では分かりません。
多くの場合、男性の方が黙りやすくて女性は話したいと考えやすいのでこうしています。
①言語と脳
└言語は脳のどこでつくられている?
ここでは基本的な言語と脳の関係性について書くので、分かりにくいと思ったり難しいと思った人は①は飛ばすのを推奨します。
まず、脳の中の『言語中枢』と呼ばれる部位が言語には関係しています。
言語に限った事ではないのですが、1つの動作に関連する脳の部位は1つでない事が多いです。
言語も
ブローカ野(運動性言語中枢)
└言葉を作りアウトプット
ウェルニッケ野(感覚性言語中枢)
└音声言語を理解、認識インプット
左角回
└言語理解、連想記憶
左縁上回
└音韻のワーキングメモリ
などが代表的な言語中枢です。
※余談→左脳右脳と良く私も言いますし言語を司るのは左脳というのは有名ですが、左利きの人の多くは脳の左右が逆転しています。その場合言語を扱うのは右側の脳という事になります。
今回は、この中の「ブローカ野」と「ウェルニッケ野」に注目してみましょう。
先ほどもありましたが、ブローカ野は言葉を作ってアウトプットします。
ウェルニッケ野は音声言語を理解して認識をインプットします。
つまり、誰かと会話をしてる時
耳で相手の話している事を聞く
↓
聴神経を経て聴覚中枢、ウェルニッケ中枢に届く
↓
ウェルニッケ野が音声言語を理解して認識をインプット
↓
ウェルニッケ野が自分の頭の中の考えを言葉として組み立てる
↓
神経経路を経由してブローカ中枢に伝達
↓
ブローカ野が言葉を作って発する
※言葉が正しく伝わっているかどうかをウェルニッケ野はこの時に確認しているそうです
という順番で脳は働くのです(もちろんこれだけではないよ)
つまり人は自分の考えを言葉で伝える時に、ウェルニッケ野で自分の頭の中の考えを言葉として組み立て、話し言葉の元となる文章の構成を行い、弓状束という神経経路を経由してブローカ中枢に伝達された後言葉として発するのです。
②言語化ってなに?
└あなたの頭の中に浮かんでいる文章、それは言語化されたもの
言語化を調べるとこの様に書いてあります
言語化
読み方:げんごか
言葉で表現すること。感情や直感的なものを説明・伝達可能にすること。
引用…Weblio辞書
そうです、感情やまだ「言葉」で表現されていないものを話したり書いたり出来る様にする事を言語化、と言います。
感動する映画を観て号泣したとします。
その時に誰かに『どうして泣いたんですか?』と聞かれたとしたら、その回答がつまり映画を観て泣いた理由を言語化した、という事になります。
誰でも作詞作曲出来るわけではないですよね?出来たとしても多くの人を感動させる音楽を作る事が出来る人は多くはないと思います。
多くの人に支持される絵を描ける人も、一握りだと思います。
それと同じで、実は言語化はバラつきのある能力です。
小説家とかまるで文豪みたいな作詞をするミュージシャンとかエッセイストとか、そういった方々は言語化能力が非常に高いのだと思います。
③男性脳と女性脳の言語化における違い
└喧嘩中に黙ってしまうのは、男性の方が多いはず
中タイトルで分かると思いますが、つまり言語化能力は女性の方が高い(事が多い)のです。(①の続きなので難しいと思った人はここもスキップ推奨)
他の理由ももちろん考えられますが、今回は2つピックアップします。
⑴脳梁という神経線維の束に違いがある
左脳と右脳を繋いでいる『脳梁』という神経線維の束があります。
この脳梁の構造に男女差があると言われていて、女性の脳は脳梁の後方部分が球状に太くなっているのですが、男性の脳は膨らみが少ないのです。
ここには①でお伝えしたウェルニッケ野から左右の脳を連絡する神経繊維が通っているので、その形状に差があるということは情報処理の方法が男女で異なる可能性を示しています。
言語は基本的に左脳で処理されている(右利きの人の95%と左利きの人の30%)と言われていますが、全てがそうではありません。
言葉のアクセントや談話の処理、ユーモアや皮肉、比喩の理解などは右脳が行っていると言われていて、MRIを使った研究では朗読を聴いた時の脳活動では男性がほぼ左脳だけを活用しているのに対して女性は左右両方の脳を活用している事が分かっています。
ウェルニッケ野からの左右の脳の繋がり方、脳梁の構造の違いからも、男女差が考えられます。
つまり、情報を処理する時に左右両方の脳を使う事が出来る女性は、あまり意識せずとも男性よりきめ細かくものを見ることができるのではないかという事と、言葉のアクセントや談話の処理、ユーモアや皮肉、比喩の理解に優れている可能性が高いという事になります。
⑵女性の方がウェルニッケ野の神経細胞の密度が高い
ウェルニッケ野では『音声言語を理解して認識をインプット』や『自分の頭の中の考えを言葉として組み立てる』という事をしていると①でお伝えしましたが、ウェルニッケ野の神経細胞の密度が女性の方が高いと分かっています。
分厚いって事ですね。
それは、一つ聞いただけで瞬時に理解する力と、自分の考えている事や感じている事を言葉として組み立てる力が女性は高いという事になるのです。
つまり⑴⑵をまとめると、聴いた事への理解やその場を細かく見る能力が高い上に自分の考えやその場の状況などを言葉にして発する能力も高い女性は言語化能力が優れていると言えるのです。
④で、喧嘩中に結局男女の間では何が起きているのか?
└見えているものは同じはずだけど、認知している事と言語化出来ているものが全く異なる
ここまでで、言語化能力は女性の方が優れている可能性についてまとめてみました。
では、喧嘩中に男女の間では何が起きているのでしょう…?
それを、極端な例で説明しましょう
女性が喧嘩中にイライラして
『私が善意で○○したのにあなたはそれに気が付かずに○○って言ったでしょ、だから私は○○って思って○○って言ったの!そしたらあなたが○○って言うからムカついて私は○○したの!!』
と、起きた事の状況からセリフ、自分の感情から相手の態度の隅から隅まで説明出来るのに対して、
男性はその時
『なんか、ムカつく』
と考えているのです。
分かりますか?この差!
冗談じゃなくて本当です。
時々別れたいと言い出した彼氏に別れの理由を聞いたご相談者様が「なんとなく」と言われるケースがありますが、まさにこれです。
もちろんこれには個人差がありますので、男性でも言語化能力が高い人はたくさんいらっしゃいますし、女性でも言語化が非常に苦手な人もたくさんいます。なので全員に当てはまるわけではない事はご注意くださいね。
余談ですが…、言語化能力が高くない方がメンタル的には良いと個人的には思っています。
自分の置かれている状況や感じている事がネガティブだった場合、それを言語化出来れば出来る程具体的に考えてしまうという事になるので、ネガティブな事言ってる人が言語化能力高くないのを見ると、その方がいいなと勝手に考えてしまうのです。
うつ病の患者数は女性の方が2倍多いと言われていて、その理由は女性ホルモンの乱れと、男性はうつになっても病院に行かないので患者数としてカウントされないからと言われています。
完全に私見ですが、言語化能力も関係あるんじゃないかな、とか勝手に思っています。(調べたら違ったらごめんなさい)
⑤黙ってしまう理由は言語化だけなのか?
└言語化能力だけが理由ではない
ここまで書いておいて「そうとは限らない」とお話しするのもあれですが、だけど事実言語化能力だけが理由ではありません。
言語化出来ているけど「言えない」人というのはたくさんいます。
例えば養育環境などの理由で自分の意見を話す事は良くない、と感じながら生きていると頭に自分の考えが浮かんでも、言いたくても言えません。
それ以外にも、話している相手の気持ちや状況を鑑みて「今自分が意見を言うと相手を傷つける」と考える人もいますし「自分が悪者になった方が最終的にうまくいく」と考える人もいます。
恋愛相談などをしていると、一辺倒に「男性だから言葉にするのが苦手なんだよ」とだけ言われて変に納得させられる事もあるかもしれませんが、本当にそれが理由なのかは相手の事を詳しく知らないと答えられません。
たまたま少しの情報だけで正解にたどり着く事もあると思いますが、あらゆる可能性があるのに少しの情報だけで「男性だから言語化出来ないだけだよ」と回答するのは非常に無責任だと私は考えます。
(ただし、情報不足の場合は少ない情報を頼りにこう答える事もある)
なので、これを読んだ方も言語化能力が理由である可能性は可能性の1つであって、他の要因もありえると覚えていてください。
⑥まとめ
今日は『黙る男、話したい女』というタイトルで書いてみました。
最近言語化についてお話しする事が多かったので書きたいテーマでした。
もっとラフに簡単に書く予定だったのに蓋をあけたらガッツリになってしまった…。
ちなみに『話したい』と『話し合いたい』は別なので、話し合いが出来る、出来ない、に関してはまた別でいつか書ければと思います。
※言語化能力も関係ありますが
今日の内容を読んで、ご自身が今恋愛をしている相手の事を少しでも理解出来たら幸いです✧
「もっと何か言ってよ!!」と言ってしまう女性は、自分にあてはめたら、作曲なんて出来ないのに「今すぐ良い曲をつくれ!」と言われている状態と同じかもしれないと想像してみてください。
「何を言えばいいか分からない」と思ってしまう男性は、かっこつけたい気持ちも分かりますが「なんて言えば良いか分からないんだ」とそのまま素直に伝えてみてください。
(ま、相手が言語化能力について知っててくれないとあまり変わらないかもしれないけど…)
今回は分かりやすくするために男女という書き方をしましたが、性差というより脳差だと思ってます(仮説)
もし今恋人、配偶者、復縁したい元彼、元カノとの関係で悩んでいる人がいたら、相談はいつでもお受付します。
※だたし、条件が厳しいのでちゃんと確認してからご依頼ください
それでは、もしかしたら2021年最後のブログ更新になるかも?しれませんが、来年も皆さんにとって良い1年でありますように。
今年の残りの数日も、楽しく過ごせますように。
カウンセラー佐藤愛
[参考文献]
脳の不思議がわかれば女性関係は99%うまくいく/米山 公啓
大脳皮質のおはなし/Akira Magazine
言語中枢/脳科学辞典
朗読を聴くときの脳活動の男女差/情報科学部 脳機能ラボ
脳の性差はいかに決定されるか/新井康允