場所を変え続けてきた方の、根のかたち

場所を変え続けてきた方の、根のかたち

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十月に入り、朝の空気がすこし硬くなりました。道端の草は色を抜きはじめ、夕方の光は日ごとに早く傾いていきます。この時期は、空の高いところを鳥の群れが渡っていくのを見かけます。あの鳥たちは、同じ場所に留まらないから根を持たないわけではありません。離れる場所と向かう場所の両方を体のどこかに覚えていて、その季節に合う土地へ移っているように見えます。

何度も転職や引っ越しを繰り返してきた、というご相談をいただくことがあります。履歴書の行が増えていくのが気になるとおっしゃる方がいます。住所変更の手続きに慣れてしまったと苦笑される方もいます。長く同じ場所にいる人を見ると、自分だけどこか欠けているように思えてしまう、と話してくださる方もいます。

波動を見せていただくと、繰り返しという言葉の印象とは違うものが流れています。一度目と二度目と三度目は、動いた理由がそれぞれ別でした。逃げたように思えていた一度が、実際には限界の手前で自分を守った選択だったこともあります。衝動的に見えた移動が、半年前から体の奥で静かに準備されていたこともあります。同じ失敗を繰り返したのではなく、違う問いを順番に通ってきた形に見えるのです。

もうひとつ、よく見えるものがあります。その場の空気の変化に、人より早く気づく性質です。雨が降る前に空気が湿るように、職場や土地の流れが変わる瞬間を先に感じ取ってしまいます。周りがまだ気づいていないうちに居心地の違いが分かるので、動く時期も人より早くなりがちです。これは落ち着きの無さではなく、感度の高さの表れだと私は受け取っています。

根のかたちも、一本を深く下ろす木とは違います。横へ細く広く伸びていく草のような形で、通ってきた土地ごとに細い根が残っています。もう切れたと思っている縁や、置いてきたつもりの場所にも、まだ薄く線がつながっています。ですから、何も積み上がっていないという感覚があっても、実際には拾い集められるものが思いのほか残っています。

いま同じ場所に留まるべきか、また動くべきか。その答えを急いで出さなくても構わないように思います。できることがあるとすれば、今いる場所で自分がどこに根を下ろしているかを、ひとつだけ確かめることでしょうか。人でも、仕事のごく一部でも、朝に通る道でもかまいません。それが見つかると、留まることも動くことも、どちらも自分で選んだ形になっていきます。

季節が一日で入れ替わらないように、人の流れにも移り変わる時季があります。これまでの移動も、その時季に沿っていたのだと思います。

もしご自身の流れをもう少し詳しく見てみたくなられたら、プロフィールページをのぞいてみてください。
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