候補は5つあるのに、3年たっても何も形になっていない
興味のあることを聞かれたら、いくつでも答えられる。
本も読んでいるし、講座も受けた。副業の候補もいくつか思いついている。それなのに、どれも本格的に始めないまま数年が過ぎている。
「やりたいことがない人よりマシだ」と自分に言い聞かせてみるものの、手元には何も残っていない。この状態がいちばんもどかしい、という40代・50代の方は少なくありません。
周囲を見ると、興味の数は自分より少ないのに、一つのことを地道に続けて形にしている人がいる。あの人と自分の差は何なのかと考えてしまう。
それは意欲の問題ではなく、並べ方の問題かもしれません
候補が多いこと自体は、これまで幅広く経験を積んできた結果でもあります。関心の幅が狭ければ、そもそも5つも思いつきません。
問題は、性質のまったく違う興味が同じ一列に並んでいることです。
「読んでいるだけで楽しいこと」と「人に渡してお金をいただけること」が同じテーブルの上に並んでいると、比べようがありません。比べられないものを比べようとするから、決めきれずに時間が過ぎていきます。
意欲が足りないのではなく、選ぶ前の交通整理が済んでいない。まずはそう捉え直してみてください。
絞れなくなる3つの背景
・興味の種類が混ざったまま並んでいる
趣味として触れていたいものと、仕事にしたいものを同列に扱うと、判断軸が定まりません。「好きかどうか」だけで並べると、どれも同じくらい好きに見えてしまいます。
・「一生もの」を選ぼうとしている
40代・50代になると、残り時間を意識するぶん「これが最後の選択だ」と力が入ります。一生を賭ける一つを選ぼうとするほど、決断のハードルは高くなります。実際には、40代で始めたことが50代で少し形を変えていくのは自然なことです。
・選ばないことのコストが見えていない
選ばずに全部を眺めている間も、時間は同じだけ減っています。ただ、その減り方は目に見えないので、「まだ考え中」という状態が居心地よく感じられてしまいます。
興味を3つの層に分けて見る
手元の候補を、次の3層に振り分けてみてください。
・消費の興味
触れているだけで満たされるもの。読む、観る、行く、集める。人に渡す必要がありません。ここは無理に仕事にしなくてよい層です。むしろ生活の回復装置として大事に残しておく価値があります。
・習得の興味
うまくなりたい、詳しくなりたいと感じるもの。学ぶこと自体に手応えがある層です。ただし、習得は続けているだけでは収入にも役割にもつながりにくく、次の層に渡してはじめて動き出します。
・提供の興味
誰かに渡したときに反応が返ってきて、自分も嫌ではなかったもの。教える、代わりにやる、整える、つなぐ。過去に頼まれた経験があるものは、ここに入りやすい層です。
多くの場合、絞れない人のリストは消費の興味と習得の興味で埋まっています。提供の興味が1つか2つしかないことに気づくと、選択肢は自然に減ります。
3つのケースで見てみます
ここで挙げるのは、よくあるパターンを整理した架空の例です。
ケース1:48歳・メーカー勤務のAさん。候補は歴史、写真、English、資格取得、コーチング。3層に分けると、提供の興味に入るのはコーチングだけでした。ほかは触れていたい層と学びたい層。まず90日はコーチングの練習相手を3人見つけることに集中すると決めました。
ケース2:52歳・事務職のBさん。候補はすべて習得の興味で、提供の層が空欄でした。空欄だと気づいたことが収穫で、次は「学んだことを誰かに一度説明してみる」を先に入れる方針に切り替えました。
ケース3:45歳・営業のCさん。提供の興味が3つ並びました。この場合は、直近1年で人から頼まれた回数が多い順に並べ替え、上から1つを試す順番に決めました。数が多いときは、好みではなく「頼まれた履歴」で順番をつけると迷いが減ります。
今の状態を確かめる12問
当てはまるものを数えてみてください。
1. 興味のある分野を3つ以上すぐに挙げられる
2. そのうち、人に渡した経験があるものは1つ以下だ
3. 候補を紙に書き出したことは、ここ1年ない
4. 「もっと調べてから」で先延ばしにした候補がある
5. 講座や本の購入はするが、アウトプットはしていない
6. どれを選んでも、ほかを捨てる気がして苦しい
7. 選ぶときに「一生続けられるか」を基準にしている
8. 家族や同僚に、自分の候補を説明したことがない
9. 3か月後にどうなっていたいかを言葉にできない
10. 途中でやめた候補について、やめた理由を振り返っていない
11. 「向いているものが見つかったら本気を出す」と思っている
12. 気づくと、新しい候補が増えている
読み取りの目安です。
0〜3個の方は、順番はおおむね見えています。あとは着手日を決める段階です。
4〜8個の方は、候補が層として整理されていない可能性があります。3層に振り分ける作業から始めると視界が変わります。
9個以上の方は、選ぶこと自体を先送りする癖がついているかもしれません。まずは期限つきの小さな実験を1つだけ置いてみてください。
今日からできる3つの行動
・候補を1枚に書き出し、層で色分けする
所要10分で構いません。消費・習得・提供の3列を作り、思いつく候補を放り込みます。提供の列に入るものが、当面の検討対象です。
・90日の実験枠を1つだけ決める
一生の仕事ではなく、90日だけ試す枠として選びます。期間を区切ると、選択の重さが下がります。90日後に続ける・変える・やめるを判断すればよい、という前提にしておきます。
・「戻る日」をカレンダーに入れる
やめる基準を決めるより、見直す日を先に決めるほうが動きやすくなります。3か月後の日付を入れて、その日に他の候補へ移る自由を自分に残しておく。捨てないと決めることで、かえって着手しやすくなります。
どれも小さな作業ですが、順番を作る効果があります。候補の数を減らすのではなく、今月手をつける1つを決める。それだけで停滞は動き始めます。
さらに自分自身について詳しく知りたい方へ
ここまでのワークは、自分の記憶と手元の情報だけで進められる整理法です。ただ、実際にやってみると「提供の列に何を入れてよいか分からない」「自分では当たり前すぎて才能に見えない」という壁にぶつかる方もいます。
自分の内側だけを見ていると、どうしても見慣れた景色になります。外側から自分の傾向を言葉にしてもらうと、候補の並べ替えが早く進むことがあります。
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今の候補リストを手元に置きながら読んでいただくと、順番を決める材料として使いやすいはずです。よければ一度、外からの視点を取り入れてみてください。