FXで勝てない状態が続くと、多くの人は「もっと勝率の高い手法を探そう」「エントリー条件を変えよう」と考えます。
しかし、手法を見直す前に確認したいことがあります。
それは、現在使っているルールをどの程度守れているかです。
勝ったトレードが、必ずしも良いトレードとは限りません。反対に、負けたからといって判断まで間違っていたとは限りません。ルールを破って偶然利益になったトレードもあれば、決めた条件をすべて守っても損切りになるトレードもあるからです。
FXで勝てない原因を正しく見つけるには、勝敗だけでなく「ルールどおりに判断できたか」を分けて振り返る必要があります。
勝率だけを見てもFXで勝てない原因は分からない
勝率は大切な数字ですが、トレードの改善点を単独で教えてくれるものではありません。
たとえば、5回続けて負けたとしても、その理由は複数考えられます。
ルールは守れていたが、損失が続いただけ
エントリー条件を満たしていない場面で入っていた
相場環境と手法が合っていなかった
そもそもルールが曖昧で、毎回違う判断をしていた
損切りや利確だけを途中で変更していた
これらは、すべて修正方法が異なります。
ルールを守れていないのに手法を変更しても、新しい手法でも同じことが起こりやすくなります。一方、ルールを安定して守れているなら、検証結果や実際の記録をもとに、手法や条件そのものを見直す段階へ進めます。
ところが、勝敗だけで判断すると、ルールを破って勝ったトレードを成功例として残し、ルールどおりに行った負けトレードを失敗例として捨ててしまいます。
これでは、続けるべき判断と修正すべき判断が逆になってしまいます。
「ルール遵守率」で判断の一貫性を確認する
この記事では、事前に決めた条件どおりに判断できた割合を、便宜上「ルール遵守率」と呼びます。
計算方法はシンプルです。
ルール遵守率
=ルールどおりに判断したトレード数÷振り返ったトレード数×100
たとえば、20回のトレードを振り返り、そのうち15回が事前のルールどおりだった場合、ルール遵守率は75%です。
ただし、数字を出すためには、何を守れば「ルールどおり」と判定するのかを先に決めておく必要があります。
一般的には、次のような項目です。
・エントリーを検討できる相場環境
・価格が到達するのを待つ場所
・エントリーに必要な条件
・見送る条件
・シナリオが崩れたと判断する条件
・1回のトレードで許容するリスク
・利確と損切りの基本方針
実際に使う項目は、手法やトレードスタイルによって変わります。重要なのは、トレードが終わった後に都合よく条件を追加するのではなく、判断する前に基準を決めておくことです。
勝敗とルール遵守を4種類に分ける
トレードを振り返るときは、次の4種類に分けます。
ルールどおりに判断して勝った
手法の想定内で得られた利益です。ただし、1回勝っただけで条件の有効性が証明されたわけではありません。同じ判断を継続できるよう、根拠と手順を記録します。
ルールどおりに判断して負けた
損失は出ていますが、すぐに悪いトレードと判断する必要はありません。損切りも含めて事前の想定どおりなら、その手法を使ううえで発生し得る一つの負けです。
同じ条件で負けが偏っていないかは確認しますが、1回の結果だけでルールを変えないことが大切です。
ルールを破って勝った
最も注意したいトレードです。
利益が出ているため成功したように感じますが、同じ判断を繰り返したときに利益が残るかは分かりません。「ルールを破っても勝てた」という経験が、次の無計画なエントリーを正当化することもあります。
結果は利益でも、振り返り上はルール違反として記録します。
ルールを破って負けた
改善点が比較的見つけやすいトレードです。
エントリーが早かったのか、見送る条件を無視したのか、損切りを変更したのかを確認します。この場合、最初に修正すべきなのは手法ではなく、ルールを守れなかった原因です。
一般例で見る「良い負け」と「危険な勝ち」
一般例として、エントリー条件を次の3つに決めていたとします。
上位足の方針と狙う方向が合っている
事前に決めた価格帯まで到達している
下位足でエントリー条件が成立している
3つすべてがそろった場面でエントリーし、予定どおり損切りになった場合は「ルールどおりに判断して負けた」に分類します。
一方、2つしかそろっていないものの、「勢いが強そうだから」とエントリーして利益になった場合は「ルールを破って勝った」に分類します。
後者を成功例にしてしまうと、次から「勢いが強そう」という曖昧な理由で条件を省略しやすくなります。
もし値動きの勢いを新しい条件に加えたいなら、勝った1回を根拠にするのではなく、どのような状態を勢いが強いと定義するのかを決め、別途過去検証する必要があります。
ルール遵守率を改善に使う4つの手順
まずは、次のような流れで振り返ります。
判断前にチェック項目を確認する
頭の中だけで判断せず、使用する条件を短いチェックリストにします。項目が多過ぎる場合は、最低限確認すべき条件と補助的な条件を分けます。
エントリー時点の根拠を残す
エントリー後のチャートだけでなく、判断した時点のスクリーンショットを保存します。あわせて、成立していた条件、見送らなかった理由、想定していた損切りと利確を簡潔に記録します。
勝敗とルール遵守を別々に判定する
「勝ったから合格」ではなく、最初にルールを守ったかを判定し、その後で勝敗を記録します。
結果を見てから根拠を探すと後付けになりやすいため、判断時点の記録と照らし合わせることが重要です。
一定数ごとに修正対象を決める
たとえば次の20回を一つの振り返り単位とし、ルール遵守率と4分類の内訳を確認します。これは手法の有効性を20回だけで断定するためではなく、自分の判断が安定しているかを見るための区切りです。
ルール違反が多いなら、手法を増やす前にチェック項目や練習方法を見直します。
ルール遵守率が高い状態でも成績が想定と大きく異なるなら、十分な記録を集めたうえで、相場環境、エントリー条件、決済方法などを一つずつ再検証します。
複数の条件を一度に変更すると、何が結果に影響したのか分からなくなるため、修正は原則として一項目ずつ行います。
ルール遵守率が高ければ勝てるわけではない
ルール遵守率は、利益を保証する数字ではありません。
どれだけ正確に守っても、ルール自体に有効性がなければ成績は安定しません。相場環境が変わることで、以前と同じ結果にならないこともあります。
ルール遵守率を見る目的は、「手法に問題があるのか」「使い方に問題があるのか」を切り分けられる状態を作ることです。
毎回違う判断をしている状態では、手法を正しく評価できません。まず判断をそろえ、その後に結果を検証する。この順番が重要です。
まとめ|負けた理由より先に「ルールを守ったか」を確認する
FXで勝てないと感じたとき、負けたトレードだけを眺めても、正しい改善点が見つかるとは限りません。
最初に確認したいのは、そのトレードが事前のルールどおりだったかどうかです。
勝敗と判断の質を分けて記録すると、続けるべき行動、やめるべき行動、再検証すべき条件が見えやすくなります。
新しい手法を探す前に、まずは現在のトレードを4種類に分類してみてください。勝率だけでは見えなかった、自分の判断の癖が見つかるはずです。
自分のトレードを振り返っても改善点をうまく切り分けられない方は、個別サポートの内容もご覧いただけます。判断基準や練習方法を整理したい方はこちらをご確認ください。