鍼灸マッサージ 開業マニュアル①開業届を出すまで

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ビジネス・マーケティング
「鍼灸マッサージの資格を取得し、「いつかは開業したい」またはそろそろ開業しようかな」と考えている方のための開業マニュアルです。
開業のやり方、開業までにやることを実際に書いていきます。
こちらの記事では、私自身が開業にあたって経験した「実際の体験」を主に書いていきます。実際に提出した書類などもありますので、ぜひ参考にしてみてください。

まずは「どんな治療院にしたいか」を決めます。

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・1人でやるのか
・ある程度規模を大きくやるのか
・自費のみor保険診療
・どんな人に来てほしいか
・コンセプト
…など、自分が「こんな治療院にしたい!」という方向性を決めましょう。
最初はとにかく思いつくことをどんどん書き出していき、その中から徐々にブラッシュアップしていくと良いでしょう。

どこでやるのか

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立地を考えることも重要です。
職業柄、自宅を改装してやりたいという方もいるでしょうし、まずは出張専門で、とかテナントを借りて駅前でドーンとやりたい!とかもあるでしょう。
自分の「どんな治療院にしたいか」と合わせてリサーチしながら、それに合う場所を探すことも大切です。
地域密着型で地元でやるか、都心のサラリーマンが通いやすいようにするか、などターゲット層も色々とあると思うので、「どんな治療院にしたいか」と併せて考えていきましょう。

いつからオープンするのか

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資金のこと、引っ越し、準備のタイミングなどを考えたうえで、「いつ頃オープンしたいか」を考えましょう。
そこから逆算して、物件探しや資金調達などをしていきます。

施術所の条件

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実際に学校の授業(関係法規とか)でも習ったと思いますが、施術所の構造設備基準の条件がいくつかあります。

6.6㎡以上の専用の施術室
3.3㎡以上の専用の待合室
施術室面積の7分の1以上を外気に開放できていること。または、施術室内にこれに代わる換気装置があること
④施術に用いる器具、手指等の消毒設備を有すること。

①②③は、賃貸するにしても改装するにしても絶対に必要な部分です。

①の6.6㎡以上の専用の施術室に関しては、6.6㎡というとわかりづらいですが、おおよそ4畳ほどです。
②の3.3㎡以上の専用の待合室3に関しては、おおよそ2畳。
こう考えるとそこまでハードルは高くなく合計6畳ほどあれば条件は満たします。
しかし「専用の施術室」「専用の待合室」というところがポイントです。
「専用の」なので、施術室と待合室の間に明確な仕切りがなければいけません。
この明確な仕切りというのが、実はかなり曖昧。
というのも、周りの開業経験者に聞いたり色々調べたところ、「保健所の担当者によっていうことがかなり違う」らしいのです。
具体的には「カーテンがあればよい」という場合と、「床から天井までのドアで仕切られていないとダメ」という場合、「パーテーションでよい」という場合…など様々なようです。
私自身は引き戸の3枚扉で仕切られている賃貸を選び、決めた状態で「これなら文句ないやろ」と思いつつも内心ちょっとビクビクしながら保健所に行きましたが、さすがに3枚扉なら何の問題もありませんでした。

③の施術室面積の7分の1以上を外気に開放できていること。または、施術室内にこれに代わる換気装置があること。
これは、普通に大きな窓があればたいがいは大丈夫です。
しかし、どこかのビル内のテナントを借りる場合は、窓が小さい場合は、満たせない場合もあります。
その場合は換気扇などを付けることでOKになるようです。
物件に実際行った際にきちんとメジャーで測り、満たしていなければ「換気扇を付けることはできるか」の確認をしておきましょう。

④に関しては物件に関してはあまり関わらないので割愛します。

物件探しのポイント

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実際に時期や場所が決まっったら、物件を探しましょう。
上記の施術所の構造設備基準の条件を満たす物件を選ばなければなりません。
改装であれば改装業者に上記の内容を伝えれば良いでしょう。
普通の賃貸(マンションの1室など)でやろうとすると、1LDK以上が無難でしょう。
上で書いた通り、待合室と施術室は独立していなければならないので、「居室とリビング」のようにもともと分かれていてドアがついていると、まず条件は満たせるかと思います。
とはいえ備品のストック、事務作業をする場所も必要かと思いますので、部屋の広さにもよりますが実際には2LDKくらい必要かなと思います。
これを踏まえたうえで「こういうことをしたいのでこういう間取りで」と不動産屋に直接伝えることです。
不動産屋さん人によってはリラクゼーションサロンと勘違いし、広い1ルームを勧めてくることもありますので、注意が必要です。
どうしても1ルームにしたい場合は、ついたてやパーテーションの仕切りでもOKなのかどうかを先に保健所に問い合わせてみましょう。

またマンションの場合は「事務所可」となっている物件でないと、トラブルになる可能性がありますので、きちんと「こういう業種で営業をしたい」と伝えておきましょう。
正直かなり少ないので、根気よく条件に合う物件を探しましょう。

開業の際に必要な届出や申請

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①開業届(税務署)…事業の開始から1ヶ月以内
②施術所開設届(保健所)…開設から10日以内
③事業開始等申告書(都道府県税事務所)…事業の開始の日から15日以内

①開業届は正確には「個人事業の開業・廃業等届出書」という書類です。
これは税務署に行き「開業届を出したい」といえば親切に教えてくれます。
税務署なんていったこともなかったのでめちゃめちゃ緊張しましたが、全然大丈夫でした。わからないことは聞けば教えてくれます。
実際に届け出した書類は以下です。

開業届.png

この用紙は国税庁のサイトからダウンロードすることができます。
赤〇で囲ってある部分の下から2番目、「所得税の青色申告承認申請書」は有に〇をしましょう。

●青色申告する場合は以下の「所得税の青色申告承認申請書」も出します。
所得税.png

とにかく、最初に開業するときに「青色申告しろ!!!」と周りの人たちに口酸っぱく言われていたので何が何でも青色申告にしました。
赤枠内とかなんでこうなったのか全然覚えてません。
よくわからなくて…といえば係の人が教えてくれるので、どれを選べばよいとかわからなくてもとりあえずはほぼ大丈夫です。

②施術所開設届は、保健所に「鍼灸マッサージの施術所を開設します」という届け出をするための書類です。
保健所とかマジ怖ぇと思ってましたが全然優しかったです。

開設届・免許証(三療あるなら3種類)・施術所の平面図をセットにして提出します。正本と副本の2部必要で、副本のほうを返してくれます。

●開設届

開設届.png

この書類は各自治体のホームページにいけばだいたいあるようなので、事前にダウンロードしておくと良いでしょう。

●免許証

これは国家試験に合格した時に送られてくる免許状です。(届いたらなくさないようにしましょう)
はり・きゅう・あマ指3つとも事業としておこなうのであれば、3つとも必要です。
免許.png

●平面図

平面図.jpg

これは実際に不動産屋でもらったものなどでも良いようですが、私が持っていたものは少しわかりづらかったので、Excelで自作しました(これで特に問題ありませんでした。)

このときに、部屋の面積(㎡)・窓の大きさ(床面積の1/7を満たしているか)または換気設備・消毒設備の場所を記入します。

消毒設備に関しては、ポンプ式の消毒液で良いようですが、これを「基本的に置いておく場所」を書けばいいそうです。(動かしちゃいけないみたいなことはないそうです。)

青枠内の「イス」「テーブル」などは保健所の方が追記されていました。
必須とかではなく「あったから書いた」程度なようで、実際に見に来た担当者の方には「かなりもう出来上がってますね~」といわれたくらいなので、おそらく本来は実際のオープンよりも早いうちに申請する方もいるようですね。

※出張専門の場合は「出張施術業務開始届」を出すだけです。

③事業開始等申告書は、事業を開始した際に都道府県に届け出る申請書です。
授業では、「都道府県事務所」と習った気がしていたので、検索してもなかなかなんのことかわかりませんでした…
「都税事務所」「県税事務所」などと検索して管轄内の事務所を探してください。
事業開始申告書.png

これも必要なことを書くだけなので、開業届並みに簡単です。

各届出時の注意点

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届け出をおこなうにあたり、必ず行ってほしいのは「印鑑を持参する」ということです。
よーく見るとわかるかもしれませんが、保健所に行って書類も完璧だと思って提出した後に訂正箇所があったりしました。
そのようなときに印鑑を持っていれば、その場ですぐに修正できます。
税務署関係の書類も基本的には印鑑さえあればその場でできます。

提出のタイミング

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これが個人的には結構悩みました。
というのも、上に書いたように

①開業届(税務署)…事業の開始から1ヶ月以内
②施術所開設届(保健所)…開設から10日以内
③個人事業開始申告書(都道府県税事務所)…事業の開始の日から15日以内

と、すべて「開始後」なんですよね。
とはいえ実際に患者さんが出入りするようになってからでは落ち着かないし…もし何か不備があったら…期限内に申請できなかったら…という不安がありました(小心者)

そこで、とりあえず事前に相談に行ってみました。
保健所には電話をかけて、「とりあえず書類の書き方を教えてほしいので行って相談してよいか。あとこういう名前にしたいけど可能か。」と聞きました。
名前に関しては、アカウント名見ていただければわかるようにちょっと変わった名前なので、念のため聞いてみました。
わざわざ聞いてしまったせいか、「上司に聞かないと…」みたいな答えが返ってきてしまい、「周りに似たような名前がないか確認してから」みたいなこと言われましたが、結局は大丈夫でした。実はすでにロゴ制作に入っていたので内心ドキドキしてましたが(笑)

そして保健所に実際の記入済み書類を持っていき、「これで良いか」「いつきたらよいか」など素人丸出しでいろいろ聞きましたが親切に答えてくれました。
確認してもらい、だいたいOKなので実際に見に行きますねーということで担当者の方が実際に店舗に来る日を決めました。

その足で税務署・都道府県税事務所に行きました。
税務署も都道府県税事務所も、「この日からやりまーす」という事前申請もOKだったようなので、「じゃー今出します」とその場で書いて終了。

その後、決めた日にちに保健所の担当者が治療院に来てくださいました。
「メジャー持ってはかりに来るよ」と噂は聞いていましたが、本当にはかってた!
大きさとかは何も問題ないので、わりとすぐ終わりました。
何も難しいことはありませんでした。

事前に開業していた同業者からは「税務署に先に行ったほうがいいよ」とかいろいろとアドバイスをもらっていましたが、もし管轄の事務所が近場にあるのならなるべく1回で終わらせるのが一番楽でいいですね。
順番はたぶんそこまで気にしなくて大丈夫です。
とにかく、わからなかったらその場にいる関係者に聞けば親切に教えてくれます。怖がらなくて大丈夫です(笑)

実際に参考にしたもの

「よし開業しよう!」と思い立ってから、まず参考にしたものは以下の本です。

はじめての鍼灸マッサージ治療院開業ベーシックマニュアル/医道の日本

医道の日本から出ているという安心感もあり、とりあえず買ってみました。
実際右も左もわからないときには参考になりましたし、この本では融資のことや事業計画書のことなども書いてあるので、何かと参考になるかと思います。

その他、やはり経験者の声を聞くのが一番です。
開業ブログも色々ありますし、すでに開業している元同級生に話を聞くなどの方法もあります。
私の場合はすでに開業していた元同級生がめちゃめちゃ親切に相談に乗ってくれたので、本当に感謝しています。何年かぶりにいきなり顔を出したにも関わらず、本当に親身になってくれました。
業種的にも、基本的には「誰かの役に立ちたい」と思っている人も多いかと思うので、困ったらとりあえず近くの経験者に相談してみましょう。

開業するだけなら簡単!

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先に開業していた先輩たちに言われていたことが本当によくわかりました。開業するだけなら本当に簡単です。
大変なのは開業してからです。

とはいえ私の場合は「若い女性というだけで行く所行く所めっちゃ舐められて大変だった」という事実で何度か心が折れそうにはなりましたが…(笑)

その辺はまたいろいろと書いていこうと思います。
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