居酒屋夜話|準備ができた日は来ん

居酒屋夜話|準備ができた日は来ん

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月に三人は来る


準備ができたら動きます。

そう言う人が、月に三人は来る。

転職も、引越しも、離婚も、店ば出すとも、
だいたい同じ言い方たい。

おいはいつも同じことば返す。

あんた、準備ができた日って、
いつ来ると思っとる。

たいてい黙る。

そりゃそうたい。
おいも昔、答えられんかったけん。

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今年の秋、この方角


十年、師匠に暦ば叩き込まれた頃の話たい。

ある晩、師匠が暦ば開いて、
秋の日付ば指で押さえて言うた。

今年の秋、この方角で店ば開け。

おいは即答できんかった。

その時、貯金は200万もなかった。

厨房の中古の機材ば揃えて、
家賃の保証金ば入れたら、
ほとんど残らん額たい。

あと一年貯めてからにします。

そう言うた。

師匠は、そうか、とだけ言うた。

止めもせん。
理由も聞かん。

そのまま帰って、
次の日も、その次の日も来んかった。

一週間、暦ば教えに来んかった。

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あと一年で何が変わると


七日目に、おいから会いに行った。

師匠は暦ば広げて待っとった。
最初から、こっちが来ると思うとったとやろ。

金が足りんとです、て言うた。

うん、と言うただけやった。

貸してやるとも言わん。
なんとかなるとも言わん。

しばらく黙って暦ば見たあと、
帰り際に一言だけ聞かれた。

あんた、あと一年で何が変わると。

おいは答えられんかった。

貯金が増える、とは言えた。
ばってん、いくらあったら
足りるとかは言えんかった。

要するに、決めとらんかったとよ。

金の話ばしとるつもりで、
本当は、怖かった。

その秋に、店ば開けた。

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楽やったとは言わん


言うとくばってん、
そこから楽になった話やなか。

最初の冬は、ほんとにきつかった。

客が三人しか来ん日が続いて、
自分の飯ば抜いた月がある。

時が来とったけん動いた。
それで全部うまくいくなら、
おいは今頃こんな場末におらん。

時が来とっても、しんどかとはしんどか。

ばってん、あの秋ば見送っとったら、
おいは次の年も同じことば言うとった。

あと一年貯めてから、と。

それだけは分かる。

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整えると準備は別もん


前に、麦茶の話ば書いた。

汗だくの体にいきなり冷たかもんば
流し込んでも味が分からん。
だけん整えてから飲め、という話たい。

今日の話と逆に見えるかもしれん。

ばってん、整えると準備は別もんたい。

整えるとは、今夜できる。

ぬるい風呂に入る。
早う寝る。
飯ばちゃんと食う。

それで終わる。

準備は終わらん。

金が足りん。
経験が足りん。
自信がなか。

言い出したらキリがなかとよ。
死ぬまで揃わん。

終わりのなかもんに、
外から線ば引く。

おいが暦でやっとるとは、それたい。

星の巡りが来た日ば、
ここ、と切る。

準備が六割でも、そこで動く。
逆に、どんなに揃うとっても
動かん方がよか時期もある。

暦は背中ば押す道具やなか。
終わらん相談ば、終わらせる道具たい。

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紙に一行


あんたが待っとる準備は、
あと何が揃うたら終わりか。

今夜、紙に一行だけ書いてみんね。

金なら、いくら。
経験なら、何ができるごとなったら。

書けたなら、それは準備たい。
あとは日ば決めるだけばい。

書けんかったなら、
それは待っとるとやなくて、
まだ決めとらんだけたい。

おいがそうやった🌙

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この店の鑑定について


おいは九星気学と暦で、
あんたの動く日と方角ば読んどる。
品書きは三つだけたい。

まずは行き先と日取りだけ知りたか人へ。

ひと月まるごと、動く日と避ける日ば並べたとがこっち。

半年先まで、流れごと一枚の地図にしたとが本命たい。

どれにするか迷うたら、
いちばん上のからでよか。

方角がひとつ決まるだけでも、
足の出し方は変わるけんな。

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